NHK朝ドラ「あさが来た」の主題歌、「365日の紙飛行機」が気に入っている。朝ドラの主題歌にしては爽やかな曲だなあ。通常は聞き流しているのに、ついまっすぐ画面見て聞いちゃう(^o^)。
ユーチューブにはたくさんアップされているけど、とりあえず
これ を。
ご存じAKB48が歌うのだが、実は私はAKBにまったく興味がないというか、むしろ毛嫌いしていた。(どちらかというと「ももクロ」の方が笑えて好き♡。)
いや、もちろん、可愛い娘はいますよ。それぞれが個性を競って立ち位置求めて頑張っていることも伝え聞くし、頭のいい娘もいるでしょう。面白い娘もいるでしょう。キャラ立ちした娘もいるでしょう。
だが、その前にAKBビジネスがイヤな感じなのだ。個人をアイドルとして売り出すのではなく、パッケージ化していることもだが、「総選挙」と名付けた人気投票でセンターなどの地位を決めたり、メンバーの所属をSKEだNMBだHKTだ……と全国、さらには海外まで飛ばしてしまう。
ほとんど個人の意志を抜きに、人間を駒として動かすのだ。
総選挙も、いわば金権選挙だ。CDを購入しないと投票権が得られず、ファン心理を煽って大量買いをうながす。メンバー個人も自分に投票してもらいたくて涙ぐましい努力を強いられる。まさにプロデューサーの金儲け主義の黒い罠にはめられたも同然。これってオタクファンから搾り取るブラック・ビジネスではないか。イヤな感じ。
……と、まあ、悪口を書き出したらいくらでも出るのだが、せっかく歌が気に入ったのだ。少し考え直してみた。
まず、ファンは投票権を買うことで、何を得るだろう。CDは1枚あればいいのだから、大量買いしても、2枚目以降は投票権を得るためだけだ。
では、投票することで何を得るのだろう。仮にお目当ての子が自分の票も含めて上位にランキングできたら、そのアイドルは当然喜ぶ。その喜びを自分のものとして喜ぶ……。これも、なんかイヤな感じ。ファン心理を弄んでいる気がする。
だが、ここはケシカランと決めつけずに、この現象を一種の喜びの共有として捉えよう。ただファンの得られるものは、ほかにはせいぜい握手する権利とかサイン色紙とか、まあファンクラブの会員レベルの特典にすぎないから、圧倒的にファン側が片務的である。ほとんど宗教の信者のように献金させられているように感じる。
だが、もし投票権の購入を献金ではなく「投資」に見立ててみよう。将来性を見込んで、さらに人気が伸びるように投資するのだ。
投資を受けたアイドルが見事人気を上げた場合、それは収入増につながる。ならば何らかの配当を受け取ることはできないだろうか。金銭でもいいが、投資額(投票権数)に応じたバック(特典)が何かあるというシステムにしたら……。たとえば限定もののアイドル・グッズがもらえるとか、CDなどに支援者として名を刻まれるとか。
逆に、投資したアイドルが伸び悩んで頭打ちになったら、その投票権(投資)を売却して、別の有望新人に乗り換える、なんてことも可能にできないか。つまり投資分を証券化してしまう。アイドルの人気を数値化して、取引市場もつくる。
そんなビジネスまで発展させたら……見様によっては、よりブラック化を促進してしまうように映るだろうが、少なくてもアイドルとファンの立場が片務的でなくなる。
……なんだか妄想がすぎたみたいだ。
が、これを考え出したのは、森林ビジネスとアイドルの世界をダブらせたからなのだ。
よい森林を育てるためには金が要る。そこで投資を呼び込むことが求められているのだが、森林ビジネス(=林業)では目に見える形で利益を生むのが難しい時代になってしまった。少なくても短期的には利益につながらない。ただ、森づくりには夢がある。森をデザインして美しい森を作り上げることは喜びにつながる。
その構造は芸能界に少し似ているかも、と思ったのだ。林業家と投資家が喜びを共有することができれば、森にも新たな資金が注入されるのではないか?
たとえば森林を小分けして、投資を求める。今流行りのクラウドファンディングみたいな形でもいい。もちろん、この森をどのように仕立てたいか、そのためにはどんな施業が必要でコストはどれほどかかるか。それらを明確に示して投資を求めるのだ。
それは補助金という名の税金や、寄付金ではない。それではもらったもん勝ちのようなモラルハザードを引き起こしがち。あくまで投資なのだから、掲げた目的どおりに実施して成功させねばならない。そして成功した暁には出資額に応じて配当を払う。
ただ失敗しても返金の必要はないのが、融資などの借金と違う点だ。おかげでリスクを取った挑戦ができるだろう。
たとえば1ヘクタールの森を、10年後20年後に「○○な美しい森」に仕立てるという契約の元に、100万円の投資をさせる。その期間は、出資者にさまざまな特典を提供する。その森の中でキャンプできるとか、山菜を採れる、薪を拾える、間伐で木を伐らせてもらえる……など。
さらに森全体の利用を認める。たとえばネーミングライツを設定して名前をつけられるとか、その森を利用したコマーシャルを展開できる権利を与えるとか。企業によっては、利用価値のある使い道が思いつくかもしれない。上空や遠景から企業名を読めるように木々に看板を取り付ける、なんて手もあるだろう。この森を守っています、と企業イメージのアップを図ることにも使える。
さらに投資家には、期間内は何本かの立木権を握ることができるようにしてもよい。生きている樹木をちゃんと登記して、立木の利用権限を渡すのだ。これは、ちゃんと法律でも認められている権利だ。かつて山林を土地ではなく立木だけの取引を行った名残だ。
立木権を握れば、森林土地の所有者も勝手に伐採できなくなる。それが困るのなら山主が買い取るしかない。いわば投資額の担保のようなものである。
やがて最初に計画したとおりの森にできたら、立木権を設定した木を収穫する度に配当金として売り上げの何割かを受け取る。
だが失敗したら配当金はない。出資者は利益が得られず、林業家は名誉を失う。
どうだ?
AKB総選挙からこんな森林の証券化ビジネスまで連想するなんて、俺って、もしかして天才、いや奇才ありかもv(^0^)。いやあるのは、アホクサイかもなあ。
10年前よりいつも拝見させていただいています。
相変わらずすごいですね・・・。
これは良さそう。
費用対効果が良い特典を考えなくてはいけないのと、
(距離的制約があるため、近場の山にしか出資しにくい)
投資額に見合うだけの立地権、
「○○な美しい森」になった時の立地権の価値上昇
あたりをうまく練れればいけちゃいそう。
美しい森リゾート開発 みたいな感じで森林立地価値を上げるとか・・・?
やっぱり難しいかな・・・?。
投稿: 石井 | 2015/10/30 08:39
10年以上、こんなアホなことばかり考えているのですよ(@_@)。
企業など直接訪れる必要のない特典なら、距離を抜きに投資してもらえないかな。また「美しい森」をつくることで価値を上げ、それに投資した会社の株価が上がる……といった配当もあればいいですね。
なお立木権は、土地への権利ではなく、生きている樹木に設定するものです。土地になると所有者が土地を奪われる心配をしてしまう。でも立木権なら木が生きている間だけです。ちゃんと登記もするので、購入者も安心できる。
投稿: 田中淳夫 | 2015/10/30 09:40
応援したい森に寄付する。いくばくかの見返りがある。==ふるさと納税の森林版。
これと似ていますね。課題は→お互い継続してやれるか?!
投稿: ベンツ仙人 | 2015/10/31 06:47
ふるさと納税は、どうせ払わなくてはならない税金をどこに納めるか、であり、特別な出費とはなりません。投資は新たな出費になりますね。
課題は……やはり出資者をいかに見つけるか、でしょうか?
森林投資の意義を説明し、その利用法も提案して、十分に元が取れるよ、と納得させる営業は苦労するだろうなあ。
投稿: 田中淳夫 | 2015/10/31 22:31