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2015/08/13

ポツダム宣言受諾をいつ知ったのか

今年も終戦(正確には敗戦というべきだが)記念日がやってくる。

 
終戦70周年ということで、いろいろ戦争に関する特集番組が組まれている。そのうちの一つを見て、「ああ」と腑に落ちたことがあったので、そのことを記したい。
 
 
私は、今から30年近く前に『チモール 知られざる虐殺の島 』という本を出版した。これは、東南アジアの東チモール紛争についてのルポだ。現在は東ティモール民主共和国として21世紀最初の独立国になっているが、かつてインドネシアの占領から独立を求めた闘争で数十万人もの住民が虐殺されているのである。
 
私は、現地に足を運ぼうとした(軍に捕まって断念)ほか、戦前から戦中の日本との関わりを求めて取材した。当時の東チモールはポルトガル領であり、第2次世界大戦においても日本とは中立の関係であったが、実際は日本軍が占領統治下に置いていたのだ。
だから、その占領部隊の人々を訪ね歩いて話を聞いたわけだ。何十人かに会ったか。
 
 
その一人から、気になることを聞いた。終戦時のことである。
 
「私は、日本が戦争に負けたのを8月12日に知っていたよ。連合軍のラジオ放送を傍受していたからね」
 
彼は主計中尉であり、通信部隊と多少のつながりはあったそうだから、連合国の放送を聞くことができる立場だったことはわかる。英語も多少わかったのだろう。しかし、8月12日とは。
 
当時の私は、日本がポツダム宣言を受諾したのが8月14日だと知っている。それから玉音放送の準備をして、国民に発表されるのが8月15日であって、この日を終戦記念日と呼んでいるのだが、本来の終戦はその前日だ。だから14日なら、米軍に情報が伝わりラジオ放送されていた可能性はある。それでも12日は早すぎるだろう……。
 
 
結局、勘違いだと判断した。
 
だが、先日のテレビ番組で、12日に連合国側で日本がポツダム宣言を受諾したと報道されたことを知ったのである。それは世界中に報道されたという。
 
実は、日本政府が一度「黙殺」したポツダム宣言を改めて受諾を考え出したのは8月8日だ。それは広島(と長崎)の原子爆弾投下のせいだと言われるが、むしろソ連から対日宣戦布告を突きつけられたからだろう。それまでソ連に終戦の仲介を期待していた日本の外交が、根底から崩れたからだ。そして9日にはソ連軍は満州国に攻め込み、それを受けて御前会議が開かれて天皇の「ご聖断」(ポツダム宣言の受諾)に至る。
 
そこで10日に連合国側に打診しているのだ。ただ一つの条件、いわゆる「国体の護持」 を認めるかどうかだった。つまり天皇制を保てるか、保てるならポツダム宣言を受諾するよ、という意味である。そして12日に連合国の「保てるかもよ」(確証は与えていない)という返信を受け取っている。だから、事実上、この日に日本はポツダム宣言を受諾していたわけだ。
あとは14日の御前会議で天皇のOKを取り付けて、正式受諾になるわけである。
 
……とすると、チモールで8月12日に「日本が降伏した」という情報を傍受することはありえるわけだ。
 
なんと、30年近くたって、私の取材の甘さが証明されたのである(~_~;)。いや、喜べない。喜ぶわけにはいかない。我が敗北であった。
とはいえ、歴史の襞に隠れた事実を読み取るのは大変なのである。
 
 
 
ほかにもチモールに絡んだ戦争秘話はいっぱいある。
「満州国の甘粕大尉」がチモールを訪れていたとか、オーストラリアにこっそり上陸した日本軍の話とか……。でも、これらを細部まで証明するのは難しいだろう。
※追記。
 連合国側が、「日本がポツダム宣言を受諾」と第1報を発信したのは、8月10日だそうだ。
だから、11日を戦勝記念日としている。12日は、それを受けての発信だったのだろう。
終戦(敗戦)記念日は、各国によって違うのだ。

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