クマがベジタリアンに……つまりクマが草食化する、と言っても、植物のようにおとなしくなった、という意味ではない。恋愛しない草食系クマ。なんて、絵にならない(^o^)。
ここでは文字通り、クマの食べるものが動物性タンパク質より植物質のものが増えたという研究結果を読んだのだ。
具体的にはヒグマなのだが、明治以降のヒグマの骨を調べると、窒素同位体元素の比率で何を食べていたかが推測できるらしい。
すると以前はエゾシカやサケ、昆虫類が6割以上だったのが、今やそれら動物質は5%程度となっていたというのだ。代わりに増えていたのが、フキやヤマブドウなど草本・果実類なのだという。
まあ、和人が蝦夷地に入植してサケは横取りされるわ、逆にエゾオオカミが絶滅して、オオカミが捕まえたシカを横取りもできなくなるわ……というのが原因として考えられるらしいが、本来ならそれは餌不足を招いて存続危機事態(-_-)に陥っていたかもしれない。が、その餌不足を植物性で補うようになったことがヒグマを絶滅から救った……。いや、近年はヒグマの生息数増加が確認されているから、むしろ繁栄するきっかけとなったとも考えられる。
あくまでヒグマの研究だから、本州のツキノワグマにも当てはまるかどうか厳密にはわからないが、なんとなく納得する。
というのは、私は長く日本でクマ類が増える要因は見当たらないと思っていたのだ。山奥まで人が入り込み、洞をつくるような大木が極端に減ったため冬眠穴を失い、何より餌(動物質を想定)を得るのが難しくなったはずだから。
ところが、現実にはヒグマもツキノワグマも、現在は数を増やしていると言われる。その理由が理解できなかった。
しかし、もし食性を大胆に返還し、さらに習性も人間社会に適応するように変えたら……数を増やすことも可能だったのかもしれない。たとえば人工林であっても植物性の餌なら不自由しない。結構な草木の実がなるからだ。雑木林も、餌の宝庫だろう。
もともと雑食性であり、植物食だって採るのが可能だったという点が大きいとはいえ、これは大胆な転換だったろう。それが、豊富な餌を得ることにつながり、繁栄につながったしたら、皮肉でもある。
食性というパラダイムの転換が、種の繁栄を呼び込めるのだ。
ここからは閑話休題。
人間は、かつてほとんど草食性だったのが、どんどん肉食の度を増やしているが、それが日本の人口減を招いたのかもしれない……。
いっそ、再び日本人も草食化したらどうだろう。それも野菜なんて小さなこと言わず、木を食べるような……。実際、木の粉を小麦粉に混ぜてパンを焼いたり麺を打ったりする試みはされている。抹茶と混ぜて「おがっティ」というお茶もあるそうだ。
食べ物だけでない。これまで使わなかった素材に置き換えることが繁栄の基盤にならないか。鉄ではなく石とか、木ではなく草とか。セルロースナノファイバーもその発想の一つになるだろう。
窒素安定同位体比
投稿: か | 2015/10/28 19:28