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2016/08/01

燃やされるリグニンと研究

ネットで流れていた大王製紙の愛媛県の三島工場で進行するバイオマス発電計画。ふと目に留めると、で、燃やすのは木材ではなく、パルプ製造工程で発生する廃液(黒液)だという。
黒液とは、木材からパルプを取り出す際に排出される廃液のこと。主成分はリグニンだ。これまでも、製紙会社はたいてい黒液を燃料として自社工場の電力を熱を賄ってきたはずだが、それをFITで電力供給するわけだ。その方が儲かるということなのだろう。新設備の発電能力は、6万1000kWにも上る。
 
 
しかし、リグニンはいまだに燃料としてしか使われないことが残念である。
 
木材の主成分は、セルロースとヘミセルロース(いずれも多糖類)、そしてリグニン(芳香属化合物)だ。このうちセルロースとヘミセルロースは紙になるのはもちろん、近年はナノセルロースファイバーとして注目を集めている。
 
しかしリグニンは、木材全体の25%~40%に達するのに、あまりパッとしない。それをもっと有効利用できないかと昔から研究されているのだが、イマイチ実用化が進まない。
 
本ブログでも幾度か紹介した記憶があるが、三重大学ではリグニンを分離して「りぐぱる」と呼ぶ製品がつくられた。パルプ、つまり紙を再び木質物にもどすという画期的なものなのだが、残念ながら実験室レベルでは成功しても実用化にいたっていないようだ。
 
やはりコストに見合うリグニンの効率的な抽出ができないことが大きいようだ。
 
Photo
 
 
さて森林総研では、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)としてリグニン研究を行っていると聞く。そこではスギに最適なリグニン抽出法を開発したという。理論値の80%以上の改質リグニンを生産できるようになり、パイロットプラントが建設されている。
 
さらにリグニンと粘土によるハイブリッド材料の開発も進んでいるという。またリグニンを分解した化学原料も生み出されていて、生物由来ポリエステルやポリエチレンとして市販されているそうだ。
一方でリグニンを抽出する過程で取り出されるセルロースやヘミセルロースの分解物から高付加価値製品の開発も行っている。
 
これらが実用化すれば、木材成分をすべて利用し尽くすことが可能になる。そして分解した各成分は軽量コンパクトになるから山村の産業として期待されているのだが……。
 
実は、同じことを「りぐぱる」の際にも聞いた。夢があるわりには、いつ実現するんでしょうね……と感じてしまうのだ。
 
早く実用化しないと、リグニンは燃やされる一方だよ。。。

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