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2016/01/19

「ラオスには雑草という言葉がない」

「草と緑」という会員誌が届いた。緑地雑草科学研究所が発行している。

 
その中に巻頭言のエッセイがあるのだが、ラオス奥地の村を訪れた経験が綴られている。
 
そこには「雑草」に相当する現地の言葉がないのだという。そして雨期の水田に行ってみると、田んぼの中には、雑草(に相当する草)がほとんどなかった。
 
聞いてみると、稲以外の草はみんな取ってしまうらしい。ただし、それは食材として。
日本の水田にも多いデンジソウやオモダカなどは人気の食材だという。また強害のヒマワリヒヨドリは、薬草なのだ。
 
日本的な意味で雑草を取るのではなく、それぞれの草に役割があって、利用するために採るわけた。
さらに家畜の糞につく甲虫のフンコロガシも人気の食材で、みんな集めて食べてしまう。
 
この世に不要な草はなく、それぞれの特徴を活かして利用している世界だったのだ。稲と雑草は並列的に扱っているのかもしれない。だから「雑草」という概念がないのだろう。
 
 
ふと、これって昔の林業にも当てはまのではないか、と思った。
 
今でこそ、林業には保育が必要で、植えたら下刈りして、除伐、間伐して、獣害からも防備して……と苗や稚樹を育てるために大変だと言われるが、本来はそうした概念さえなかったのではないかと思うのだ。
 
昔の林業を想像してみると、すべて自分の足で移動し、人力しか頼りにできなかった時代だ。そんな中で、将来の「木材生産のためだけに」山に通い、今は役立たない作業をするだろうか。そんな非効率な動きはできなかったろうと思う。
 
果たして下刈りのために山に通ったか。切り捨て間伐などしたか。
 
多くの育成林業地は、焼畑の地に誕生している。山を焼いて、そこに作物のタネを蒔いて、その間に樹木の苗を植える。そして1~3年くらいは作物を収穫するのである。野菜や蕎麦などの穀物を。それが下刈りとなった。
あるいは林内放牧をすることで、林床の草は家畜の餌となった。
 
間伐も、最初の頃の細い木も使い道があった。直径数センチの丸太だって重要な木材として収穫した。もちろんシカやウサギも貴重なタンパク源として獲った。すると、獣害もあまりひどくならなかった。
 
やがて植樹したスギやヒノキが大きく育つと、林床に食べられる草木も生えなくなる。だから放置する。そのまま数十年経つと、木材を収穫できる日が来る……。
 
無駄なく、すべて利用することこそが文化だったのではないか。
 
今は、多様な利用を忘れてしまっている。
仮に“雑草”の一つに薬効があったとしても、それを摘んで利用しようとしない。薬は薬で、別に(もっと薬効が強い?)草を栽培する。あるいは化学合成する。結果的にモノカルチャーとなり点の効率を追うことで、面としては無駄の多い「文明」となってしまった……。
 
ふと、そんなことを考えるのである。
 
 
残念ながら、現在はラオスでも近代的農業が年々広がり、農薬を使って「雑草」を駆除するようになってきているそうだが……それでいいのか?
 
 

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コメント

なるほど。日本でも昔は里山とか水田から色々な雑草を食料や薬草として採集して来て利用していたのでしょうね。
別に、もったいないとか、エコだとか思っていた訳でなくて、日常生活に利用できるものはすべて利用するという生活が当たりだったわけですね。
食べれる草は食べて、薬に出来るものは薬として利用していた時の知恵はいまでは全く顧みられない時代となったわけですね。

江戸時代の日本人は、案外怠け者だった、というのが最近の歴史学の定説です(^o^)。百姓も、年に何十回と祭とかいろいろなイベントを開催しては遊んでいたらしい……とか。
必死に雑草取りをしている水呑み百姓のイメージは崩れるのかもしれませんね。

それでも田畑をちゃんと維持できた秘密は、こんなところにあったのかな?

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