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2016/05/30

ボルネオと違法伐採

昨日の朝日新聞2面に大きく熱帯雨林の破壊問題が取り上げられた。

 
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具体的に取材されたのは、マレーシア連邦サラワク州(ボルネオ島)だ。熱帯雨林からメランティなどフタバガキ科の大木を伐採して合板にして、その大半を日本が輸入している……という記事である。
 
私にとってこの記事は、20年ぐらい前、いや30年ぐらい前の既視感。
 
そう、随分昔からボルネオでは伐採が問題となり、その木材を購入している日本が「熱帯雨林破壊者」として矢面に立たされていた。そして私は、その頃からボルネオに通い続けたのである。
 
その頃と記事の内容もほとんど変わらない。言い換えると、20年経っても、問題は何一つ解決せず今も続いているということか。
 
あえて言えば、当時は日本企業そのものが取り上げられたが、ここでは現地企業を違法伐採の疑い濃厚として取り上げている。実際、日本企業は当時からあんまり関わっていなかった。あくまで丸太か合板を輸入しているだけだった。違法伐採は現地企業が行い、日本はそれを輸入する……。またいくら酷い伐採をしていると言っても、現地州政府の「合法証明」は出ていた。
だから、こうした自然破壊を伴う手段で伐り出された木材を扱わないようにするには、輸入する企業が木材の素性を調査して問題ないか確認する必要がある。だが、日本は何もしてこなかった。
 
さて、今回の記事の眼目は、むしろサイド記事だろう。
現地の証明あれば「合法」』と見出しがついているところと、下段の「違法流通規制 日本は1年後施行 確認、努力義務どまり」のところ。ここでは、とうとう国会で可決した「合法木材利用推進法」のことが紹介されている。
 
後者をアップしておく。
 
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この法案が提出されたときも記したが、どんなに言い訳しても、努力義務に留めて罰則がないものに何の威力があるだろう。ザル法である。結局、今後も日本は違法木材に対して消極的な態度が続くということだ。
 
 
実は、このところ私は、過去から現在までの森に関する体験談の洗い出しを進めている。なんか老い先短いから自分の人生を振り返っているような気持ちになるが……やはり大きな比率を占めているのがボルネオだった。通った回数はともかく、異常でヘンでオカシナ体験をしたのは、ボルネオが多いのである。
 
その頃訪ねたサラワクの各地の事情と、今回の記事はだぶる。
このところボルネオ詣でも行わなくなっているのだが、事態は変わらんという点を確認した次第である。そして日本は間接ながら破壊に関与し続け、何も改善しないのである。
 
 
 

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