アメリカの違法木材取り締まり
違法木材の貿易を止めることが世界的な動きになっていることは、本ブログでも再三記してきたと思うが、ちょうどよい実例があった。
アメリカ最大のフローリング材専門小売業者であるランバー・リクイデーターズ 社が、違法木材を輸入したととして1300万ドル以上の罰金を支払うことになったというのだ。ざっと15億~16億円もの罰金だ。
アメリカによる違法木材取り締まりの中核は、改訂レイシー法である。
レイシー法は、もともと魚類や野生生物の取引を取り締まる法律だったが、2008年に海外で違法伐採された木材や木材製品の輸入、輸送、販売、購入を禁止と改訂されたのだ。そして、すべての木材・木材製品の輸入に申告書が必要とした。
その対象は、丸太や製材に留まらず、木枠、木箱、樽桶、工具の柄、木炭、木製まな板、紙の原料のパルプ、新聞紙、トイレットペーパー、化粧用ティッシュ、木製家具まで指定している。
とくに凄いのは、その輸入業者が、違法性を認識していなくても違法とする点だ。ちゃんとトレーサビリィーを持って、違法木材でないことを確認しなかった方が悪い、という考え方なのだろう。
ヨーロッパ(EU)でも、2010年に違法木材法が成立して、2013年3月3日から規制が始まっている。
こちらは、独立した検証機関を設置して、原産国から製品までのトレースできるだけの書類を添付することを義務付けた。対象は、輸入木材だけではなく、国内生産された木材や木材加工品も含む。製材や合板、パルプ、紙までなのだ。そして違反者には罰金が課せられる。
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2月2日の日本経済新聞社説「五輪を農漁業の競争力強化につなげよう」でも認証のことを指摘していました。
国際的に通用する認証を受けた農産物・魚介類が日本ではまだ少ないけれど、今後も輸出を拡大していくことを考えると対応は急務で五輪をその切っ掛けにしましょうと言う内容です。
日本でも規制が厳しくなった場合、既に輸入されていて合法性を証明できない木材が実質売買できなくなるのでは?と言う点が気になります。
スタバやイオンあたりが合法性をアピールすれば業界も本気になるのでしょうか?
投稿: 鵜方湖 | 2016/02/05 07:48
「農漁業」という点が、情けないですね(~_~;)。口にするもの、という括りなんでしょうが、林業は外されているか。
しかし漁業の環境認証、MSC(水産業)やASC(養殖業)より先に森林認証FSCができています。木材にも目が向く日が来るでしょう。
日本の森林認証SGECや合法木材証明が、実は内輪の自分で自分を認証するような制度で、世界的には通じないまま放置したら、そのうち痛い目にあいかねません。(SGECがPEFCの相互承認を受けられたら、多少変わりますが。)
そんな世界的な動きに目を配らないと、いよいよ日本林業はおいてけぼりですな。
投稿: 田中淳夫 | 2016/02/05 09:48