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森と林業の本

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2015/12/28

なぜ?に応える「森の理論武装」

2015年もあとわずか。

 
ここで1年を振り返ると、私にとって今年は、多くの林業女子と触れ合う(本当に触れたわけではない!)機会が多かったのが印象に残る。彼女らは、いずれも森林に、林業に非常な思い入れを持ち、また行動が軽やかだ。それは男子と比べ物にならない。
 
ただ、私が話したことの一つは「考えろ」である。
 
何を考えるか? それも考えろ(笑)。自分の感情をそのまま発露したり、他人の意見をそのまま受け売りするな。、と言いたい。これだけだと上から目線的だけど、実は自分にも降りかかってくるのだ。
 
森が好き。森は大切である。森を守りたい。林業が好き。林業に就きたい。林業を元気にするには。
 
それらは素敵なことであるが、その思いは他人に伝えて納得してもらわねば何も始まらない。さもないと賛同者は増えない。自分が好き、だけで止まらず、なぜ好きか。なぜ大切か。なぜ守らなくてはならないか。なぜ自分は林業に肩入れしているのか。
 
直感的に「好きだから」という感性は重要だと思っている。が、それをいかに他人に広げるか。……実は、私自身が立ち止まっているポイントだ。世間に森林とは何かを伝え、森林の大切さ、保全を訴える……その手前に、「なぜ」が横たわる。
 
一般には、森林は酸素を出す、二酸化炭素を吸収して地球温暖化を留める、水を溜める、水をや大気を浄化する、土壌流出を抑える、生物多様性を維持して遺伝子資源をもたらす、そして木材等を生産してくれる……といった知見が紹介されている。また森林を健全に育つには人の管理が必要で、それは林業によって成されるし、山村社会を経済的に支えるという言い方で林業振興も訴えられる。
 
が、私はその多くに反論しているし(^^;)。また代替素材や条件も多い。第一、こんな理屈を持ち出されたら引く人が一般には多いのではないか。地球温暖化を防ぐために、森を愛しましょう! と言われても……。
 
では、何か。
 
それを一般人が納得できるような理論武装をしなければならない。
 
 
さらに、なぜバイオマス発電なのか。
なぜ森を伐り開いてメガソーラー発電なのか。
本当に素材価格が安くなるCLTが木を活かすことなのか。
補助金ジャブジャブのバラマキが本当に地方創生なのか。
 
反射的にそれらを腐しても何も生まない。なぜそうした方向に進むか考えねばならない。
 
まだまだある。いくら皆伐が森を破壊して、環境にも景観にも悪いし、そもそも自分にも一時期の収入しかもたらさず持続的な森林経営が不可能になってしまうとしても、それを選択する山主が多いのはなぜか。それを止める発想はないのか。
 
木材価格を上げるにはどんな方法があるか。
そのための先行投資に必要な資金をいかに調達するか。
 
そういうことを考えねばならない。そして関係者に納得してもらわねばならない。
手間とリスクを負って、取り組む人を増やさなければならない。
 
森よ、武装せよ! 誰もが納得できる理論で。
 
 
 
……本年は、ここまでとしよう。
 

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コメント

一年間ありがとうございました。 誰もが納得できる理論を心がけたいと思います。

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