無料ブログはココログ

本の紹介

« 『樹木葬という選択』発見 | トップページ | ロングテール本の憂鬱 »

2016/03/30

ツバキ林業と化粧品

先に長崎を訪れた際に、大学時代の同級生に案内してもらった。

 
彼は研究所に勤務しているのだが、現在のテーマは「ツバキ林業」だという。
 
長崎はツバキが多いのだ。正確に言えば、五島列島がツバキの産地なのである。ほかにもサザンカも多く繁る地域がある。そこでスギやヒノキとは違うツバキを利用した林業を模索しているのだ。
 
ツバキから何を収穫するかと考えれば、誰もが思い浮かぶのは材よりも実、そこから絞るツバキオイルだろう。
 
2
 
ツバキオイルといえば、非常に質の高い油が取れる。オレイン酸が多くて酸化しにくく、食用油としても高級品。……そういや、以前、水俣市の愛林館を訪れた際に、館長から椿油の天ぷらを御馳走になったな……。
 
ほかにも用途はいっぱいあって、相撲取りや時代劇など髷付け油は知られているし、固まりにくいから塗装にも使えるし、燃料にもなる。薬効もあるそうだ。
が、もっとも有望なのは、化粧品だろう。すでにツバキという名の化粧品がいろいろ出ているが、高級イメージもあって価格が高く見込める。
 
002
カメリア510という名のスキンオイル。カメリアって、ツバキのことだろう。
 
 
実は、このことを思い出したのは、先日のスウェーデン大使館の森林シンポジウムのときだ。
誰の発言かはっきり覚えていないのだが、おそらく小松製作所の野路会長だったと思う。
コマツは、いろいろな点で林業の支援を行っているのだが、木質マテリアルからのエタノール開発もしているという話が出たのだ。
 
木材を改質してつくるエチルアルコールは、一時期、バイオ燃料として注目を集めたものの、技術的には可能なのだが、全然採算が合わないことが証明されている。そもそも投入エネルギーと発生エネルギーのバランスが悪すぎる。
 
そんな疑問が湧いたところ、「もちろん、このエタノールは燃料として燃やしたりしません。化粧品のベースにできないかと研究しています」と話したのだ。
 
そうか、化粧品の香料にしろ薬効成分にしろ、アルコールに溶かして抽出するが、そこにバイオエタノールを使うという発想か。イメージが大切な化粧品なら、あえて高い植物性アルコールを使うという選択もアリかもしれない……そう思って、ツバキオイルを思い出したのだ。
 
もっとも、ツバキ栽培はいわゆる木材生産よりずっと世話が大変で、林業というより果樹栽培に近いから農業かもしれない。しかし花は美しいのだから、ツバキ林を花の季節は有料花園として経営しつつツバキの実を採取してオイル抽出という多角経営も考えられる。
 
そういやサザンカは山の中に咲いている。実は今日も生駒山を道を使わず登ってきたが、森の中をかき分けていると、わりとサザンカに出会うのである。今は赤い花が美しい。もしかして、スギ林などと共存できないだろうか。光量が減るとサザンカ(ツバキ)は実を付けなくなるというが、間伐率を上げて調整できるのではないか……。
 
 
そもそも、高付加価値な木材生産を、とよく言われる(私も言っている)が、そのためにすべきなのは、枝打ちをせっせとして無節で通直で木目の細かい材を育てることではない。そんなことをしても、何十年も先の収穫時期のマーケットに材価は左右されるだけだ。
必要なのは、今ある材を高価格で引き取ってくれるエンドユーザーを見つけることだ。木材を単なる丸太として売るかぎりは、高付加価値にならないのである。
化粧品などは有望だろう。木材でも、家具材なのかツキ板なのか彫刻用素材なのか……建築材でも、現しにこだわった販売先を考える。もちろん、それに合わせた加工もする。
 
8  わざと根張り部分を残した柱材
 
 
ま、そんなことをカサカサのお手々にツバキオイルをすり込みながら、考えたのであった。

« 『樹木葬という選択』発見 | トップページ | ロングテール本の憂鬱 »

林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36391/63417578

この記事へのトラックバック一覧です: ツバキ林業と化粧品:

« 『樹木葬という選択』発見 | トップページ | ロングテール本の憂鬱 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

森と林業と田舎