ロングテール本の憂鬱
「ロングテール 」と呼ばれるビジネスモデルを知っているだろうか。
ものすごく乱暴に説明すれば、多種多様な商品を備えて長く売り続けることによって、一つ一つの販売量は小さくても全体として大きな売上につながる。時間軸を横にしたグラフにすると、長い尾に見える。……理論だ。
主にインターネット世界のビジネスモデルになっている。なぜならネット空間は、事実上無限に商品数を増やしても陳列できるからだ。(ウィキペディアにリンクしました)
ちなみに反対は、発売後直後は大量に売れて、すぐに尻すぼみになる一過性商品だろう。こちらのビジネスモデルとしては、発売初期に話題に乗って大量に売った後に、在庫は持たずに(売れ残った分は処分する)次の新商品に移る戦略となる。
私の執筆する書籍などは、ネットとは関係なくロングテールだと思っている。あまり流行に左右されないテーマを執筆しているからだ。また売れるのは、ロングテールの見本であるAmazonなどネット書店が多い。
その傾向がわかりやすいのは、私の書いたYahoo!ニュースの記事だろう。アクセス数は、アップ直後だけでなく意外と昔のものが上位に来ている。今でも1年前2年前に執筆した「吉野杉のおすぎを買った女」とか、「ゴルフ場の2015年問題」「カツオ節」などがランキングに登場するのだ。
その代わりと言ってはナンだが、いきなり爆発的に売れることは少ない。
だが、実際の出版業界は、インターネットの普及に反してロングテールを切り捨てる方向に動いているのではないか。版元は、出版した本を長く売ろうとしなくなってきた。多種類の本を出版して、1年2年で販売を中止する。本が残っていても絶版にしてしまう。在庫費用を惜しむのだ。いわばベストセラー狙い。手間隙かけたロングセラー、ロングテール狙いをしなくなったと感じる。
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英語/日本語以外で本を書く、もしくは翻訳する/してもらう。
台湾で「台湾の電力を初めて作った人」の本が売れるのでは?
投稿: か | 2016/04/01 07:29
海外市場。私のこれまでの本は、基本「日本の森」を対象にしてきたからなあ。ちょっと対象を広げようか。
たしかに土倉龍次郎の本は、台湾向きかも。創成期の台湾社会を描くには向いている。
ほかに「樹木葬」は世界に通用しないか?
投稿: 田中淳夫 | 2016/04/01 14:37