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2016/05/06

潰れそうな「林業」を潰さない方法

昨日のエントリーの続きみたいになる。

 
日経新聞に潰れそうなあの店が潰れない秘密 」という記事が掲載された。会員限定だが、登録すれば読める。
 
その記事は、「閑古鳥が鳴く店内、時代遅れの外観。だが、潰れそうで潰れない──」と始まる。
ここで記事をざっくり要約してしまおう。閑古鳥が鳴いても経営が安定している理由は、
 
①不動産収入などがあるケース。つまり別の収入源がある。
 
②外部から見えないが客はいるというケース。店に来なくても地域の学校や病院などと取引している。あるいはネット販売をしているとかも当てはまるだろう。
 
③極めて限られた顧客に、高利益率の商品・サービスを提供している。
-1) 競合相手が極端に少ないため、全国から客が来る。
-2) 事業コストが極端に低い。ほとんど技術料で粗利益がほぼ純益になる。しかも単価が高い。
 
④地域と助け合っている。利益を出そうとせず、地域への利便と雇用を提供するために存在する。沖縄の共同店のモデルだ。
 
 
このように4つ5つの理由を並べている。これを「潰れそうな林業」に当てはまるとどうかな、と思った。
 
①は、実は結構多い。林業とは別の儲け口を持っている。ある意味、林業が副業だ。それは大きな会社経営もあれば、農業と兼業したり、勤めている場合もあるだろう。不動産系の経営したり株の配当が潤沢にある……といったケースもある。
 
②これに相当する林業は、別の事業という点は①と同じだが、林地を使うビジネスであることだ。キャンプ場とか遊戯施設、花園経営もわりと大きい。サクラやアジサイを育てて客を招くのだ。
 
③-1は、競合相手が少ないものというのは、たとえば銘木生産。広葉樹材もありえる。カエデの樹液を絞って商品化、なんてのも該当するだろうか。とにかく特殊な商品を用意することが重要だ。
 
③-2は、技術力を仕事にする支障木伐採や特殊伐採。そしてアーボリカルチャーかもしれない。伐った木を売り物にするのではなく、伐ることが仕事なのだから。
 
④。これは、特殊すぎて……しかし、山村にもっとも当てはまる業態かも。村の維持のために、補助金などを使い、利益も出ないのに山仕事をする。もっとも、そのためには林業は副業となり、本業が必要だ。
 
 
 
いかかだろうか。 これで「潰れそうな林業が潰れない秘密」になるだろうか。 ただし、林業全体ではなく、個別の経営体として生き残る術だ。
 
 
 

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コメント

ただし書きもされてますが、業としては体を成してないですね。

そう、林業として生き残るというより、林家として生き残る方法ですね。
その積み重ねで多くの林家が生き残れば、結果として林業を次世代に引き継ぐ、ということになればと思います。

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