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2016/01/12

魚種転換と樹種転換

近頃、水産関係の書物をひもといている。

 
いよいよ林業に見切りをつけて、水産業に転進か……いえ、海は森の恋人ですから(^o^)。
それに水産分野の専門家が林業分野にも進出して発言するなど、最近は垣根が低くなっているのだよ。私も負けずに幅を広げないと。
 
それはともかく、どうやら近年の水産業……さらに海洋そのものまで激変の模様だ。海の温暖化や酸性化、化学物質や放射性物質の汚染。外来種の跋扈。さまざまにある。
 
なかでも魚種転換(魚種交代)に目が向いた。これは、もともと資源としての魚が長い時間の中では増えたり減ったりすることを指すようだ。まあニシンが減ったりイワシが増えたり、サンマが不漁……などは問題になる。
ただ近年は、それに加えて水辺環境の変化による在来種の減少とか外来種の増加とか、海水温度の上昇による熱帯水域の魚種の回遊などの要因も加わっている。もちろん漁獲しすぎることによる問題もある。絶滅危惧種に追い込んだウナギやマグロなどは典型だろう。
 
 
話を広げすぎないようにすると、ここでは魚種転換によって、人類の食がどう変わるかということが気になる。
たとえばニホンウナギがとれなくなるとヨーロッパウナギに乗り換え、それも絶滅危惧になると、次は東南アジアのビカーラ種? そこまでウナギを食い散らしてどうする。というわけで、ウナギ味のナマズも登場しかけているわけだが……。
 
一方で、(日本の)ハマグリが減少すると、シナハマグリやミスハマグリ(東南アジア産)を輸入する。外来種のホンビノスガイもシロハマグリの名で出回る。
あるいは近海魚が獲れなくなると、深海魚を商品化する。
 
 
以前、漁業ベンチャーを始めた人に取材したところ、「魚の総量は減っていない。魚種が転換しただけだから、食べるものを変えれば大丈夫」という意見を聞いた。そして「これまで獲らなかったものを獲るか、漁獲していたが市場に出さずに捨てていたものを商品化する」ことを使命としていた。
それも一理あると思う。本当に総量が減っていないのかどうかはともかく、減少一途の魚種にこだわると、本当に絶滅させてしまう。価格も跳ね上がるだろう。資源としては、広く薄く得るのが持続の鉄則だ。
 
 
そこで思い出すのは、北海道で家具作家に、「300年もののミズナラ材がなくなった。どうすればよい?」という質問だ。
なくなりつつあるものを追いかけて、根こそぎ調達するとか輸入材に切り替えるのではなく、「今豊富にある木をいかに利用すべきか考えるべき」というのが私の答だった。その際に例にだしたのはコナラである。本州には大木がうじゃうじゃあるから。
 
もちろんコナラはミズナラより硬くて歪んで扱いづらい材質だし、調達ルートもあってなきがごとし。しかし、家具材としては悪くないという印象を持っている。私の手元にも切り片を長く持っているが、光沢のある木肌は魅力的だ。
 
長い眼で見ると、おそらく世界の森林、日本の森林も樹種の転換が起きるだろう。地球温暖化や乾燥化もあれば、伐りすぎの問題もある。外来種問題も、思わぬ害虫の大発生もある。
その点は水産業と同じだ。もちろん寿命が短く変化の早い水産生物に比べて、樹木は世代交代が遅いから目立たない。しかし、今ある樹種が将来もあると考えるのは危険なのではないか。
 
林業は100年後を考えるべきというが、500年後の変化も考えないとマズいかもしれない。スギの伐採跡地にスギを植えても育たないかもしれない。今はチップにしてしまう雑木の中に将来の宝の木が埋もれているかもしれない。高級ブナ材も、乾燥技術の未発達の頃は役立たずで「木で無い」と書いてブナだったように。
 
今ある木をいかに活かすか。今低品質扱いしている木材をいかに高品質化するか。ここに林業が水産業に学ぶものがあるのではないか。
 
あ、結局、林業につなげてしまったなあ。。。。
 
 
今の私は、「マグロのすべて」本に載っていた珍しいマグロ料理を試してみたくて仕方がないのだけどね。
 
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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

海洋問題と森林問題のリンクとしてはマイクロプラスチックがあると思っております。海洋汚染としてサミットでも取り上げられたマイクロプラスチックの増加を抑えるために、プラスチック製品の木材製品への移行(割り箸など)を進めるべき、と考えております。

そうですね。海洋汚染は複雑で、多要因です。マイクロプラスチックも無視できない。

以前は、地球温暖化を進める二酸化炭素は、海に溶かし込むことで大気濃度を下げる案がありました。ところが、すでに海洋に二酸化炭素が多く溶け込んだために酸性化が進行し、海の生態系を崩しつつあります。ある要因を除こうとすると、別の部分に思わぬ影響が出る。生態系はかくも複雑です。
マイクロプラスチック、今後どんな影響が出るやら……。

あのう、盛り上がっておられるところで書きにくいのですが、「森は海の恋人」ですよ
それと、魚種交代は、人為的な影響に関係なく、周期的に優占種(=同類の中で最多数を占める種)が交代しているのではないかという説で、イワシとサンマなど外洋性の小型魚が議論の中心と思いますが、海底の泥の地層年代ごとの分析結果から証拠が得られています

正月休みに太田猛彦先生の本を読みましたが、海とのつながりの件では水産/海洋分野の重要な研究者たちが全く出てきませんでした
また、逆に水産/海洋分野の専門家が森林に言及する際にも、知見が不十分なような印象です

「森林/林業関係者のための海洋実習」とか「水産/海洋関係者のための森林実習」とかしたら、需要ありますかねえ

>「森は海の恋人」ですよ

もちろん、わかった上で書いているのですよ。海の人(畠山さんです)が「森は海の恋人」と言ったから、山側から「海は森の恋人」と書いたまで。

水産学でいう魚種交代の範囲もわかった上で、人為を含めた獲りすぎや外来種の影響で目立つ魚種が変わっていくことに触れたものです。

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