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森と林業の本

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2015/12/22

「重要里地里山」って?

境省がまた妙なことを。

 
「生物多様性上重要な里地里山」(略称・重要里地里山……もっと略せよ。。。)を選定したのだ。それも500か所も。
 
ようするに生物多様性に優れた里山(環境省は、それに里地をつけたがる)を選んだというのだが……とくに何かあるわけではない。まあ、名前を売る肩書みたいなものか。
 
ちゃんとHPもつくっている。
 
具体的な選定には、3つの基準を設けて、そのうち2つが該当すると合格としたという。
もっとも条件に満たない場合でも、動植物の生息生育状況や生物多様性保全の観点から重要性がある地域、さらに自然性の高い環境(二次自然ではないということか?)であっても、「地域住民にとって身近な自然」「手をかけて守り続けている自然」である場合は、選定の対象としたという。
なんとか選定地の数を増やしたかったらしい。
 
 
ちょっと基準を抜き出してみる。 
 
基準1:多様で優れた二次的自然環境を有する
 従来のくらし・生業、新たな活動等、人の適切な関与がなければ劣化、消失のおそれがある身近な自然(手入れの行き届いた社叢林などの残存林、ため池・自然水路、二次草原(半自然草原)、氾濫原・谷津田等の低地・湿地など)がある。
農地、ため池、二次林、草原などの環境がモザイク状に存在し、動的な土地利用が行われている。
基準2:里地里山に特有で多様な野生動植物が生息・生育する
 対象地において、里地里山に特徴的な種(里地里山的環境を好む種、里地里山的環境に依存性の高い種、複数の異なる環境を必要とする種など)、あるいは希少種についての生息・生育情報がある。(種名、種数など)
希少種、象徴種などの保全の取組によって、当該里地里山全体の保全、その他さまざまな種の保全につながっている。
基準3:生態系ネットワークの形成に寄与する
 豊かな里地里山生態系のシンボルであるオオタカ・サシバが確認されている。渡り鳥の生息地・中継地点として、国際的に重要な地域である。
生きものの視点から見たつながり、生態系の視点(森・里・川・海等)から見たつながりを確保している。
 
 
別に悪いことではない。選ばれた地域が文句言うことはなかろう。
 
しかし「選定により、地域の人々のくらし、農林業の営みや土地の利活用等に対し新たな制約や規制等を生じさせるものではありません。」とあるから、ようするに何もしないということだろう。選定してやったから、後は頑張れよ、ということか。
 
むしろ、すでにある「日本の棚田百選」やら「日本の里百選」 など官民さまざまな里山対象の百選など、同じようなものが並ぶことが気になる。ほかにも「ため池百選」とか「日本の美しい村景観百選」、「水の郷百選」……などもある。
 
この手の百選は、農水省などの選定が多いから、環境省も負けずにつくりたかったのだろうか。SATOYAMAイニシャアティブに引っ掛けて。
 
でも、「重要里地里山」というダサイ(^^;)命名だと盛り上がらねえ……。しかも数が多すぎる。
 
 
ちなみに奈良県では生駒市の高山地区が選ばれていた。誰が推薦したのだろうか。
 
ここ、以前はニュータウン計画があって、土地も多くがURが所有している。計画はすったもんだのあげく頓挫したのだが、その後は放置状態で多くが荒れている地域だ。それを重要と言われても……。
ただ、この高山の土地を、今は生駒市が買い上げようとしている。塩漬けの土地を公金で。何の利用計画もなしに。
 
ああ、今の市長は元環境省の役人だった。。。なんか裏が読めるなあ。

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