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森と林業の本

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2016/05/27

枯れないナラ枯れ木はどれぐらい?

昨年、生駒山はナラ枯れが大拡散したのだが、その結果が今春によく出ている。

その中で、ナラ枯れ状態だったのに枯れずに若葉を芽吹いている木があることも報告してきた。
 
今回観察したのは、これ。
 
1
 
根元にある木粉の量を見ると、かなり派手にカシナガに侵入されたようである。
 
2
 
が、上を見ると、なんと若葉が開いていた。
 
6
 
こんな具合。残念ながらモサモサと不定芽が出たような状態なので、あんまりみっともよくないが、まあ、枯れずに済んだことの証明だ。
 
どうやら、結構な割合で生き残れるようだ。この割合を調べた人がいたらよいのだが、私の感覚では、1~2割といったところか。
 
しかし、これはそんなに低くもない。まずナラ枯れにやられるのが太いナラ類を中心に、半分ぐらいとしたら、そのうちの1割以上が助かるわけだ。
 
もちろん山には、ナラ類以外の木も生えている。いくら生駒山はほとんどコナラ林と言っても、コナラは全体の半分以下だろうから、その半分が枯れて、さらに復活できる分を引き算すると、枯れるのは2割ぐらい? 
ちなみに枯れた木は、そのうち倒れて空間ギャップをつくり、そこに光が射し込めば別の草木が生えてくるだろう。それがナラ類なのか別の種類なのかはわからないが。
ギャップに生えるのはソヨゴなど低木が多いという調査結果もあるが、長い目で見たら、きっとその間から高木も出てくるだろう。
少なくてもナラ枯れの跡に裸地が増えるほどではなさそうだし、カシナガも減少していけば、若返って新たな森が広がるのではないか。
 
 
これは推定というより感覚的なものを数字に置き換えただけだが、案外森のダメージは低いかもしれない。これぐらいなら生態系が狂う、と心配するほどではないように思えてきた。
 
もちろん、ナラ枯れ以前の植生とは変化が出るし、昆虫とか鳥獣、土壌生物まで含めた森林生態系も変わるかもしれない。しかし、それは自然界の摂理に沿ったものではないか。むしろ自然の遷移として捉えられる。
 
ナラ枯れは納まったのかどうかは、今夏の様子まで待ちたいが、とりあえず安心感が漂ったのであった。
 

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