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2016/06/12

セルロースナノファイバーvs炭素繊維

昨年はセルロースナノファイバーの話題を結構触れた。

木材のまったく新たな利用法として、ナノレベルの繊維(ファイバー)まで分離した素材である。強度は鉄の5倍以上とか、透明にでいるとか、食べられるとか、いろいろな機能性を持っている夢の素材として、今後の成長分野として注目を集めている。

 
その後、どうなっているか、なんだか世間で話題にならないから、ちょっとメモ的に残しておこう。
 
まず、実証プラントが今年中に各地にできそうだ。
まず日本製紙が、すでに3年前から岩国にプラントを稼働させている。
大王製紙は、今年前半に愛媛で稼働予定。
王子製紙(ホールディンクス)も、今年後半に徳島で実証プラントを稼働させる計画。
 
そして中越パルプ工業が鹿児島県に、商業プラントを来年春に完成させようとしている。
 
 
……こうして見ると順調なのだが、ちょっと疑問が湧いてきた。
 
セルロースナノファイバーとよく似た新素材、夢の素材がかつて登場していたぞ、という点だ。
 
それは、炭素繊維。こちらは石炭石油からつくるが、鉄と比較して強度が10倍とか比重は4分の1とか騒がれたのではないか。ほかにも耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、電気伝導性に優れるとか。「軽くて強い」繊維として大注目された。そのうち金属に取って代わるぞ、と騒がれたことを覚えている。
(なんか、数字を見ているとセルロースナノファイバーより凄いが。。。)
 
Photo 炭素繊維
 
 
炭素繊維そのものは、発明されて60年ぐらい経つ。もちろん商品化されていくらかは出回っているが、金属や合成樹脂に取って代わったというほどではない。
どうやらコストが高くつくほか加工も難しくて、十分な使い道が見つからないらしい。ちなみに現在の製造コストは、キロ3000円。
 
 
そうなのだ。問題は何に使うのか、ということ。それもコストが見合い、現在の素材以上に優秀な点を示さないといけない。
 
その特異な機能性は語られるものの、そのうち商業ベースに乗りそうなのはどれなのか、コストと需要の予測は立てているのだろうか……。
 
 
そして、炭素繊維によって石油の需要が伸びたとか、石炭が高く売れた、ということのないように、おそらくセルロースナノファイバーが世間に広がっても、そのことによって木材の需要が伸びることも木材価格が上がることもないだろう。
 
ようするに夢の素材は、素材の元を生み出す産業(この場合は林業)には貢献しないのである。
 

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森林資源」カテゴリの記事

コメント

炭素繊維、超使われてますけど
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%AD%E7%B4%A0%E7%B9%8A%E7%B6%AD
有名どころでは飛行機、あとは釣り竿とかラケットとかゴルフのシャフトとかよく耳にします(カーボン、て称されてます)
日本のメーカーが市場を独占していて、日本は世界一炭素繊維が入手しやすく安価な国らしいですよ
それに、燃料需要を圧迫するほど繊維の需要があるとは思えないし、炭素繊維は丈夫が売りですから、「燃やして終わり」とは比較にならないのでは

ええ、その程度には。ボーイング787は、機体の半分ぐらいが炭素繊維だそうですね。
でも、身の回りの金属がどんどん炭素繊維に置き換わったというほどではない。発明されて60年でも、この程度。
セルロースナノファイバーが普及するのも、それなりの年月がかかりそうです。

現在、林業界ではセルロースナノファイバーが救世主になると期待する向きがあります。それに冷や水かけただけです(笑)。

林業地においてナノファイバー的なプラントが補助事業で誘致されることがよくあります。
しかし、よく考えてみれば分かるように、その事業化が誘致された林業地の林業に寄与されることはまずありません。ただ、事業計画に林業の振興という文句が入るにすぎません。
そのことが本当に理解されているのか、林業を振興させようとしているイメージ作りだけに林業へ振り向けられるべき税金を原資とする投資が費やされることに疑問を持っています。
そんなことに限られた林業関係予算を費やしていることに疑問を持たないことに、もはやこの国の林業は産業として成長することはできないとも思います。
何に投資するべきかがもはや分からないから意味不明なものに、言葉が悪いが「どぶに捨てている」。
バイオマス発電、ペレットの製造施設など、林業とは直接関係はないとも思っています。

コメントを読み直してみて少し過激すぎるかと。
ナノファイバー、バイオマス発電、ペレット製造など無駄な事業ということではありません。
ナノファイバーは素材研究で、バイオマス発電、ペレットはエネルギー研究などで補助事業をしてもらえばよいということです。
企業での研究では国からもらえる補助金を探し、申請をしています。ナノファイバーではセルロースナノファイバーだから木材から抽出可能であり、木材であれば使われていない間伐材が利用可能であるというように、補助申請で作文をして補助事業に採択されることを目指します。1億かかる事業で半額の5千万円が補助金でもらえれば助かります。というよりか補助金でより多くの研究が可能ということです。
今、林業で必要な研究は林業コストの削減、将来を見据えた林業の在り方、流通の根本的な見直し、そして木材価格が高い利用方法の研究でしょう。その中で最も望むのは木材をどのように利用すれば、加工、流通を含めて、林業が産業として持続可能であるかという研究です。


セルロースナノファイバーも炭素繊維も、優秀な素材だと思っています。だから大いに広がってほしい。
ただ、それが林業など川上の産業を活性化するかと言えば疑問なんですね。

同じことはバイオマス発電などでも言えますね。使えば林業振興、という風潮が強いけれど、本当に必要なのは川上に利益を生むかどうか。経済ですから。
高くても量が出そうにないファイバーに、大量に消費しても単価が安い燃料需要。そこに流通やコストの見直しも関わってくると思います。

普及ベースで大した事があるないを図るのは愚かだと思います

例えば金を建築材料にする事なんてありえないが、電子工業材料としては欠かせません。
炭素繊維は元からそういうグレードの素材です
逆にいえば高くても必要とされるわけです。

鉄やアルミニウムの代わりになれないからダメなんてのは最初から藁人形論です

そしてどんな産業も原材料より加工した物の方が価値が高いのは当り前の事でしょう。

食品関係だけが例外ですけど、これはそのままの方が加工食品より腐りやすいからと、生食用に回せないものも回せる

セルロースナノファイバーがどれだけ活用できるかは結局それが
どれくらいのポテンシャルがあるかです。

まあはっきり言って確かにそれが有望でも安い外材でも作れるならそっちに流れるでしょう。
それだからと言って無駄だなんだと言う意味はわかりませんけどね。

9月18日のサイエンスゼロみました
わたしもセルロースナノファイバーが日本の林業を活性化させることはないと考えます
セルロースナノファイバー(CNF)が普及するにはCNF原料コストと製造コストを下げねばなりませんそこで製紙メーカーがパルプ原料としても採用しない日本の材木をCNFメーカーCNF原料として採用するでしょうかまずありえませんもっと安価な原料(植物)を採用するでしょう

あ,サイエンスゼロでセルロースナノファイバーを取り上げたのですか! 気がつかなかった。。。再放送(今週土曜日か)に期待しよう。
ちなみにセルロースならなんでも材料になるので、木材じゃなくてもいいし、農業廃棄物から取り出した方が効率的かも。

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