無料ブログはココログ

森と林業と動物の本

« ウルトラ重機の世界 | トップページ | 燃やされるリグニンと研究 »

2016/07/31

団扇……の骨の危機

そろそろ夜も耐えがたい暑さの残る季節である。

 
仕事中はエアコンも仕方なし、と入れているが、そうでない時間はひたすら扇風機で頑張る。
 
そして……身近には団扇。もっとも、暑い部屋の空気をかき乱しても涼しくならないよ。。。そこで取り出しましたる和の団扇。
 
003
 
夜、ベランダでひんやりした風を、この団扇で起こすとホッとする。
 
写真は、熊本県山鹿市の栗川製団扇。「来民(くたみ)の渋うちわ」というのだそうだ。竹の骨に和紙に柿渋を塗った伝統産業だ。しかし、今やつくっているのは栗川商店一軒になってしまったという。
 
熊本県がかつては団扇の一大産地とは知らなかった。(京都、丸亀と並ぶ日本三大団扇産地……だったとか。現在は9割が丸亀製。ただしプラスチックが主流。)
 
扇ぐと、紙独特のパタパタという音が涼し気。プラスチック製ウチワに太刀打ちできないだろう。
 
ところで、この団扇の骨だが、3年ものマダケを材料にして、節から割って扇状に広げている。栗川商店では冬の間に作ってしまうというが。。。。
 
 
実は、団扇の骨が危機なのだ。日本製団扇と言えば和紙に価値がある、と思いがちだが、本当の価値は竹製の骨にある。竹材を割って数十本の骨として広げる技を持つ職人は、ほとんどいなくなった。
 
現在は、多くが中国製に取って代わっている。もともと団扇は、中国で生まれたようで、日本には古墳時代に伝わっている。
とはいえ、中国だって、いつまでも団扇の骨職人がいるとは限らない。中国に頼れなくなったとき、どうなるのだろうか……。
 
010
 

« ウルトラ重機の世界 | トップページ | 燃やされるリグニンと研究 »

森林活用(茶・蜂蜜・山菜…樹木葬)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 団扇……の骨の危機:

« ウルトラ重機の世界 | トップページ | 燃やされるリグニンと研究 »

June 2025
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

森と筆者の関連リンク先

  • Yahoo!ニュース エキスパート
    Yahoo!ニュースに執筆した記事一覧。テーマは森林、林業、野生動物……自然科学に第一次産業など。速報性や時事性より、長く読まれることを期待している。
  • Wedge ONLINE執筆記事
    WedgeおよびWedge on lineに執筆した記事一覧。扱うテーマはYahoo!ニュースより幅広く、森林、林業、野生動物、地域おこし……なんだ、変わらんか。
  • 林業ニュース
    日々、森林・林業関係のニュースがずらり。
  • 森林ジャーナリストの裏ブログ
    本ブログの前身。裏ブログとして、どーでもよい話題が満載(^o^)
  • 森林ジャーナリストの仕事館
    田中淳夫の公式ホームページ。著作紹介のほか、エッセイ、日記、幻の記事、著作も掲載。