先日、ふと新聞の記事で、東ティモール民主共和国の人口が121万人を超えていることを知り、仰天した。
何のことやと思うかもしれない。
東ティモールは、東南アジアの一角、インドネシアのバリ島から東に連なる先にあるティモール(チモールとの表記も使う)島の東半分の国である。元はポルトガルの植民地だったが、インドネシアが占領していた。ところが経済危機に陥った世紀末に住民投票で独立を決した。その後混乱を経て2002年独立。21世紀最初の独立国である。ちなみに日本の自衛隊も派遣されている。
この本で、私は日本とチモールとの関わりを歴史的に追いかけたのだが、安土桃山時代の日本人町の話はさておき、大きく関わったのは太平洋戦争時である。当時、中立国であったポルトガル領を含むチモール島を占領したのだ。
戦後はまたポルトガル領にもどるが、その際に言われたのが東チモールの人口減。
1930年の統計で47万2221人だったのが、1947年には43万3412人に減った。これは日本軍の虐殺のせいである、と記述された本があったのである。4万人の大虐殺?があったという。
占領しただけで、ほとんと戦闘もなかった島で、そんな虐殺が起きるか?
私が苦労して見つけ出したのは、1936年に46万558人という戦前の統計だった。つまり戦争前に1万人以上減っている。ようするに人口統計がデタラメなのだ。
さらに1973年のポルトガルの統計では62万6546人。ところがカトリック教会は74年が68万8711人になっている。
1975年にインドネシアの侵攻があったのだが、1980年が55万5000人(インドネシア発表)。ところが同年のカトリック教会は、42万5000人。そして10万人前後の虐殺と飢餓による死者が出たとされた。
その後、20世紀末には80万人程度の人口で独立運動が起きたと記憶しているが、2014年には121万1000人なのだ!
近年の人口統計は、平和裡に行われたので一応信じるとして、この人口急膨張に唖然としたわけだ。20年程度で人口が1・5倍?
人口統計がいい加減という思いから、人口爆発の凄まじさへ思いを馳せたのである。ただ、東ティモールが若者の国であることは間違いないだろう。
今後、世界中で人口減が進む。日本に続いて韓国も台湾も、そして中国だって減少期に入る。東南アジアの増加率も軒並み落ちており、徐々に落ち着くはず。増えるのはインドやアフリカ、中南米諸国か。ただ政情不安な国・地域は、人口が増えても経済発展は難しい。
その中で東ティモールは注目すべきかもしれない。今後人口ボーナスもあって、大きく発展する、アジア最後のフロンティアになる可能性だってある。
ティモール島の高原には、サバンナが広がっているが、一部にチーク林とコーヒー畑がある。あの風景をもう一度眺めてみたい。今、猛烈に訪問したくなっている。
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