すでに新聞報道にもなった、自民党の違法伐採対策法案。
朝日新聞4月1日 これはエイプリルフールか(笑)。
(この記事書いた神田明美氏は、スウェーデン大使館の記者会見で私の隣だった人だ。 )
この法案の中身のなさは尋常じゃない。罰則もないうえ、登録制度も何のためにするのか意味がない(任意なのだから)。
せっかくだから、手に入れた法案骨子を紹介しよう。
この法案の正式名称は、合法伐採木材等の利用の促進に関する法律案。もちろん、自民党案であって仮称だが。たたき台という言葉を使っているから決定したものではないようだが、基本は変わりあるまい。
法案骨子を読んでいて気づいたのだが、ここに「違法伐採」という言葉はほとんど出てこない。代わりに「合法木材」の推進としつこく出てくる。つまり違法伐採をなくそうという意図は弱く、合法木材を使いましょう、というだけのものなのだろう。ただし義務も罰則もないから、掛け声だけ。
合法木材と言えば、日本でも合法木材証明はすでに発行されているのだが、これは業者が自ら合法だと「証明」するものだ。誰が自分の扱う木材に「違法」だというものがいるか。書類も自分で作成するわけで、信憑性は弱い。そもそも日本の法律を遵守していると見せかけて、保安林を伐採したり、大面積皆伐したり、再造林を放棄した林地から搬出した木材が多いわけで、目的である森林保全にほど遠いのだ。
今回の主に輸入材を対象にした法案も、そんな国内の合法証明と同じレベルなのである。いや、国内に合わせて引き下げたというべきか。
輸入木材も、原産国の発行する合法証明がほとんど信用できないことが問題なのだが、この法案はそれを認めているのである。それどころか違法性の高い木材を、一気に合法だと言い張れる仕組みづくり(ウッド・ロンダリング!)に利用できる。
せっかくだから、法案の「定義」部分を引用する。
合法伐採木材等
この法律において「合法伐採木材等」とは、我が国又は原産国の法令に適合して伐採された樹木を材料とする木材及び当該木材を加工し、又はこれを主たる原料として製造して得た紙、家具等の物品であって主務省令で定めるものをいうこと。
国の責務の中には、資金の確保と情報の提供が入っている。また広報にも触れているが、義務ではない。
国は、合法伐採木材等の利用の促進に資するため、各国における木材等の生産及び流通の実態並びに森林の伐採に係る法制度に関する情報の収集及び提供、登録木材関連事業者による優良な取組の状況の公表その他の必要な措置を講ずるものとすること。
優良な取組は公表するが、違法・不良な取組(^^;)は公表しないよう。
事業者及び消費者の責務
事業者及び消費者は、木材等を利用するに当たっては、合法伐採木材等を利用するように努めなければならないこと。
やはり「努めなくてはならない」レベルで義務ではない。罰則もないらしい。
指導及び助言
主務大臣は、合法伐採木材等の利用を促進するため必要があると認めるときは、木材関連事業者に対し、六の判断の基準となるべき事項を勘案して、合法伐採木材等の利用を確保するための措置について必要な指導及び助言をすることができること。
かろうじて「指導と助言」をするらしい(笑)。
林業団体などは、何も動かないのだろうか。
私なら、この法案を欧米のマスコミにリークして、伊勢志摩サミットの際に追求してもらうけどな(;´д`)。首相に恥をかかせたら、少し変わるかもしれない。大臣の「指導」よりも効果的だろう。
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