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2016/07/19

「漂流アドベンチャー」と「漂流の島」

昨日、BSプレミアムで「池内博之の漂流アドベンチャー」という番組を見た人はいるだろうか。

ようは江戸時代に幾多の漂流民が漂着した鳥島を取り上げた番組だ。実際にヨットで土佐清水から鳥島まで嵐の海を航海し、島を訪ねる。なかなか貴重な映像を見ることができた。
 
030  
 
私は直前に「漂流の島 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う」(高橋大輔・著 草思社刊
を読んでいたので、ベストタイミングであった。
(サイドバーにリンク追加)
 
 
Photo
 
著者の高橋氏は、探検家である。実際にアメリカの「探検家クラブ」やイギリスの「王立地理学協会」など探検家の巣窟、もとい殿堂(^o^)のような組織の会員だ。
 
これまで小説「ロビンソン・クルーソー」の モデルとなったセルカークの暮らした無人島を調べたり、間宮林蔵が渡ったシベリアの地を特定すべく歩いたり……といった活動をしていて、その成果を本にしている。私も、彼の作品はたいてい読んでいる。
 
上手いところに目をつけるなあ、と思っていた。実在のセルカークについては私も興味を持っていたし、間宮林蔵の最大の功績は(間宮)海峡の確認だけではなく大陸に渡ったことだと思っているからだ。
 
で、今回は、多くの漂流民が暮らした鳥島だ。有名なのはジョン万次郎だが、ほかにも江戸初期から100人以上が流れ着いている島である。彼らの生活した痕跡を探そうというのがメインテーマ。
 
しかし、ここに大きな壁がある。鳥島は一般人の立入を禁止しているのだ。そこで文献をたどり、細かな事実関係を整理するとともに島の歴史を追いかける。そして入島が許されているアホウドリの研究家たちと連絡を取る……。
 
すると、なんと、島で行う土木工事の作業隊に同行して(実際には調査の補助的役割だったよう)島に上陸する機会を得たのだ。
これは羨ましい。滅多にないチャンスをつかんだわけだ。
そういえば、私も山科鳥類研究所の友人がいるのだが、彼女も鳥島に渡っていると聞いたときは「連れてって!」と叫んだものである(笑)。
 
 
……その顛末は、ぜひ本書を読んでいただきたい。
 
 
ただ、少しネタバレ覚悟で書けば、本格的な調査をしようと企てた二度目の渡航は、東京都に阻まれる。鳥島は、アホウドリ以外の目的では上陸できないと門前払いされたのだ。
 
そんなところに、NHKのドキュメンタリー制作者から接触があったという。鳥島の漂流民に関する番組を作るという……これが冒頭の「漂流アドベンチャー」である。
ところがNHKの取材さえ、都は拒否したらしい。……もはや筋金入りの探検拒否である。。。
 
ま、本はそうしたところで終わっているのだが、現に番組は完成して放映されている。
 
ここからは推測になるが、鳥島のシーンはあくまでアホウドリの保護活動を紹介する番組をつくることにして許可を取り付けたのではないか。
実際、前半はヨットで島にたどりつくまで、やや冗長気味に描いていて(しかも鳥島という地名をまったく出さない)、後半の上陸後はあまり漂流民には触れずアホウドリばかりを追いかけていた。
 
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たしかに、現代の調査・探検活動は許認可が最大のネックなのである。
 
少し昔になるが、大学の探検部で小笠原諸島を目標に定めたとき、なかでも南島とか母島の石門など特別保護区に入ることの許可を取るのに難儀したことがある。どうしたら了解を取れるか。。くしくも相手は東京都だ。
 
まず申請方法を調べた。じっくり書類を読むと、調査目的や内容を示すほか、調査する現地の写真を添付のこと、とあった。
 
えっ、写真がいるの? 写真はどうやって撮るの? 
 
そこで閃いた。調査申請書を書くための写真を撮るための予備調査に行こう!
 
隊の名前を「予備調査隊」として、まんまと現地入りしたのである。ま、実際は小笠原支庁を訪ねて「調査届」を出したけどね。ここもポイントで、「調査願」を出したら却下されかねないから「調査届」にしたのだ。願われたものに許可を出したら、何かあったときに担当者が責任を負いかねないから嫌がる、しかし「勝手に入りますよ」と届けるだけなら文句つけにくいわけ。
 
そして未知の洞窟などを発見して報告したら、その後は全然問題なく保護区に入れるようになったなあ。これは黙認だろうけど。
 
 
……そんな思い出話はともかく、鳥島の映像を見て、私もまたどこかの南の島に行きたくなった。ちなみに私のホームページは、「安楽椅子探検家のヴァーチャル書斎」という名称であり、メインとして
 
 
を置いている。できるだけ無名の探検家、冒険家を紹介するという趣旨で20年近く前につくったもの。ホームページの作り方の勉強を兼ねていたし、まだデジカメもスキャナーもなかったのでヴィジュアルなし。非常に読みにくい。しかも100人めざしていたのに68人で止まっている。
ちなみに、この中には漂流民は入っていない。基本的に自由意志の行動という線引きをしているので、漂流という事故は含めていないから。
 
今回、サイトの移転も行ったので、これを機に復活させようかと思っている。ネタはいろいろあるのだ。書くパッションさえあれば、あと32人くらいは軽い。なんて(~_~;)。
 
ともあれ、実際に現地を歩くか、安楽椅子に座って沈思黙考するかはともかく、探検活動を再会したいものである。遭難ではなく。
 
 
 

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コメント

確かに、このところの遭難は予定調和的なぬるさがあったので、本格的な遭難または探検をば期待しております。

沖の鳥島はやっぱり岩でしょ、で炎上とかいかがですか?

ただいま、探検本を執筆中です( ̄^ ̄)。
 
沖ノ鳥島は岩礁ですね。キッパリ。
世の中、世界中がダブルスタンダード、トリプルスタンダードで動いているのです。自分のしていることは棚に上げて、他者を攻撃するのは世の習い。

ちなみに、南沙諸島は日本領土ですよ。あの中の幾つかの島を発見したのは日本人ですから。新南諸島という名も付けています。
ここは中国(台湾)、ベトナム、フィリピン、マレーシアなどを押し退けて、日本が領土を主張すべきです。

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