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森と林業の本

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2015/08/09

極少住民自治体をつくれ

今、地域おこしに関する依頼原稿を抱えている。

 
依頼は、国の地方創生策に合わせて過疎高齢化の進む地方向きの移住・定住政策について書いてほしいという注文だ。なかでも注目している地域おこし協力隊をどう捉えるか書いてください、という。
 
もちろん、私はそれなりのことを書きますよ(^o^)。地域おこし協力隊に関しては、久しぶりに当たった国の政策だと思うし、そこそこ成果も出ている。上手く活かせば活性化の端緒になるだろう。逆に失敗例も耳にしているから、私も考えるところはある。
 
ただ、その時に考えたのだ。
 
この原稿依頼の前提に「地方が生きのびるには、人口増を図るしかない、そのためには移住者を迎え入れて定住させるしかない」という論法があることだ。
 
本当に地域社会は人口を増やさなければ維持できないのか。活性化しないのか。
 
 
日本の自治体は、先の市町村合併でかなり大きくなったが、いくら合併して行政単位としては人口増になったとしても、内部に小集落が点在しており、集落内で人口増を図れたわけではない。そして、そんな集落が限界化しているのだ。
国の本音としては分散している集落の住民を中心部に集約することだろう。自治体の最低単位を10万人程度にしないと存続できないと考えているふしもある。
 
 
ここで切り口を変えると、世界の自治体は、必ずしもそんなに大きくない。発展途上国が小さな自治体を変えているのはともかくとして、ヨーロッパでも人口500人くらいの自治体は結構ある。たしかフランスでは、200人もいれば村になるはずだ。スイスにはゲマインデと呼ばれる共同体がたくさんあって、大都市もあるが、数十人のゲマインデもあるという。それが直接民主制の基礎となっている。
もっとも極端なのは、住民はフォレスターの家族だけ、という自治体だ。ドイツにあるラインハルトの森である。これは歴史的な経緯で独立した地域で、実態は森しかない(^o^)。
 
アメリカでは、「小さくて豊かな村」のランキングまで付けられている。だいたい人口は5000人~1万5000人の自治体だ。なかには1000人を切るところもあるらしい。それでも豊かな生活を送れるのだそうだ。
 
豊かな生活を送るには、人口の多い自治体が必要、という思い込みを取り外せないか。
 
私は、さらに小さく50人~100人くらいの町で自治体をつくることを想像する。たとえば30世帯100人の集落を想定できないだろうか。町内会レベル以下の大きさ。
 
すべての公的業務をその自治体で仕切る必要はない。それは上部自治体に任す。
しかし地域内の自治を認め、予算も自ら組む。たとえば100人の村に年間500万円くらいを交付して、それをどのように使うか住民で決める仕組みにする。議員はいらず、全員参加の直接民主制。公務員は議長か首長とその補佐役数人だけでよい。
 
交付金を福祉に使うかイベント開催に使うか道の補修か……あるいは起業してもよい。カフェなどお店を開く。何か生産する手もある。共有地で農作物つくって売ることも挑戦できる。予算だけでなく、それらの許認可や決裁事項を極小自治体に任せる。
 
自ら決めて、自ら執行する。共有地や公共施設を基本財産にすれば、上手くすると賃貸収入を得たり利潤を上げることも可能だ。
失敗しても、それは交付金のレベルの損失であって、住民の生活は維持できるから心配はいらない。(借金は認めない。)
 
交付金の財源は、今でもそれくらいの金を住民にさまざまな名目で(紐付き)支出しているから、それらを整理したら捻出に困ることはないはずだ。その代わり、これまでのアブク銭のような補助金は撤廃だ。
 
 
住民も、固定しない。移住だけでなく、転出もアリだ。雇用の形で住民を連れてくることもありえる。重要なのは、年齢構成だろう。各年代のバランスを取る。
 
ようは一つの自治体を法人かシェアハウスのようにする。土地に縛られた地域社会ではなく、流動性のある社会につくり直す。
その中で豊かに暮らせる仕組みを造ればよいのではないか。自分たちで考え、自分たちで実行する要素があれば、豊かな気持ちで暮らせると思う。
 
 
……そんなことを夢想するのだが、わりと本気だ。日本の人口は減っていく。それなのに頭数の分取り合戦をしても仕方がない。むしろ少ない住民による楽しい社会を築けないか
ただし、伝統的な集落ではなく、むしろ廃村後に新たな集落つくるような形がベターかな。
 
もしかして、家族5人が住民の自治体として独立、豊かで元気な村をつくる、なんてことが起きるかもしれない。
 
 
 

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