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森と林業の本

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2015/11/03

道楽エコノミー・序章

生駒の北にある竹林を何かに利用できないか、という話を所有者からいただいて、ちょっと視察。

 
が、行ってみると、竹林はなくなっていた(~_~;)。
 
In_010
 
見事に伐り開いた模様。この土地の所有者がユンボも入れて一気に行ったのだという。
元竹林の中に残された古民家を利用して何か店を開けないかという……。 
 
所有者はやる気マンマンなのであった。
とりあえず描いた夢に向かって動いてみるしかあるまい。表立ってアドバイスすることはない。まずは、器を整備してから次の展開を考えるべきだろう。
 
 
 
……この視察は大阪の「まちづくり専門家」からのお声がかりだったのだが、彼がいうには「道楽エコノミー」というのがあるらしい。
 
「道楽」と言っても単純なお遊びという意味ではない。まず儲からないけどやりたいというレベルから始まる。起業して損しない程度に展開していくうちに、いろいろ横の展開が生まれて、新たな人脈が次の事業を派生させる。その過程で多くの人が動くことで、街に活気を生み出すのだそうだ。そうでなくても利益以上に満足感を得られれば、起業者は愉しめる。もちろん、大ブレークすることだってある。
 
たとえば主婦が趣味で始めた刺繍などの工芸品を売る店を、街の空き店舗を借りて開く……といったビジネスだ。その店は、たいして利潤は生まないかもしれないけれど、同好の士などの集まる場となり、そこで知り合ったメンバーが毎度カフェで話をすれば、そこに新たな消費が生まれる。もしかして、別の商品開発やビジネスプランが持ち上がるかもしれない。それが新たな経済活動へとつながっていく。
ただ本業(生活費を得る手段。たとえば夫の給料とか)は別にあるから、「道楽」なのである。ちなみに彼は、そんな店舗を開発したり斡旋することでまちづくりにつなげていく。
 
この担い手にとっては、「道楽」だからそれで食っていかねばならないような真剣さはないが、逆に比較的リスクを負えるし、好きゆえに商品開発に熱心。また販売に対してもさまざまなアイデアを出すうえ、好きだからこそ必死に頑張れる面もある。
 
この道楽の引き起こす経済・道楽エコノミーは、今後まちづくりに限らず結構な比率になっていくのではないか。いや、すでに実態経済のある程度の部分は「道楽」で支えられているのかもしれない。
たとえばオタクと呼ばれる人々の消費とか、さらに芸能・芸術に支出される経済の一定部分は道楽だと捉えることもできる。
 
ましてや今のような「欲しいものがない」と言われる高度物質文明社会では、必要に迫られて動く経済とは別に、道楽、好きだから、面白いから……行う開発と消費の割合が膨らんでいるのではないか。
そこでは「金をやるから働け」という雇用は通じない。「稼ぐためには泥水でも飲む」働き方はしない。
 
 
……この考察は、改めてもう少し考えて深めていきたい。もしかして、巨大な経済社会のパラダイムの転換が浮かび上がるかもしれない。
 
 
が、ここで気になったのは、この「道楽エコノミー」に、すっぼり自分がはまっている予感がしたこと(~_~;)。
そもそも森林関係のジャーナリズムなんて需要は小さいし、出版界はますます縮小している。それなのに儲からないテーマに顔を突っ込むことも度々。逆にコストがかさんで赤字になることも多い。私のやっていることは「道楽」なのか(泣)。。。。
とはいえ興味がわけば、記事にする当てもない取材もする。資料も収集する。でも、そこで得た情報を何年も後に扱うこともあるわけで、息の長い経済活動につながっていたりする。そうなれば、道楽もエコノミーになって来る。
 
 
ところで。
 
もしかして、ほとんど生活費を生み出していない林業も「道楽エコノミー」そのものではないか。環境のために森を守りたい、先祖から受け継いだ財産だから渋々とかなんとか理由をつけて、勤めながら行う週末林業とか、株とか不動産などの不労所得で支えられて行う林業なんて「道楽」ではないか……。
 
ま、これ以上は改めて(^o^)。本日は序章であるから問題提起に留めておこう。
 
 
ただ、蛇足ながら「道楽」に公的資金を注ぎ込んではいけないよ。それは「放蕩」である。

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