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2016/08/03

FSCで「グローバル化」を!

昨日は、大阪で開かれたFSC(森林管理協議会の森林認証制度)の公聴会に顔を出した。

FSCの森林管理規格が改定されるのに合わせて国内基準づくりを行っていくなかで、一般からの声を聞く催しである。私は、勉強のつもりなので、大人しく(^o^)。
 
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まず厚さ9㎜ある草案資料を渡され、改定部分の説明を受け、その後の質疑・討議……という流れだが、正直頭が痛くなった。膨大な量だけに惚けた頭で消化するのは大変だ。
 
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FSCは国際組織であり、その森林認証制度も国際的な広がりがある。そこで国際的な共通の10の原則と70の基準をつくり、各国の森林事情はそれぞれ違うため、それらに合わせた国内森林管理規格を策定する……という複雑な段取りになっている。
 
ここで改定部分を紹介することはしないが、たとえば、「労働者の権利」部分が強化されたことを感じる。「男女平等の推進」のほか、安全装備、ボランティアや研修生に対する安全や衛生……などが具体的に定められようとしている。
 
さらに自然林や人工林の定義の見直しなど、細部に渡る。
 
Img002_2  
 
終わってからの脳疲労が激しく、ちょっとクールダウンするつもりで会場で出会った二人と飲みに行ったら、そこで話を延々してしまい喉が枯れたよ……(~_~;)。
 
 
改めて思うのは、FSCを通して見える世界的な林業界の動きだ。目まぐるしく動いていることが伝わってくる。人々の森林に対する捉え方も、施業に関した事情も。そして違法木材はもちろん、森林環境の保全に精力を注ぎ込んでいる様子がうかがえる。
興味深いのは、日本でほとんど話題に上がらないテーマが多いこと。
 
日本の林業界で
・女性の権利、セクハラ、マタハラ、育休などをしっかり制度に定める必要性。
・木材や林産物はもちろん、作業現場の放射線量についていかに設定するか。
・先住民(日本では、ほぼアイヌ民俗を指す)の権利をいかに定めるか。
・「より自然に近い状態」とは何か、生態的に適合する施業とは何か。
・情報公開に取り組む必要性
 
……を真剣に考えている林業家はどれほどいるだろう。 
 
 
……そして、いかに日本の林業界がタコツボに入り、ガラパゴス化しているか、ということが頭に浮かんだ。
日本の林業は、地域どころか谷一つ変わると違うというが、問題は隣の谷の林業をマジメに知って検討するという発想が弱いことだ。さらに全国各地の林業のさまざまな流儀・伝統、そして新たな試みを学んで取り入れよう……という心構えが非常に貧弱。
 
ましてや、海外の林業についての関心は弱い。林業機械や道具には眼を向けても、労働条件や法的な権利や社会意識を学ぼうとする人はどれほどいるか。地球規模の森林環境、林業事情に眼を向ける人はどれほどいるか。
 
むしろ、自分の地域の伝統に縛られ、「自ら生み出した」と称する子細な技術や施業法を“自慢”し、ほかの方法・技術に興味を持たない。敵意を示すケースだってある。もはや思考が化石化してしまっている。
だから、ほんのちょっと「大胆な提案」がされた途端、延髄反射的に拒絶反応を示す……といったことが起きているように思う。すぐに飛びつくのは補助金だけか?
 
ああ、そんな彼らは滅びていくんだなあ、と私は感じている(^o^)。
 
 
あえて、いう。もっと貪欲にさまざまな情報を仕入れて、それを吟味して、さらに自分たちの世界に落とし込む作業をしないと日本の林業界に将来はない。
 
それは林業のグローバル化を進めることかな、と思いついた。
グローバル化という言葉は、最近では批判的に使われることが多いが、少なくても日本の林業界は、もっと世界の動きに目を配る必要がある。木材が国際商品である限り、世界の動きから外れて林業は成立しないし、森林は守れない。
FSCの世界共通原則や基準は、なかなか日本にとって厳しいものもあるが、切磋琢磨して適合させる、別の形でも認めさせるべきなのかもしれない。
 
 
FSCは、林業をグローバル化させる日本で数少ないツールの一つ。そんな印象を持った。
 
……もっとも、この記事を読んで反感を持った人には通じないだろうなあ。そして多少とも興味を示す人は、すでに意識を外に開いている人で、情報を熱心に仕入れているから説明の必要はないのかもね。
 

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コメント

こんなことを聞いたことがあります。
良い製品を造る人(会社)3流、商品開発する2流、ルールを作る1流 で今、自動運転車もしのぎを削りルールつくりに懸命なのでしょう。
だとすれば、FSCを持ち込んだやつは今笑っているのでは・・・
現場からすればその認証を取って丸太幾ら高くなるの?

>現場からすればその認証を取って丸太幾ら高くなるの?

林業家はたいてい、そう考えますね。でも、根本的に誤りなのは、森林認証とは材価を上げることを目的としていないことです。
むしろ認証を標準化すること。すべての材が認証を取って、林業現場の環境をよくすることでしょう。メリットを考えるより、倫理的なものだと思います。
あえて言えば、メリットは認証を取ることで外の目による「森林経営のコンサルティング」を受けられること、かな?

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