私のところには、いくつかの森林ボランティア団体から会報が送られてくるのだが、その中にナラ枯れ被害調査の報告があった。(ネイチャーなら・4月号)
奈良市の某所の自然の森観察路をパトロールしているそうだが、それがなかなか興味深い。
まず2014年11月に、カシナガキクイムシの侵入を受けながらも枯死を免れたコナラ43本にテープでマーキングしたそうだ。
そして2015年の調査によると、枯死を免れた43本は現在も生存している。そしてカシナガが侵入した形跡がない。
一方、前年にカシナガが侵入していなかったコナラは、すべてに侵入が見られた。
また2015年7月に無作為(上記のカシナガが侵入したが枯れなかった木は除く)に選んだコナラ50本をマーキングしたが、そのうち15本が枯死状態だったが、8月に23本、10月に24本が枯れた。つまり約半分が枯れた。
これらからわかるのは、「一度カシナガが侵入したものの、枯れずに乗り切ったコナラは、その後も枯れにくい」ということだろう。言い換えると、カシナガが侵入しても、生き残るナラ類はある。(その割合はわからないが……。)
生駒山でも、カシナガが侵入しつつも、秋の自転ではまだ生きていた樹木はそこそこある。これが今春も芽吹くかどうか、楽しみだ。樹勢を取り戻せば、もう枯れる心配はなくなる。
おそらく全域に蔓延したナラ枯れは、そろそろ収まるのではないか。カシナガが広がるための未侵入のナラ類が少なくなってしまったのだから。
生き残ったコナラが子孫を増やせば、カシナガに強いコナラが自然選択されるはず。大木だったコナラが枯れたら林床にも光がよく入って、コナラの実、つまりドングリの芽生えが期待できるかも。。。
ただ十分にコナラのドングリが自然播種されて芽を出し育つ確率は低いかもなあ。その前にソヨゴなど照葉樹が生い茂るのかもしれない。いや、ササが生えることも考えられる。すると落葉樹は芽生えて育つのは難しくなるだろう。
里山再生に人が手助けするとしたら、ナラ枯れの跡地に生える照葉樹の稚樹を刈り取ることかもしれない。
考えてみれば、雑木林を若返らせるためには、大木を除かなくてはならないが、それをナラ枯れという形で達成できたとするなら、次の作業を考えてもよいかもね。
この状態では枯れずに済むことはないが。。。
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