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森と林業の本

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2016/01/05

明治神宮と伏見桃山陵の森。そして鳥居

また明治神宮の森が注目されているようだ。正月に、NHKスペシャルの「明治神宮不思議の森」が再放送(完全版)されたからだろうか。

 
神宮の森に植栽が始まったのは1915年だから102年目、1921年の完成から数えれば96年目に入る。
 
ところで明治神宮というのは、明治天皇(と、昭憲皇太后)を祭神とする。つまり両者の死後祀ったわけだが、これって言い換えるとお墓(天皇の墓だから陵)である。そこに森をつくったのだから、さしづめ樹木葬(^o^)。
 
とはいえ、故人の遺骨遺灰等を埋葬した場所を墓と定義付けるのなら、神宮は陵墓ではない。本当の明治天皇の陵墓は京都の伏見にある。
 
というわけで、へそ曲がり?の私は、明治天皇陵(伏見桃山陵)を訪れた。
 
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想像以上に立派だ。隣の昭憲皇太后の伏見桃山東陵と合わせると、広大な敷地である。そして、その大部分が森になっている。
 
明治神宮の森は約70ヘクタールだが、こちらも負けぬほどの面積を誇る。しかも明治神宮のような喧騒はなく、静かだ。広い参道(というのか?)を歩くと、鳥の声が響き、非常に心地よい。参道脇には、伏見城建設時のものとおぼしき石材も見学できる。はっきり言って明治神宮より雰囲気あるぞ。穴場だ。
 
敷地は、豊臣秀吉の建てた伏見城の本丸跡に位置する。隣接して桓武天皇陵もある。
陵墓を造営する際にどれほどの木々があったのか私は知らない。何もないところから森をつくったのか、あるいはすでにある森を囲い込んだのか。ただ明治期は京都一円もはげ山だらけだったから、おそらく立派な森はなかったろう。陵墓になることで整備されたに違いない。
 
そして陵墓になれば立入禁止なのだから、100年以上人の手は入っていないことになる(一部、手入れはしているだろうが)。陵墓建設は明治神宮に先んじているから、明治神宮の森より古いのではないか。
 
 
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ちょっと森の内部を覗くと、こんな感じ。かなりの大木もある。スギやヒノキも見かけるから、植栽したものもあるかもしれない。
 
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こちらが天皇の墳墓。基礎はコンクリートだそうだが、上円下方墳だ。こちらも鳥居があるから、神社扱いなのだろうか。
 
その周辺の木々には、落葉樹が目立つ。その点は、関東にある神宮の森は、照葉樹林となったとは対照的だ。しかし関西も潜在植生は照葉樹林帯に属するから、墳墓の回りに落葉樹が多いのは、人が手を加えているのかもしれない。参道周辺は照葉樹が目立つのだが。
 
 
 
ところで、明治神宮の一の鳥居が建て替えられることになったそうだ。現在の鳥居は、タイワンヒノキ製だが、直径1・2mもあるとかで、次に建て替えるのにそんなヒノキはもはや手に入らない。台湾でも、すでにタイワンヒノキの巨木は伐採禁止になっている。
 
そこで吉野杉を使うそうだ。すでに川上村から樹齢250年のスギが伐採されたそうである。もちろん人間が植えて育てた木だ。これまで神社仏閣に使われる巨木といえば天然木だったが、ついに植栽木を使うようになった。環境面から考えると、こちらの方が健全だ。そういえば、私の知っている川上村の巨木林が近年伐られていた。あそこの木ではないか……。
 
ヒノキでなくスギの鳥居となるとどのような加工をするのかわからないが、なんでも白い辺材部分を剥がして赤身部分を使うらしい。だから耐久性はヒノキに負けないのだとか。
いつ建て替え工事が始まるのか、私も詳しいことは知らない。改めて情報を待ちたい。
 

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