とうとう名古屋城の天守閣が木造で再建することが決まったのだそうだ。
本気か? できるのか? そうして、とうとう決まったか……。
そんな気持ちになるのは、すでに私はこのことを幾度も記してきたから。まず2年も前のYahoo!ニュースには……。
さらに、そのことを中日新聞が取材して。
今回の計画では、延べ床面積が4564平方メートルで、姫路城の約2倍の規模なのだそうだ。
そして、本来の天守閣(焼失前)は、大天守と小天守を合わせると4841立方メートルの木材が使われた記録があるらしい。主にヒノキで、ほかスギやマツ、ケヤキなど。
はたして必要となる木材の量と質はいかばかりか。
もし無垢の長大材・大径木材を使おうとすると、行き詰まるだろう。 木曽檜も伐らせてもらえないし、全国でそんなヒノキが手に入るわけない。となると外材か。しかし、名古屋人が望んでいた木造天守閣とは、世界中の森林破壊をして集めた木で建てたものだろうか。
どうしても木造で建てたいのなら、小径木を寄せてつくるんだねえ。
接着剤使う集成材はイヤというのなら、膠で貼り付けクサビとタガで締めたり、伝統の根継ぎの技法を使えばよい。
この手の技法は、国宝の松江城や東大寺大仏殿で多用しているのだから、文句は出ないだろう。
ただ……その前に、なぜ天守閣ブームなんだろうか。城の天守閣は、あくまで戦国の合戦用。江戸時代は使われずに倉庫代わりになっていたというのに。藩主もみんな、別の平屋に住んでいたし、業務もそちらで執り行っていた。江戸城は早々に天守が焼け落ちて、再建しなかった。必要ないわけだ。
それに姫路城も名古屋城も、江戸時代に入ってつくったわけで、一度も合戦を経験していない。歴史もストーリーもロマンもあったもんじゃない。
江戸城や甲府城、駿府城などの「あやしい復元計画」には
必ず某H島大学のM浦教授がいます・・・(^^;)
TVにもよく出る、城の建築関係の有名人ですが、クライアント
にあわせた話を作ることでも有名で、講演会でもその会の
町の城を過剰に持ち上げる。
とにかく、建築見積をかなり低く見積もり、その結果、各地の
「観光振興」などの錦の御旗を振りかざす、文化財などには
無知な団体などを結果として煽ることでも有名な方です。
(城好きの中での流石に問題視する人間も増えています)
投稿: 元関西にいた男 | 2016/07/03 19:49
ほお、面白い情報ですね。たしかに、仕掛け人がないと動きにくい。でも、いくら提案されても、冷静に建築費だけでなく維持費、そして経済効果まで計算して決断しない地元自治体もどうなんだか、と思いますけどね。
投稿: 田中淳夫 | 2016/07/04 08:53
この教授、例の江戸城天守でも、350億円と見積もって
いますがあの「名古屋城天守」より大きな江戸城天守なのに
ね~
(数年前最大400億円だった名古屋城天守復元、今では
500億円・・・なら江戸城は?(^^;))
甲府城天守も、地元商工会議関連が暴走気味で署名集めまで
していますが、松江城天守と同規模と主張するくせに、建設
見積もりは「13億円」・・・(^^;)びっくりです(苦笑)
(この甲府城天守にもH島大学のM浦教授は関わっています)
あと、三重県の津城もやばいですね~天守ではないですが、
三重櫓二つと「100mの多門櫓」復元に6億円・・・
私見ですが、津城のケースは最低でも15億円だと思います。
(まあ、20億円が私個人的の見積もりですけどね)
投稿: 元関西にいた男 | 2016/07/04 23:13
詳しいですね(笑)。これ自体、記事になりそう。見積額?と実際の建設費の落差を追えば。
まあ、教授としては提案するだけで、それを決断するのは首長、そして予算を承認するのは議会なわけですが。誰かやらないか。私は……まあ、教授の名前は調べましたが(~_~;)。
投稿: 田中淳夫 | 2016/07/05 10:20
名古屋城の件で、奈良大学の千田学長様がかなり名古屋市に
怒っています。(本人のツイッター&TV愛知の番組見る限り)
どうです、奈良県民としてタッグを組んでみては?(爆)
文化財&史跡保護の点から問題指摘は千田先生が。
田中さんが森林資源や木材の点から問題提起・・・中日新聞が
お二人の対談をセッティングすれば、愛知県のこの天守問題
を理解していない「木造天守、万歳!」という、某国のEU離脱派
のような県民も少しは理解できるようになると思うのですがね~
リニア開通の2027年でも早すぎですからね~はあ(^^;)
投稿: 元関西にいた男 | 2016/07/06 00:23