Yahoo!ニュースに「三重課税? 環境を旗印に狙う大増税 」を執筆しました。
書いてアップしてから気づいたのだが、「三重課税」という言葉、思わず「三重(県)課税」と呼んでしまった(笑)。
もし、三重県だけで3重に課税するなら、私は文句言わない(⌒ー⌒)。
現実問題として、森林環境税が国税とするなら、東京など大都市の住民も支払うようになるので、金額的には非常に膨らむだろう。一人何百円ぐらいを考えているのかわからないが、ざっと500億円以上にはなる。
そこに県独自の森林環境税と、環境省の新税が重なるとしたら、一人当たり何千円かになる。徴収額は、ざっと1000億円超、もしかして2000億円は望めるかもしれない。
まあ、今後の税制審議会で揉まれる中でオトシドコロとしては、さすがに二重、三重課税はマズいから、全部一括して国が取りましょう、だからすでに実施している自治体の森林環境税は廃止してね、ということになるのではないか。
そして徴収した税収を、たとえば森林面積別に割り当てるとかするかもしれない。
それなら県によっては、むしろ税収が増える……と喜ぶ場合もあるだろうが、ようするに首根っこを国が抑えるということだ。自治体の独自課税だから自由に使える財源だったのが、国の意向をおそるおそる鑑みながら使い道を考える、なんてことになりかねない。
さらに環境省や林野庁が別に課税することに難色を示す財務省が、我々が一括して徴収します、いや住民税に上乗せだから総務省が……なんて出しゃばってくるかもなあ。
結果、分配額を司ったり使い道を決めたりする外郭団体が設けられて官僚の天下り先になる……そこが上前跳ねて与党の環境族議員に献金する……まで行くと悪夢だ。。。
ちなみに、森林環境税を国税にするってことは、以前の「森林交付税」構想と同じだ。かつては地方交付税の交付額を人口を元にするのではなく、森林面積を元に算定するという構想だったのだが、今回は新税つくって別途徴収しますよ、というところがミソ。
結局、誰が喜ぶのかなあ。
いつも楽しみに見ています。
関係者なので一言
どこの県も、森林環境税は、国庫補助金で生じる所有者負担部分や獣害対策、里山整備等々、国庫補助金以外のところに充当されるケースが殆どかと。
※
国は、昨今、造林補助金が財務省にカットされる一方、温暖化対策の目標数値達成の板挟みですので、目的税で原資を確保したいところでしょう。
ということで、住民からの相当な突き上げがない限り、地方自治体も課税をやめないんでしょうね。
既知かと思いますが、蛇足までに(汗)
投稿: ぐるぐるR | 2015/12/01 07:37
どこかの県の森林環境税担当ですか?
県独自に、地元の森林の問題あるところに適切に支出しているのならよいのですが、どうも「使い道が決まらない」という声が伝わってくる(笑)。もしかして、持て余してる?とか思ってしまうのであります。。。
地方も譲らないとなると、県民税、住民税両方に上乗せされます。もし環境省の税も実施されたら県民税上乗せでしょうか。すると県の声も聞かざるを得ないと思いますが……。
投稿: 田中淳夫 | 2015/12/01 16:29
森林税の使い道が決まらない理由の一つは、例えば河川水質を目的にした場合に「水質を維持/向上するためにはどのように施行すればいいか」を研究サイドが十分に答えていないからではないかと思います
水質を希少動植物やキノコに置き換えても同じです
事例報告にとどまっていて、全国、あるいは各地方レベルでも、気象や地質等での一般化が出来ていない
それと、森林税と同じロジック(雰囲気)で海洋税も可能ではないですか?
海に囲まれてるし、海産物や海上輸送の恩恵を受けてる一方で、温暖化影響や漁業、汚染/人為改変などの課題も山積してます
所管は国交省=農水省と並ぶ大型省庁
すでに祝日では、みどりの日に対して海の日が出来ており、族議員もいます
投稿: か | 2015/12/03 01:28
目的税というのは、その目的の範囲をどこまでにするか難しいのだけど、実は時の都合に合わせて、役所が解釈を変えて適用を重ねているのが実情でしょう。憲法と一緒。。。
それこそ新しい事例に目的税の使い道が適法かどうか審査する審議会でもあれば(そこに学者も入って研究成果を示す)、まだマシでしょうが。
この調子で行けば、各省庁が自分たちの自由になる財源を求めて目的税を頻発しかねない。海洋税も、土壌税も、大気浄化税なんてのもつくれるかな。ああ炭素税はもうあった。
投稿: 田中淳夫 | 2015/12/03 09:43
森林環境税の『使途アイデア』を聞かせてください、と、代議士経由で、とある森林県の幹部等と会見したことがあります。
間伐材搬出用の(当時開発中)機材を紹介し、『器具の開発と製品化への(資金)協力』を具申しました。
また、
小学生向けに(間伐材使用)薪窯陶芸をさせて、作った茶碗で食事したり、お猪口など、家族へのプレゼントとしたりして『具体的に形の残る物の製作』は、どうか?!と提案しました。
どちらも具体化されていません。
・・・森林環境税の使途で困っている自治体の例として紹介しました。
投稿: ベンツ仙人 | 2015/12/04 09:11