長崎見聞録その2
シイタケと言えば、コナラやクヌギのホダキ(原木)で栽培するものというイメージが強い。しかし今や菌床シイタケが当たり前になった。いわゆる原木シイタケよりずっとコンパクトで早く栽培できる。原木は調達も大変。
とくに原木の国内主要産地だった福島県が原発事故で壊滅してからは、全国各地のシイタケ産地は原木の調達に困るようになる。そこで頼りがちなのが菌床である。
長崎県農林技術開発センターで菌床シイタケの研究現場を見学した。
そこで思わず担当者に注文。
「菌床の元になるオガクズは何がつくっていますか?」
「コナラから」
(笑)。原木のコナラが足りないから菌床に移ったと思えば、その菌床づくりにもコナラがいるという。。。
もちろん基材はコナラだけでなく、ほかにシイやカシなど落葉樹はいろいろ使えるそうだ。
いや、そもそも菌床には米ぬかなどを混ぜており、それがシイタケの栄養源になっている。本当はチップにした木質も分解して栄養にするのだが、まずは米ぬかなのだ。そして、米ぬかの栄養が尽き、いよいよ木質に菌糸を延ばして……という時には、発生が悪くなるので菌床はお役御免。
つまり菌床シイタケは、厳密には木質から栄養を吸収して生えてくるのではないわけだ。
ならばチップ抜きで米ぬかだけで菌床つくれば長持ちしていいんじゃない? という疑問を持つのだが、それはなかなか成功しないとか。やはり菌糸を延ばす床としてのチップは必要なのだ。
この用済み菌床の処分は結構大変らしいのだが、最近はバイオマス発電所に回されるとか。乾燥させればよい燃料になるらしい。なんだか因果な話だ(-_-)。。。
では菌床の元になる基材は足りているのだろうか。福島の放射能問題に加えて、ナラ類はナラ枯れが広がるということはナラ菌が繁殖するということで、そんな木は菌床には使えない。
……実は、菌床の輸入が増えている。主に中国からだ。おそらく大手メーカーでは、中国産菌床をたくさん使っているだろう。
意外なことに韓国がやたら多いのだが、日本も急伸中。約9000トンにもなる。
こうして輸入された菌床からシイタケの菌を打ち込んでシイタケを発生させれば、国産シイタケなのである。シイタケそのものの産地は日本なのだから。
が、産地呼称だけの問題で済むかどうか。。。
この点については、もう少し考えてみたい。
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