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2016/08/31

木質燃料統計の速報値を読む

林野庁が「平成27年木質バイオマスエネルギー利用動向調査 」(速報値)を発表している。速報なのに、今頃ゆっくり読んでいるわけだが……(笑)。
 
pdfの各表の数値をじっくり見ていると、いろいろ浮かんでくるものはあるが……間伐材・林地残材に由来する木質チップの利用量は前年比1,7倍となる123万1400トンになった。、別表によると270万8985立方メートルになるらしい。木質燃料の総量は718万7055トン。(いずれも絶乾トン)
2015年には、10カ所以上のバイオマス発電施設が稼働し始めたから、その結果と見てよい。
 
Photo
 
今後、どんどん発電施設は増えるのだから、確実に増加していくだろう。
 
林野庁としては「バイオ燃料の需要が伸びていくのは良いこと」という立場らしい。木材の有効利用だから……。
しかし、なんで統計の中でも間伐材・林地残材由来だけを改めて強調するんだろう。私は、廃材を燃料にするカスケード利用ことこそ、有効利用だと思うのだが。未利用材をエネルギー使って山から下ろして燃やすだけ、というのは有効利用に思えない。多分、製材残材とか建築廃材は林野庁の管轄ではない?から好ましくないのではないか(笑)。
 
木質バイオマスエネルギーの意義については、「国産材を燃料として使用すれば、(原油購入のため)海外に出て行くエネルギーのための資金が国内・地域に落ちる」という面もあるのだが、そこで気になる項目は……。
 
輸入木材はゼロである。
 
現在、各地に計画・建設が進むバイオマス発電所の多くは、輸入木質燃料を利用することになっている。ヤシ殻に始まり輸入チップに輸入ペレットもある。しかし、昨年の統計には計上されていない。来年以降の統計では一気に増えるのではないか。
しかし、それでは「海外に出て行ってしまう資金が地域を循環する」という希望的観測は破綻する。
さらに木質燃料はカーボンニュートラルだからCO2削減に寄与、というお題目も輸入すれば輸送にかかるエネルギーが排出するCO2が大量にあるから、ぶっ飛ぶ。
 
来年以降はどのように報告するのか楽しみだ。
 
ついでに言えば、日本の山をはげ山にして森林生態系を破壊するデメリットはどのように表わすのだろう。。。。こちらは環境省のナワバリかな? 
 
とまあ、この手の統計には意地悪い目を向けることが肝心なのだよ(⌒ー⌒)。

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