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森と林業の本

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2016/08/23

情報のバーター取引

ちょっと仕事に関して思うこと。
 
私の仕事は、基本的に情報を扱うことだ。そのためには私自身が情報を集めねばならない。現場の人や識者から聞き出すだけでなく、文献を漁ることも重要となる。次に、集めた情報を練って自分なりに理解を深め、自らの意見を付加していく。さらに発表舞台や方法を考える。
 
そんな情報収集技術をどこで身につけたか。。。とふと考えたのだ。
 
一つは大学の卒論だろう。
先日、某教授と話していて、「卒論とは、考え方のプロセスの勉強だから、結果はあまり気にしない」ということを言われた。たしかに学生の研究結果が使い物になるわけがない(笑)。データの集積と考察の仕方を学ぶ過程だと割り切った方がよい。逆に言えば、卒論を本気で仕上げることこそ、もっとも大切な勉強法だと思う。
 
もう一つは、学生時代の探検部の遠征プロジェクトだ。
私は学生時代、ボルネオと小笠原諸島の遠征を手がけた。しかし、現地情報がほとんどない。当時はネットもないから、情報収集は大変だった。
図書館へ行って、タイトルにボルネオ(小笠原)の入っている本を集める。雑誌や論文集を片っ端から見て、タイトルにボルネオに関することが出てくるものを探す。その参考文献に登場する文献をまた漁る。その文献の参考文献から別の文献を見つける。小笠原諸島の場合など、礼法の小笠原流の本まで手を出した(アホや)。
さらに著者に連絡を取る。直接関わった人が見つかれば訪ねていく。そして別の人を紹介してもらう。遠征計画が新聞報道されると、何らかの反響があるので、またそこから情報をたぐりよせる。
 
 
……ま、そんなことをしつつ計画をまとめて、とりあえず現地に行くのだが、そこで新たな情報に出会うわけである。それもとっときの。
 
たまたま当時集めた資料を手に取る機会があった。稚拙だが、すごい、と自分を褒めたくもなった(^o^)。
そして、今も同じことをしていることに気づく。あの頃の経験のまま今の取材をしているな。。。と感じたのである。ただし、今はネット検索があるので、はるかに楽になったが。
 
 
 
ところで、現在だからこその情報収集方法を一つ紹介しよう。
 
長年森林に関する情報発信をしていると、私が取材される側に回るということもままある。意見や情報を求められることがあるわけだ。
ただフリーである私の持っている情報は、まさに飯の種。それを安易に(無料で)提供できるだろうか。ちゃんと情報の対価を払っていただかないと困る。私だって情報を収集することに私は金も手間もかけているのだから。
 
かといって、最初から情報料を請求しても無理なこともわかっている。日本の社会は、企画などの段階で金を払うシステムになっていない。
 
そこで最近よく行うのが、情報のバーター取引(⌒ー⌒)。
 
私の情報を提供する代わりに、そちらの持っている情報を私にも寄こしなさい、というわけだ。何らかの古文献(のコピー)をいただくこともある。経験談を語ってくれるだけでも有り難い。情報以外に、先方の権威等で私の取材に協力してくれてもよい。
私を取材しようとした時点で、ほかのところの取材もしていることが多くて、そちらの情報をいただくこともある。
 
業界情報はオイシイv(^0^)。森林研究現場に林業界、木材業界、建築業界。そしてマスコミ業界。いろいろある。とくに裏情報は好物だよ。こっそりメールでアブナイ現場の話を伝えてくれる方もいる。案外、直接会って聞き出す情報より中身が濃かったりする。
 
 
この前は、私を取材に来た人が林学出身で、それどころか大学院にまで進んでいて、私よりはるかに優秀な学歴の持ち主だった。当時どんな研究をしていたのか聞いてみると、ちょうど私が興味を持っている分野。
 
そこで修士論文をいただいた。これぞ、まさに情報のバーター取引だろう。そんな情報こそ、質が高く、ほかに例のないものが含まれているのだ。
 

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コメント

今は、その文献を引用している文献を探せますねー

当時(40年くらい前か?)と比べると隔世の感があります。今は情報を見つけるのが格段に楽になった……けど、実際に必要な情報に接するかどうかは別問題。

大量の情報を取捨選択できる人、大量の情報に踊らされる人、情報に興味が無い唯我独尊の人、などに分化してきたのかも

次の段階は、情報リテラシーでしょうね。

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