無料ブログはココログ

森と林業の本

« 焼畑復活ブーム? | トップページ | 大きすぎるウナギに思う »

2015/08/05

銘木・吉野松を生み出せ!

先日の産地共催交流セミナーで知り合った人の仕事を聞いて驚いた。

 
三重県を中心に奈良の吉野も含めた地域でマツ材を専門に扱っているというのだ。
 
えっ、吉野にマツ材があるの? という驚きであるが、考えてみればあって当たり前だ。どこもスギとヒノキだけのわけがない。場所によってはマツを植えただろうし、また勝手に生えた天然マツもそれなりの量はあるはずだ。
 
マツ材というと、なんとなくヒノキやスギよりも材質はイマイチで、価格もそんなにしないだろう、使い道は梁には重要だが、影は薄い。しかもマツクイムシの影響で地松~国産マツ材はすっかり少なくなった。今やマツ材といえばベイマツを指すくらいだ。
 
しかしベイマツとは基本的に種類が違うわけだし、地松を求めるユーザーもいる。しかもマツ材の製材はヤニの問題などもあって、一般の製材所では技術も違い、あまりやりたがらない。専門業者が成り立つのだ。
 
Photo
 
山崎木材の山崎さんよりいただいた写真。これ、吉野のマツなのである。
 
もしかしたら、吉野杉と並べて「吉野松」という銘柄はありえるのか?
 
考えてみたら、今では吉野檜という呼び名もあるが、これが登場したのは戦後だという。吉野にもヒノキはあったが、吉野杉のように銘柄化されていなかった。ところが戦後、ヒノキの価格が跳ね上がる過程で「吉野檜」という銘柄が作られたのだ。
 
ならば、吉野松を(^o^)。
 
もちろん、量は微々たるものであり、山崎木材としても経営は大変なそうなので、これでひと山当てられるわけではなかろう。が、はっきりと吉野産の松を銘柄として打ち出すことは、今後の差別化につながるはずだ。
もっとも、Yahoo!ニュースにも記した通り、現代の銘木とするには、吉野松がどんな製品にすると価値が出るのか、商品開発も含めないと素材だけでは難しいだろう。
 
ただ、現在のマツ材産地と言えば島根など中国地方や青森を中心とした東北地方だろう。ところが、吉野のマツの方が価格は高いそうだ。何も吹っ掛けたわけではなく、市場で相対的に決まったのだろうが、より価値を高める工夫としてはありえる。
 
 
ところで、先にマツ材というとヒノキ材やスギ材より安っぽく感じると書いたが、実はそんなことはない。
 
銘木屋にいわせれば、銘木の第一は、広葉樹材ならケヤキ、針葉樹材ならマツなのだそうだ。ヒノキよりも、あるいはコウヤマキよりもマツの方が銘木(見せる木材)として格が上だとか。もちろん樹種ではなく、木目で決まるわけだが。
 
山崎さんにも、マツの巨木丸太写真を見せていただいた。あの丸太からなら、銘木は取れるかも。
そういや、千利休の茶室(数寄屋)は、松材を多く使っているんだよ……。
 
吉野松の価値を世間に知らしめることは可能と見た( ̄ー ̄)。
 

« 焼畑復活ブーム? | トップページ | 大きすぎるウナギに思う »

林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

産地共催セミナーでは木質バイオマス発電のことを詳しく教えていただきましてありがとうございました!
早速ご紹介いただきまして、誠にありがとうございます♪
プレカット工法になってから地松の需要は激減しました。
今では奈良、京都、滋賀、大阪などの重要文化財の復元が主な仕事になっております。
http://www.iga-younet.co.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=2963
京都府の「平安道場」も弊社の奈良県吉野産国産赤松を使用して復元されました。
最も大きな原木で長さ8m 末口Ф60の吉野松から製材した桁が使われています。
2014年末に入荷した材としては長さ10m Ф50cmの吉野松も弊社の在庫で眠っております。
マツクイムシの影響を受けずにこのような美しい吉野松が存在していることをたくさんの人たちに知ってもらいたいです。

吉野で「吉野松」とはトガサワラ材のこと、と指摘されました……(~_~;)。でも、本物の吉野の松材なんだから吉野松で間違いないですねv(^0^)。

ともあれ、特徴を出して生き残ることこそが価値です。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 銘木・吉野松を生み出せ!:

« 焼畑復活ブーム? | トップページ | 大きすぎるウナギに思う »

September 2024
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

森と筆者の関連リンク先