クリスマスイブにふさわしい番組を見た。録画であるが……。
NHK BSプレミアムで『フランケンシュタインの誘惑~科学史闇の事件簿』というドキュメンタリーが不定期に放映されている。
「科学」の持つ魔力にとり憑かれ、人生を狂わされた科学者たちの闇の事件簿―。
輝かしい科学史の闇に埋もれた事件に光をあてる、新しい知的エンターテインメント番組
……だそうだ。
私は、気に入って自動録画を設定しているが、今夜は3作目を見た。
初回は「不死の細胞狂想曲事件」。
天才外科医アレクシル・カレルは、永遠に分裂を続ける不死の細胞をつくったというが……。STAP細胞を思わせる謎の事件である。
2回目は、「愛と憎しみの毒ガス」。
農業に革命をもたらした空中窒素固定法を発明した化学者フリッツ・ハーバー。彼は、後に毒ガス開発に邁進する。
そして3回目は、「マリーが愛した光線」。
二度のノーベル賞に輝く女性化学者マリー・キュリー。原子が変化するという物理学上のパラダイムを転換させたラジウムの発見だ。これは壮絶であり、恐怖のテーマだった。
夫ピエールとともにラジウムを発見し、その強力な放射線を利用したガン治療をめざした。だが、ラジウムは全世界に広がり、恐るべき放射線被害を引き起こす。なんと戦前から放射線は多くの人々を蝕んできたのだ。
その危険性を熟知していたはずのキュリー夫人は、そうした事態にもなんら警告を発することなく、「わが子のようなラジウム」の利点を強調し続けるが、やがて自らも倒れる……。
科学への愛が歪んでいく過程は、おぞましさと悲しみがないまぜになって襲ってくる。
これは科学だけでなく、自らが夢中になって取り組んだ「もの」の明るい一面に固執するあまり、負の面に目をつぶってしまう危険性を問うているのではないか……。
私も、常に林業や森林を擁護しませんぜ。森林を破壊する林業なんぞ必要ないし、森林のない方がよい生態系社会だってあるだろう。ちょっと肝に銘じておこう。
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