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森と林業と動物の本

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2016年9月

2016/09/30

木材自給率は33,3%に

林野庁が、「平成27年木材需給表」を発表している。

  
かいつまんで紹介すると、総需要量は7530万立方メートル(丸太換算)で前年比0,7%減少し、国内生産量は2505万8000立方メートルと6,0%増加
輸入量は5024万2000立方メートルで3,7%減少
結果として木材自給率は、33,3%と前年から2,1ポイントも上昇した。
 
ただ内訳を見ると、燃料用が116万2000立方メートル(前年比39,5%増)、加えてしいたけ原木も多少増加したものの、用材が166万4000立方メートルと2,3%減少している。
 
さらに用材の内訳は、製材用が57万4000立方メートル(マイナス4,1%)、合板用が141万4000立方メートル(マイナス18,1%)と、主要用途が大きく減少している。
増えたのはパルプ・チップ用だけ(19万5000立方メートル)、それも0,7%にすぎない。
 
 
正直、こんな数字を追いかけても全然楽しくない。
 
大雑把に言って、たった1年で2,1%も木材自給率を上げたと自慢したいところだが、総需要と輸入が減ったところに、燃料とパルプ・チップばかりが増えて見かけの数字を底上げしただけだ。もともと昨年から燃料用木材をカウントし始めたから、自給率も上がったように見えるのである。
 
バイオマス用は、FITの嵩上げ価格分を加えても価格が安いから、林業総収入で見たら落ちているだろう。 相変わらず、質より量である。
 
つまり林業の衰退は、止まっていない。それどころか悪化しているのではないか。
 
それに、昨年度の統計数字には現れていないが、来年当たりから大規模バイオマス発電所が次々と稼働する。そこで燃やされるのは、国産材よりヤシ殻、ヤシ油搾りかすなど燃料用バイオマスが多くなると想像する。これらは農業廃棄物扱いだが、日本の林業に寄与しないだろう。
一方、国産の未利用材・間伐材も昨年より発電用に消費され始めたが、数年後に搬出できる分は底をつくだろう。すると生産量が落ち込むはずだ。木材自給率に影響するのではないか。
 
2~3年後には、木材自給率は落ち出す可能性がある。
 
林野庁はあわてて、燃料用木材を自給率計算から外すかもしれない。
 
 
そろそろ自給率という数字で林業を計るのは無意味になる。
むしろ戸別林業収入とか、ヘクタール当たり林業収入といった指標を用意したらどうだろう。
林業総収入を、林業家数で割る、もしくは人工林面積で割ることで計算するのだ。
(もっとも、林業総収入自体をちゃんと把握できるのかが問題だ。一方で補助金充当額も出してほしい。)
 
そんなことしたら産業として壊滅的な状況……何百ヘクタールの山林を持っていても、収入は年間数十万円とか、収入の7割が補助金絡みだとか……が浮き彫りになるから嫌がるだろうな。。。 
 
 
 
ところで、バイオマス発電所の燃料の正体を改めて知りたい。未利用材だけで発電すると打ち上げて建設したものの、全然木が集まらない。そこでリサイクル木材(産業廃棄物)を混ぜているという噂が飛び交っているからだ。
 
情報求む。
 

2016/09/29

『樹木と暮らす古代人』のプロローグエピローグ

 
1
 
樹木と暮らす古代人』(樋上昇著・吉川弘文館  1800円)
 
この本、ネットで見かけて気になっていた。しかし、やはりネット書店で目にしただけでは、すぐにクリックしないものだ。それを書店の店頭で発見。
 
パラパラとめくって、プロローグ「持続可能な社会をめざして」に目を通した。
 
2
 
おおお? いきなり自分の名前が飛び込んできてびっくりした(笑)。
拙著『森と日本人の1500年』を紹介するとともに、そこに記した「林業の定義」が引用されている。この4つの視点から、弥生~古墳時代の木製品生産を見ていくことで当時の森林事情や人々の暮らしぶりを推察していくというのである。
 
 
……この時点で、私はさっそく購入しましたね(^o^)。 ←サイドバーにリンク。
 
そして一気読み。
 
もっとも、それほど気軽に読む本ではなく、本文は各地の遺跡から森と人の関わりや木材の流通を読み解き、鍬(くわ)、器、儀礼品から武器、精製木製品、専業工人の出現……と追っていく。出土地域と年代と形状……と、なかなか考古学的で専門ぽい記述だ。
 
道具のの素材として重要なアカガシの大木に注目する点も面白い。今はほとんどないが、かつての生駒山はアカガシの大木の産地だったらしい。
著者は、愛知県埋蔵文化財センターの調査研究専門員だが、奈良県生まれであり、登場する遺跡の中には生駒山麓のものも多く、ここも惹かれたところ(笑)。 
 
ちなみににはツバキやアカガシ、コナラの類が使われ、にはクスノキ、田下駄などにスギ、ヒノキ、伐採斧柄にはアカガシ、コナラ、クヌギ、加工斧にはサカキ、はマキ、イヌガヤ、にモミ、スギ……。こうした「適材適所」があったらしい。
 
また鉄製工具が登場したり、黒漆が塗られたり……と製作工程の変化も見られる。
 
そして木材の調達から加工まで自前で行う集落から、全部他の集落からの調達(購入)に頼るところまで、集落の分類が行われる。
 
これこそ生産と消費の分離であり、商工業の誕生である。この理論からいくと、林業こそが商工業の源だったとすることも可能だろう。
食料生産の農業は、たいていの集落で自給自足の割合が高くて商業行為には結びつきにくいし、産品の加工度が低い。それに比べて(木製)器具の生産が工業となり、それは商業取引の品となりやすいからだ。その源は木材の調達であり、林業と関わるのである。
 
 
森林や林業の歴史的な流れを見ることで、現在の森林と林業の人間社会への位置づけが可能となる……と私は思っている。
その視点の出発点を考察する上で貴重な一冊である。
 
 
エピローグ「弥生~古墳時代に「林業はあったのか?」には、再び私の記した「林業の定義」が登場する。そして「組織的な木材調達」から「木材の運搬」、「加工技術を持つ職人」、そして「持続性」の検証が行われている。
 
 
私は、拙著で邪馬台国(弥生時代後期~古墳時代初期)こそ、林業の誕生の舞台? としたが、これによると弥生時代中期には各条件を満たす集落が登場していたようである。つまり私の仮説は否定されたのかしらん(笑)。
 
 

2016/09/28

岐阜県が「地域森林監理士」創設?

もうすぐ林業機械展が、京都府福知山市で開かれる(10月9日、10日)。
 
それに合わせて、昨年に引き続きフォレスター・ギャザリングも開かれる予定だ。正確には、森林施業プランナーの参加も求めて、フォレスター&プランナー・ギャザリング in 京都らしい。
私も参加、じゃなくて取材しようと思っているのだが……。フォレスター(森林総合監理士)および森林施業プランナーが集まって、森林や林業の現状について何を語るか。現場の皆さんのお気持ちを知るにはよい機会だ。
 
 
もっとも、それとは別に気になる話題。
 
 
岐阜県が、独自の資格「地域森林監理士」を創設する方針を固めたというのだ。
 
地域森林監理士とは、林野庁の森林総合管理士の「地域版」と位置付けるそうだ。「総合」を省いて「地域」に特化する?。。。。岐阜県の地勢や環境に特化した技能・知識を身につけさせようというのか。
単に国の資格に反発しただけなら意味がないし、森林総合監理士資格は難しいから促成での養成をめざすのなら馬鹿げている。
 
 
ただ背景には、来年4月施行の改正森林法で、森林の所有者や面積などの情報を一元化した「林地台帳」の作成が(2019年度から)義務化されることが絡んでいるのだろう。
 
市町村で森林や林業の専門職を採用しているところは少なく、異動も多い。しかし森林整備計画の策定や林地台帳の作成は、専門性を要求され負担も大きいことが予想できる。
 
そこで森林総合監理士の出番がようやくできた、と思えるわけだが、それでも足りない(全国版の森林総合監理士には任せておけん部分があるということかしらん?)ので、独自に人材を養成するという意味らしい。
 
まだ議会に諮ってもいないし、予算も決まっていない、正式に募集もしていないうちに想定・想像するのはナンだが、対象はどこに置いているのだろう? 
 
通常、県の職員なら森林総合監理士をめざすわな。とすると、市町村職員だろうか。あるいは森林組合や民間の人材か。県や国の職員が、両方の資格習得するケースも考えられるが……単純に考えると、屋上屋を重ねた二重資格になりかねない。
 
いっそ、民間だけに絞って、県が一定の仕事量を発注する仕掛けをつくれば、岐阜県内ではフォレスターを職業とするプロが誕生するきっかけになるだろう。
 
 
養成課程は森林文化アカデミーに開設する予定だという。17年度に養成課程を開設し、資格取得は年間数人程度になる見通しだ。1年~2年間全日で学ぶのは社会人対象であることを考えると難しいが、短期集中講座で済ますのではもったいない。
学ぶ中身も、森林管理や林業技術、環境だけでなく、木材流通に木材加工の知識、そして法律や政策も必要になるだろう。 
 
全国に乱立……いや次々と創設される林業大学校も、ワーカー養成だけでなくマネージャー養成を手がけるようになるのなら歓迎である。
 
森林総合監理士資格は、現状ほとんどペーパーテストで取れることを考えると、みっ ちり学ばせた上での資格なら国を上回る信頼度を醸成できるかもしれないが……さて?
 

2016/09/27

『運命に、似た恋』……の椅子

NHKの『イッピン』という番組で、木の椅子を取り上げていた。

 
ウィンザーチェアと呼ばれるイギリス発祥の家具だ。と言っても、紹介されているのは長野県松本の工房なのだが。
 
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が、ここで取り上げたいのは、こちらの椅子ではなく、同じくNHKのBSプレミアムで始まった『運命に、似た恋』だ。めっちゃ、ラブロマンス(^o^)。大人の純愛を描いたドラマである。
 
先週金曜日に始まったばかりだが、その粗筋をドラマのHPから拾うと、
 
その少女は幼い日、ひとりの少年と再会の誓いを立てた。
いま、45歳になった彼女は、バツイチの母親。生きるために、ただ精一杯働く日々だった。
そんな彼女の前に現れた、超一流デザイナーの男。まるで境遇の違うふたりが、恋に落ちてゆく。
男はなぜ、彼女の前に現れたのか。もしかして彼は、あの時の少年なのか?
純愛と、宿命と、救済の物語。 
 
なぜか見始めてしまったのである。が、ここで私が気になったのは、カスミ(原田知世)の前に現れたユーリ(斎藤工)のこと。
彼はデザイナーなのだが、カフェの内装から家具、小物に至るまで、あらゆるもののデザインに挑戦し、その世界で若手No.1と目される存在……という設定なのである。
 
そして、二人の出会いは、クリーニングした洗濯物を届けに行った高級マンションでユーリの部屋を訪ねるのだが、そこでユーリは椅子づくりをしていたのである!
 
2
 
こんな椅子をつくっていた。ちょうど完成したばかり。そこで、彼女を座らせる……。
 
うん。なかなか素敵なデザインだと、私も思う。ウィンザーチェアの一種になるのだろうか。
実際、手すり部分を削って彫刻? をするシーンもあった。
 
1
 
そりゃ、彫刻の仕上げぐらいなら、マンションの一室でもできるだろうが……椅子をマンションでつくるだろうか? 工房というかアトリエはないのか?
コンコン木を叩いたり切ったりしたら、さすがの高級マンションでも音が響いて苦情が来ないだろうか? だいたい写真の部屋は、きれいすぎじゃね? 削り屑ぐらい落ちているべきだろ。。。。
 
とまあ、下世話なツッコミをしてしまったのであった(笑)。
 
この椅子の行方が気になるので、次回も見るか(~_~;)。ちなみに第1回の再放送は明日の深夜らしい。

2016/09/26

Yahoo!ニュース「日本の山にはヘンな道が……」書いた理由

Yahoo!ニュースに「日本山にはヘンな道が多すぎる 」を執筆しました。

 
森は怪しいワンダーランド』言い訳編というべきか(~_~;)。
 
なんか、いつも森に入って未知のないところに分け入るなんて怪しいことをしているように思われるが、そんなことはない。森が怪しいのであって、私は怪しくないのである。
では、なぜ道なき森に入り込むのか。それはヘンな道が多いからである。最初は新しい道だと思って足を踏み入れる、しかし肝心の道が消えてしまって、後戻りするのも悔しいからそのまま藪をかき分け進み続けてしまうのである。。。という論法。
 
あるいは、肝心の道が歩き心地が悪すぎて、つい横に逸れてしまうのだ。。。。
言い訳になってない?
 
まあ、ヘンな道がなくても分け入る時もあるけど(^o^)。
 
あんまり道を逸れて歩くと、その時に通ったところに道ができてしまうからご用心。

2016/09/25

秋の生駒山と白いヒガンバナ

今日も、生駒山の棚田地帯の見回り(^o^)。

 
 
ドングリがよく落ちている。それも枝から。大雨のせいだろうか。これはクヌギだと思っていたが、最近はアベマキだろうか? と迷っている(~_~;)。ともあれ、ナラ枯れで枯れないことを祈りたい。
 
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いくつか拾って帰った。ベランダで苗を育ててみよう。もしナラ枯れに遇ったら、後継樹を育てよう。
 
 
 
棚田では、早くも稲刈り。最近は9月中に済ますことが多いようだ(奈良県)。雨続きだっただけに、今日は千載一遇のチャンス、とばかりあちらこちらの棚田で稲刈りが行われている。
 
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そして……。ついに見つけてしまった。
 
白いヒガンバナ。
 
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これまで見たことはあったが、写真を撮るチャンスがなかった。これほと近くでマジマジと見るのは始めて。
 
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これまで白いヒガンバナと言えば、突然変異? 園芸品種? あるいは農薬による変異種とさまざまな説があったが、最近はシロバナマンジュシャゲであることが確定したよう。
ヒガンバナとショウキズイセンが自然交雑した雑種らしい。
 
実は、今から8年も前に白い彼岸花 について本ブログに書いていた。
 
思えば10年以上、このブログを続けているんだなあ、という別の感慨もあるが(~_~;)、ようやく実物の写真を披露できたことになる。
 

2016/09/24

常温核融合は似非科学でない?

拙著『森は怪しいワンダーランド』の帯文には、こんな言葉が記されている。

 
 
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不思議な体験だって、そのうち科学で証明されるかもしれないし、今は科学的と思われていることが崩れて、オカルトの世界に転げ落ちるかもしれない
 
 
これはあとがきの中の文章を抜き書きしたものだが、ちょっと驚くべきことを知った。
 
日経新聞9月9日の記事なのだが、「米で特許 再現性向で「常温核融合」、再評価が加速
 
なんと、常温核融合が認められているのだ!
 
……このニュースに心ときめく人は少数派かもしれない(笑)。
 
 
かつて、常温核融合の実験に成功したという報道があった。1989年にユタ大学で行われた実験の発表のことだ。小さな装置の中で入力以上の熱の発生が見られたのだ。
 
私は、その報道に仰天しつつも胸ときめかせたのだ。通常、摂氏1億度の世界で原子がプラズマ状態にならないと起きない核融合。これを人工的に行うには、原爆による熱に頼るしかない。つまり水爆だ。
 
しかし爆発を伴わないよう常温で小規模な核融合が行えたら、物理学の話だけでなく、エネルギー界に別世界が広がる。核分裂を伴わないのだから、放射線の心配もない。
 
我が家の本棚にも、かつてブームになったときに発行された「常温核融合」の本が眠っているはずだ。
 
しかし、各国の追試で認められず、測定ミスということで落ち着いた。常温核融合は、似非科学視されるようになった。幸い、発表した科学者は謙虚だったおかげで?追放されずに済んだ。その点がSTAP細胞の小保方氏と違うところだ。
 
それでも常温核融合は忘れられたと思っていた。
 
 
ところが、その後も研究は進み、どうやら100%の再現性を認められたらしい。小さな実験機器の中で、熱の発生が確認されたのだ。日本でも東北大学で研究が行われていて進んだ成果を出しているという。
ただし常温核融合というと似非科学と思われるということか、日本では凝縮集系核反応、米国では低エネルギー核反応という呼び名に変えている。
 
10月2~7日には、仙台で「第20回凝縮集系核科学国際会議」が開かれるそうだ。
 
残念ながら、理論面では十分に説明できていないそうだが、先に現象ありきで、似非科学が真正科学になるかもしれない。
 
 
以上、私の興奮が伝わる人は少ないと思う(~_~;)が、そのうち森の精霊だって、未知の怪獣だって見つかるかもしれないし、巨石文明は天空の星空を示していることが証明されるかもしれんのだよ。(STAP現象は、絶対に嘘だと思うけどね。)
 
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2016/09/23

日本農業新聞に「『樹木葬という選択』

『森は怪しいワンダーランド』がいよいよ書店店頭に並び、ネット書店でも販売解禁になった。

 
よし、これから! と言うときにナンだが、『樹木葬という選択』の書評のお知らせ(笑)。
 
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なんと日本農業新聞ですぜ。そのおかげか「単なるガイドブックとは違い、森林保全という視点から書かれた本になっている」と記されている。
 
農山村の方々よ、ぜひ樹木葬に目覚めてほしい。
 
農家を継いだ人が樹木葬の墓に入れというのではない。入ってもよいが、農山村に先祖代々住む家族なら、たいていどこぞの寺の檀家となって墓(石のお墓)もあるだろう。
しかし墓を持たない次男三男もいるだろうし、田舎移住者もいるはず。
 
が、何より樹木葬は地域づくりの一環になるのだ。墓の設置という形で都市住まいの人から資金を地元に落とさせ、墓参りに遺族を招き入れる効果が見込めるのだから。そして山が美しくなるという一挙両得どころか一石三鳥(^o^)。
墓と言っても、数十年後には森になるのだから、原発のように次世代に禍根を残す心配もない。私からすれば、「墓地をつくる」と言わずに「鎮守の森をつくる」と言ってほしい。
 
移住者を増やして人口を増やしたいと望みつつも、「よそ者が来ると揉め事起こすからイヤ」という方にも朗報。だって死者だから揉め事起こさないし(⌒∇⌒) 。
 
 
ちなみに彼岸だったのだね、昨日は……。。。。

2016/09/22

「木々との対話」展

土砂降りの中の東京参りは終わった。

 
出版社回りに書店回りばかりをしていたわけではなくて……雨の中で最後に寄り道するところはないか、と思ったところ、上野公園の東京都美術館で「木々との対話」という展覧会をやっているポスターを見たので足を運んでみた。
 
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簡単に言えば、木彫の現代作家5名による展覧会である。
 
入場して、吹き抜けロビーでいきなり目に飛び込んでくるのは、國安孝昌の巨大インスタレーション(空間芸術作品……を指すらしい)。
 
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ここに使った足場丸太的小径木は何本だろうか、どこから調達したのだろうか、こんなインスタレーションを全国の町で作れば、どれほどの小径木丸太の需要が生れるだろうか……なんて考えてしまう私は、芸術がわからんのであろう(^o^)。 
 
が、唸らされたのは、土屋仁応の木彫。5人の中ではもっとも保守的?伝統的な木彫であった。。。
 
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シカであるが、タイトルは「森」である。
 
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子鹿もいる。
 
何か異様な迫力を感じたのであった。そして、感想を記したボードにも、「シカがすごい」「シカが可愛い」という声が多数。
 
こんなにシカ好きが多かったのか(^o^)。きっと、観覧者に林業関係者、農山村住まいの人はいないだろう(⌒ー⌒)。
 
ならば、奈良においで。奈良県は、奈良公園のシカをネタにもっと観光客が呼べるぞ、と思ったのであった。
 
 

2016/09/21

『森怪』の置場

『森怪』の置場
本日も東京。

『森は怪しいワンダーランド』は、今日から本格的に書店に並び出すはず。Amazonなどネット書店も発送が始まる。もうちょっと待ってね(^3^)/


ところで、本はどの分野の棚に置かれるかが重要だ。興味を持つ人の目に止まる確率がガラリと変わる。

で、『森怪』は、単に森林関係の棚よりノンフィクションかエッセイか、いやアウトドア系が似合うのではないかと思うのだが……。

写真は東京堂書店の棚。こういう配置、いいなあ(^o^)。


ちなみに『樹木葬という選択』は冠婚葬祭の棚になりがちなのだが、私は森林林業棚を希望しとります(笑)。
が、そんな書店は少ないのよ。

奈良にはいまだに森林生物棚に平積み!してくれる書店がある。思わず小躍りしてしまう\(^-^)/。

2016/09/20

書泉グランデにて

書泉グランデにて
書泉グランデにて
東京巡業中。

神保町の書泉グランデでついにあった!『森は怪しいワンダーランド』平積み。
本日入荷発売開始です。皆さん、よろしく(^_^)/。


さらに東京堂書店でも訪ねたところで、あわてて平積みに(^3^)/。。。しっかり『山怪』の隣に並べていただきました。


おもしろいのは、東京なのに狩猟本がたくさん並んでいること。ブームが来ているな。わが『森怪』も仲間入りだ!

2016/09/19

Yahoo!ニュース「国産紅茶は“本物の紅茶”…」を書いた理由

Yahoo!ニュースに「国産紅茶は“本物の紅茶”になれるか 」を書きました。

 
書いた理由は、スーパーで「国産紅茶」が並んでいるコーナーを見つけたから。それしかない(^o^)。
 
ただ、美味い紅茶を日常的に手に入れられるところはないか、といつも思っている。専門店とかデパートで高い金出せば、それなりの紅茶は手に入るのだが……。
 
そして「琉球紅茶」に思いを馳せたわけである。沖縄の紅茶は美味かった。(ただし、偽物というか、真似事でつくった沖縄産紅茶もあるのでご用心。こちらは箸にも棒にもかからない代物だった。)
あくまで美味いのは「琉球紅茶」である。もっとも、琉球紅茶のブランドが付いていても、全量が沖縄産というわけでなく、スリランカ産とブレンドしたパッケージも多い。全量沖縄産紅茶もあるものの、とてつもなく高い。
もっと沖縄における茶葉の生産量増やしてほしい。紅茶産業は、沖縄の主要産業になれるほどの可能性を感じるのだが……。
 
 
というように、美味い国産紅茶を手に入れる壁は高いのであった。。。。
 

2016/09/18

稔る棚田に……!

日本列島は雨期に入ってしまったようだ。

 
とはいえ、雨の合間もある。そこで生駒の棚田地帯の“見回り”に出たのだが……。
 
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なかなかの稔りである。酷暑は、稲の生育にはプラスになる。昔から「日照りに不作なし」というそうだ。水不足と騒ぐこともあるが、実は収穫量は増すことが多い。むしろ多雨と風害が怖いのである。
 
日照りの時期をなんとかくぐった作物は、雨の季節を迎えて今後どうなるのか……。
 
が、伏兵も潜んでいる。
 
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やられましたな。上下の棚田はなんともないのに、この棚の部分だけイノシシの侵入を許したのだろう。そう思ってみれば、写真を取った道から棚田の柵を簡単に飛び越えられる。
 
まだまだ秋は続く。。。。

2016/09/17

センダンを植樹!

昨日は早生樹林業のセミナーに参加したと言ったが、実は会場に嬉しいものがあった。

 
センダンの苗である。
 
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コンテナ苗。これ、自由に持ち帰ってもよいのである。我がタナカ山林に植えねば(⌒ー⌒)。
 
 
実は7月のセミナーの際にも1本もらって帰っている。それはつい最近、植えた。
 
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これで皆伐した山をセンダンの林にしてやろう。……というほど本数はないが、ナラ枯れしたコナラの代わりに大きく育ってくれたら嬉しい。
 
ただ、実は植林とは大変なんだ、と思わず感じてしまった。
 
まず植える場所を選定する。センダンは生長が早く大きな樹冠を広げるから4メートル間隔は必要だそうだ。まあ、ほとんどの高木は伐っているから大丈夫だろう……と思っていたが、この夏の間に草とともに灌木もびっしり繁っているではないか。
 
ササだけなら、まだよいが、アカメガシワにアラカシ、アオキ……と結構な数が育っている。もはや私の背丈ぐらいになっているのでないか。つまり、彼らも早生樹(~_~;)。
 
そんな状態の山を、直径約4メートルを切り開くのは大変であった。そして穴を掘ろうとしたら、石だらけで悪戦苦闘。
センダンは、日当たりと水分が十分にいる。日陰にならないように、近くの少しでも高さのある草木は全部なぎ払う。また掘った穴には肥料を撒いて、栄養分も補給しておいた。
 
この作業でクラクラした。熱射病か、思うほどだ。
 
また同じ作業をしなければならない。アジサイも植えているわけで、いよいよ適地は少なくなっている。 
 今度はもっと繁って、もっと石が多くて、回りに日陰をつくる木のあるところを切り開くのか……。ちょっとぐったり。
 
 
でも、何年か後に、センダンがすくっと育ち、林床にアジサイが咲いている山になるのを夢見よう。
 
 

2016/09/16

吉野林業全書と獣害対策

近畿中国森林管理局が開催した「産官学共催セミナー国産早生樹林業によって何ができるのか」に顔を出してきた。

 
全体の状況とセンダンのほか、広島のコウヨウザンや北海道のシラカンバの事例報告など盛り沢山で、少々胸いっぱいなのだが、興味深い点がいくつもあり、勉強になった。
 
ただ、ここではまったく別の観点から。
 
京都大学大学院の高柳敦講師による「人工林とシカ被害対策」の話があった。これだけ、早生樹とは関係ないのであるが……。
 
そこでは、いかに昔から農林業は獣害に苦しんできて、さまざまな対策を取ってきたか、そして現在の対策が失敗するのはやり方が悪いから、という指摘があった。防護網一つとっても、張り方を誤ったら効果が出ないのだ。
 
そこで紹介されたのが、なんと吉野林業全書であった。明治時代も林業は獣害に悩まされてきたのだよ。
 
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たしかに、指摘されたページにはこんな獣害対策図が載っている。
 
これが、完璧!らしい。
ウサギ害を中心に単木防御、つまり苗一本一本にシェルターを被せている。
加えてイノシシなどが下から入らないように柵があり、その柵を乗り越えないようにしている。そして皮剥ぎ対策も施している。
 
現在の防護の仕方の誤りも含めて、完全に示しているという。
 
1
 
こんな具合に指摘。
 
現場で、実際の被害を見つつそれに合った方法をきっちりこなす。これに優る防御はない。
吉野林業全書は、まさに現場の声を集めて編集されたことを示している。今更ながらに吉野林業全書は森づくりの教科書として優秀であると言えよう。
 
手間やコストや労力を惜しんで手抜きの防御をして、結果失敗して、「獣害を防げない」と嘆き、「オオカミを放て」とアホなことを言ってはいけないのである。
 
 
ちなみにシカが防御網の中に入るのは、飛び越えは意外と少なく、網の下からくぐり抜けるのが多いそうである。次は乗り越え。網に体重をかけて、よいしょと乗り越えるらしい(掛け声はないと思うが……)。この点を防ぐことが肝要なのだろう。
 
早生樹林業については、またの機会に(^o^)。
 

2016/09/15

GLOBEインタビュー記事

先の朝日新聞日曜版別刷「GLOBE」のウェブサイトに、私のインタビュー記事が追加された。

 
 
きゃあ、このタイトル。どこかから苦情来るんじゃないか(笑)。
もともとインタビューとして話したのではなくて、企画を考える際の私の現状説明というか意見として話したことをまとめたものだが、私としては最後のプロフィールが最重要。
 
 
著書に『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)、『森林異変』『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『樹木葬という選択』(築地書館)など。個人ブログはこちら。
というわけで、しっかり来週発売の『森は怪しいワンダーランド』と『樹木葬という選択』という今年出版した2冊が入っている。森林本として新しい『森と日本人の1500年』も入っている。ついでに、本ブログのリンクまで張ってある(笑)。
 
写真は、夏顔だねえ。。。。
 
 
ちなみに、このサイトのドイツを取材した記事には、フォレスターの動画 も掲載されている。
これ、8月に取材に行ったはずだが、通常ならこの時期に伐採現場を見ることは困難だし、そもそもフォレスターだって夏休みというかバカンスに行っているんじゃないか。。。と思っていたのだが、しっかり伐採しているところに出くわして撮影できたのは僥倖だ。
 
 
……ところで、『森は怪しいワンダーランド』は基本、来週21日に店頭に並ぶという連絡を受けているが、一部書店では16日、つまり明日から並ぶところもあるとのこと。これは取次会社の配本の問題なのだが、よろしければ探してください。

2016/09/14

インバウンドに期待する時代

たまたま目を通していた本に、国立公園の成立に関する記述があった。

明治末から大正年間のことである。
 
 
いろいろな経緯があって、目的をレクリエーションや地域振興に定めるか、景観や動植物保護に重点を置くかで論争があったりと、なかなか面白いのだが、いよいよ法制化に向けて進んだところ、関東大震災が発生。(大正12年)
 
そうなると政府も国立公園どころではなくなる。
 
……と思いきや、復興がテーマになって国立公園選定運動は勢いを増すのである。
 
その理由は経済である。
 
第一次世界大戦時は、日本は好景気に湧いたのだが、その後は一転不況に陥る。そこに震災が来たのだから国際収支は赤字で経済は苦境に陥っていたのだ。
 
そこで国際観光を振興して外国人観光客に外貨を落としてもらうのがもっとも手っとり早い手段だという声が高まったという。
そのためには国立公園を整備して、日本の景観を売り込もう、というわけだ。
 
もっとも反対意見も出たという。国民の風紀が堕ちる、というのだ。つまり毛唐……外国人が来て日本人の気概が害される、というわけだ。
 
結果的には、国際観光振興に傾き、国粋主義者として知られる安達謙蔵が内務大臣として
国立公園調査会が設置、昭和6年に国立公園法が成立する……。
 
 
なんだか、読んでいて今の時代にも当てはまるな、と苦笑してしまった。
 
長期にわたる不況。東日本大震災の被害と復興という課題。悪化する国際収支
ここはインバウンドで! と外国人観光客が落とす金 にする声が高まっている。その一方でヘイトスピーチが蔓延して外国人を嫌う風潮が広がる……。
 
今では国立公園ではなく、世界遺産に選定してもらおうと各地が名乗りを上げる。 ただし自然遺産よりは文化遺産が圧倒的に多くなってしまった。観光客の増加につながると期待しているのだ。大人数が押しかけることの弊害なんて気にしない、自然や文化財の保護という発想より地域振興、いやインバウンドの金狙いであることは明白だろう。
 
 
私は外国人が多く日本に来る(他者の視線が持ち込まれる)のはよいことだと思っているが、露骨なインバウンド収益は期待しない方がよいと思う。
 
もともと観光とは移り気なものだ。流行はすぐに変わり、維持するためには不断の努力がいる。常に新たな企画をつくり、世界へ発信し、受け入れる能力を磨く……そんな力のある地域は限られている。基本、観光(いわゆるもてなし)とはマンパワーが重要で、過疎で人材力の弱い地域が取り組んでも息切れするケースが多いのだ。
 
一発狙いの名物をつくって、数年間の盛り上がりの末に地域全体が落ち込んだケースは後を断たない。以前より悪くなった例も珍しくない。
 
 
ついでにいうと、戦前の国立公園に対する期待は、戦争の硝煙とともに消えていったのである。
 
 
 

2016/09/13

ホームページに『森怪』ページ作成!

拙ホームページで『森は怪しいワンダーランド』 を紹介するページをつくった。
 
いささかヤッツケであるが、ここに目次のほか序章部分を丸ごと掲載したので、目を通してくださると、どんな内容か片鱗はつかめると思います(^o^)。
 
 
これを機に、ほとんど休眠状態だったホームページをもう少し動かそうと思う。このところ「生駒ジャーナル 」しか更新していなかったが、ほかにも雑誌掲載の古い記事などを収録したり、旅の記録などもあるのだ。
 
 
もともとホームページは、2001年にインターネットの勉強と練習のつもりでつくり出したのである。
だからテーマも自分の仕事とは切り離して趣味の探検をテーマにした。最初は「知られざる探検家列伝 」を書き始めて、少しずつ自分の体験も含めていった。
 
 
ただ、このころはまだデジカメを持たず、スキャナーもなかったから、ヴィジュアルはゼロ。文字ばかりで埋めつくされたサイトなのであった(笑)。デザインにこだわらなかった、というか、デザインを反映させるほどホームページの作り方に習熟していなかったのである。
周辺からは読みにくい! と評価は低かった(~_~;)。
 
 
その後、仕事のことも載せねば、と自著を紹介し始めたが、あまりにも内容がごちゃ混ぜなので、一念発起してページを二つに分けた。「安楽椅子探検家のヴァーチャル書斎 」と「森林ジャーナリストの仕事館」である。
 
Photo  Photo_2
 
一見、まったく別のサイトになっているが、実は同じホームページという……(~_~;)。
 
結果、更新するのは「森林ジャーナリストの仕事館」の「森林ジャーナリスト田中淳夫の著作世界 」と「生駒ジャーナル 」ばかりになったのだが、今回の『森は怪しいワンダーランド』は、両者にまたがった内容である。
 
ぜひ、両者に目を通していただければ幸いだ。「知られざる探検家列伝 」ネタも溜まっているのだが、再開したいと思っている。次は、このページの書籍化だな(⌒ー⌒)。
 
 
 

2016/09/12

ああ、「ミントテロ」

路上に生えているのがミントの一種であることを確認した。

単に葉っぱを1枚もいで、匂いを嗅いだのである。完璧にミントの香りがしたわ~。
 
で、これを移植(ベランダのプランター)しようかと思って、ミントの種類や植え方を調べて検索してみると……びっくりの用語がヒットした。
 
 
ミントテロ。
 
お初に耳にしたが、ネット界では普通に使われているらしい。というか、このタームで大変な盛り上がり(笑)。
 
ようは、ミントの繁殖力が庭を占拠することである。
ミントは種子を撒くだけでなく、切り取った茎を土の上に置いておくだけで根が出て繁殖するらしい。気がつくと大繁殖して庭を覆い尽くす。ほかの植物を枯らすチカラもあるらしい。刈っても刈っても、根を抜いてもどこからか生えてくる……という。
たしかにアスファルトのひび割れから生えてきたわけで、非常に強い種であることは間違いない。 
とくに他の植物を駆逐するところがすごい。草花だけでなく樹木も枯らすという。しかもミント自体の駆除は非常に難しい。除草剤を全面に撒く(ほかの植物も全部枯らす)とか、土壌ごと入れ換えるとか、すごいことをしなくてはならない……らしい。
 
つまり、ミントはガーデニングの敵なのである。これを利用してにっくき奴に嫌がらせをするのがミントテロ。
 
代表的なサイトを紹介しようと思ったが、検索したらいっぱい出てくるので選ぶよりどれでも読んだらいい。
 
 
近所迷惑な家とか、親兄弟の話もあるが、なかには、仲の悪い義理の親の庭に、こっそり夜の間に忍び込んで、ミントの種子50袋分をばらまいてやった、という嫁の告白も(°o °;)。
 
来年には自慢の庭の植物は全滅状態になり、刈っても刈ってもミントばかりが生えてくる……と想像してはにんまり微笑むのである(笑)。
 
 
ちょっと感動してしまった\(⌒ー⌒)/。
 
ただ、ミント類はそんなに背が高くなる草類ではないから、ミントに覆われて背の高い草が生えなくなった、と喜べる点もあるんじゃないか、と思ってしまった。
 
休耕地の雑草対策に、ヘアリーベッチという豆科植物を使うことがある。秋に種子を撒くと、早春から繁って夏まで地面を覆う。すると、ほかの雑草が生えられなくなる。そしてヘアリーベッチ自身は、夏には枯れるのである。(その頃に侵入できる草は少ない。)
だから何も育てる予定がない土地で、みっともなく草を繁らせたくない際に使う。またヘアリーベッチ自体は窒素固定を行うので土壌の肥沃化に役立つし、花には蜜があり、養蜂でも使われる。私も食べたが、ヘアリーベッチ蜜はなかなかオイシイ。
 
同じ効果をミントで発揮できないか、と思ってしまった。あくまでほかの草花を育てる予定のない場所で、だけど。ミントの花はわりと可愛いし、ハーブとして使えるから有用だし。
ただし、繁茂してほかのシソ科植物と交雑すると匂いが消える……と「ミントテロ」の解説には書かれていたが。 
 
ちょっぴり実験したくなる今日この頃である(⌒ー⌒)。。。
 

2016/09/11

Yahoo!ニュース「明治神宮の鳥居建て替え……」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「明治神宮の鳥居建て替えに立ちふさがる難問 」を書きました。

 
 
たまたま手に取ったナショナルジオグラフィック2016年1月号の表紙に明治神宮が載っていた。特集記事があるのである。
 
Img001  
 
このところ明治神宮の鎮守の森に注目が集まっている。これが人工的に造成した森で、もうすぐ100年(2020年)を迎えるからだろう。実際、記事も森の中の生態系について書かれている。昨年のNHKスペシャルの影響だろうか、私に任せたらもっと面白い記事にしてやるのに……とか考えていた(^o^)。
 
で、今私が興味あるのは神宮の何だ、と考えた際に思いついたのが鳥居だったわけ。これならネタもあるし、写真もある。
 
Yahoo!記事には「明治神宮の英断」と書いたが、本当は隠したがっている、と聞いた。(タイワン)ヒノキではなくスギ(吉野杉)で鳥居をつくることに明治神宮側は十分に納得しているわけではないようだ。
しかし、私は(多分)鳥居用に伐った切り株まで見ているのだ。川上村の林業関係者なら知らぬ者はいないだろうし。
 
で、書いてやった(⌒ー⌒)。
 
 
ちなみに明治神宮、とくにその森に関する書籍など文献は結構持っているのだが、どこにも鳥居の素性について詳しく記したものを発見できなかった。その意味では穴場かもしれない。
 
もっと戦前の台湾総督府が伐りだした阿里山の巨木についてや、戦後の大鳥居の再建の際にいかにしてタイワンヒノキを伐りだして日本に運んだか、を調べたらドラマがあるのに。
 
こんなノンフィクションを手がけたら売れる本になるかな?
 

2016/09/10

探検部出身者諸君! 

『森は怪しいワンダーランド』のチラシの一部。

 
Photo
 
ここで、私は重大な変更を行っている。これまでのプロフィールと何かが違う……。
 
おわかりになるだろうか。
 
 
 
 
そう、私の出身大学で卒業したのは、農学部とか林学科ではなく、探検部になっている(笑)。
もちろん意図的。テーマ的に農学部ではなく探検部の方が似合うと思ったからである。
 
実際、内容も大学の探検部時代に体験したことが多い。
冒頭の精霊に会ったのはソロモン諸島のシンボ島の話であるが、これは探検部OBとして現役部員とともに訪れたときのもの。
幻のクレーターとは、小笠原諸島の母島で私が現役時代に探検したところ。ほかにも洞窟探検やボルネオのジャングル……など探検部がベースの経験談が多いし、社会人になってからの体験だって、実は探検部の活動の延長だったりする。
 
 
それを言えば、そもそも現在の職業自体が、部活動としてやっていた「探検して報告を書く」の延長線上に、現在の「取材して記事を書く」という行為があるからだ。
 
ある意味、探検部の活動は職業訓練だったのかもしれない……。こういうと、4年生の夏休みに丸ごと小笠原諸島に遠征していて、就活を全然しなかった言い訳にもなる(^o^)。それでも、なんとか私は社会人になれたのだよ。。。。
 
 
実際に、『森は怪しいワンダーランド』は、現役、OBを問わず探検部員および探検に憧れる感性を持った人に読んでいただきたいと思っている。
 
……とくに、シンボ島や小笠原諸島に行った後輩諸君。購入するように(笑)。

2016/09/09

路上の農林業その後

以前、我が家の前の路上からスギやミントらしき芽吹きがあったことを報告した。

 
 
その後を報告する。相変わらず、路上のコンクリートとアスファルトの隙間からは草が生えているが、ほかの草は抜いても上記2つは抜かずに生長を見守っている。
 
2
 
こちらスギ。多少背丈が伸びて枝?も出てきたが、まだ小さい。
 
 
5
 
こっちは、なんだか繁ってきた(笑)。ただ、だんだん葉っぱが大きくなってよく見ると、ミントじゃないような気がしてきた……(~_~;)。まあ、ちぎってみたらわかるのだが。まだ収穫はする気にならない。ただ秋だから、あんまり長く放置できない。
 
ともあれ路上なんで、どこまで育てるか判断が難しい。
 
炎天下でなくなったら、一気に草抜きをして、除草剤でも撒こうかな、と思っている。それでも、また生えてくるだろうなあ。

2016/09/08

ドイツ林業はいつ全土に広がったか

今、書籍の企画書を作っている。

 
というと、早くも来週発行の『森は怪しいワンダーランド』の次の作品を準備している! と感激される?呆れられる? かもしれないが、実は私の本ではない。
 
某者から持ち込まれた企画だ。この出版不況の時代でも、本を出版したいという希望は存外強くて、私のところには幾つも企画が持ち込まれている。私の仕事になるわけでもなく、特にメリットもないのだが、つい引き受けてしまうのが私の甘いところ(~_~;)。
 
で、その一つの梗概というか、コンセプトが届いたので、それを出版企画になるようまとめ直しているところだ。……仲介料も出ないのに。。。ヒマでもないのに。。。私の本も買ってくれないのに。。。(愚痴ばっか)
 
 
が、面白いのだ。その内容がとてつもなく面白い。そしてタメになる。
 
テーマは、大雑把に言って「ドイツ人と森」なのだが、梗概を読むだけで勉強になる。その中の一部分を、ほんの少し、紹介しよう。ほんの少し、だよ。
 
 
まず、ドイツは北と南、同じ国ではない。一般に日本人はドイツと言えばプロイセンの世界を連想するが、それは北の世界だ。(そもそも、かつてのプロイセン領の大半は、現在のポーランドである。)
プロイセンは軍隊国家で林業組織もその一部。一方で南の国は、ラテン系に似た世界。
そして、ドイツ林学が誕生したのは南の国なのだ。
 
まずターラントで生れた。とりあえずターラント林学と呼ぶが、一斉造林・一斉伐採(主伐)を基本とした画一的林業理論である。一世風靡し世界に広がった(もちろん日本にも)が、これは林学としては過度期のものだった。
やがて、ミュンヘン大学で新しい林学が花咲いた。これをミュンヘン林学と呼ぶ。これこそ「本格的ドイツ林学」なのである。現在に続く近自然林業の礎となる。
 
面白いのは、ミュンヘン林学はスイスへと広がることだ。そしてスイス林業は、世界一と言われるほどに発展・実践に移される。北の国には広がらなかった。
 
もちろん例外はあって、北ドイツでもプロイセン人であるザーリッシュの森林美学や、メーラーの恒続林思想のようなミュンヘン林学の発展形は登場したりはするが……。根付くことはなく、いつしか消えてしまうのである。
 
 
現在、ドイツ林学に北も南もないが、北ドイツにミュンヘン林学=近自然林業が採用されるのは、なんと第2次世界大戦後らしい。メーラー後、断絶があるのだ。その溝を超えて再び採用されるには、いかなる事情があったのか……。   
 
 
ドイツの林学の系譜、ひいては森林史を追うと、人と森の思想史が浮かぶように感じた。
 
翻って、同じ戦後を歩んだ日本は、林学も林業も何も変えようとしなかった。明治以来100年以上「過度期の林業」「ドイツでは捨てられた林業」を守り続けているのはなぜだろう。森に真剣に向き合おうとしなかった心の問題かもしれない。      
 
 
さて、こんな本を出版したいと思う出版社はどこぞにないか。
今なら、斡旋するよ。早いもの勝ち。仲介料は取らないから(笑)。 

2016/09/07

『森は怪しいワンダーランド』の表紙デザイン

森は怪しいワンダーランド』、発売まで10日を切った。

 
このタイトル、長いのでいつものように略題を考えたのだが、やはり『森怪』だろう。モリアヤと読む。……なんか女性の名前みたい。。。(^o^)。
 
 
 
ところで、手に取ったら内容はもちろんだが、くデザインにも注目してほしい。
前回紹介したのは帯つきだったので、カバー全面を紹介したい。
 
Photo
 
これはボルネオのジャングルの板根のある巨木(多分、フタバガキ科植物)と、下にはボルネオサイ(スマトラサイ)、上にはホーンビル(和名ツノサイチョウ。マレーシアの国鳥)がいる。
 
 
ここに決定するまで、いろいろな経緯があるのだが、とにかく「怪しい」、でも素敵なデザインを望んだ。そこで行き着いたのが、磯野宏夫の世界。
 
磯野氏は、画家でイラストレーターとして緻密で幻想的な画風で知られる。有名どころは、「聖剣伝説」というゲームソフトのデザインを担当したことだろうが、森の絵、とくに熱帯雨林の絵を得意とした。
 
……実は、彼の作品は、以前にこのブログでも紹介している。
 
1  
 
 
この本は自費出版なのだが、森林生態学者の湯本氏の文章と、磯野氏の絵が組み合わされた作品で、実に素晴らしい。
この本は、ボルネオのほかソロモン諸島の森も取り上げているが、拙著『森怪』もソロモンが登場するので縁を感じる。
 
私の本も、彼の作品の一角に入ったことだけでも価値がある。
ただ、磯野氏は3年前に亡くなったのだが……。
 
 
ところで、カバーだけではなく、私は表紙のデザインも気に入っている。
 
Photo_2
 
斬新じゃない?(笑)。実は、本文等全体にもさまざまなデザイン的工夫が凝らされているから、お楽しみに。
 
外してしまった帯も、改めて掲載しておこう。
 
Photo_3
 
 
ついでにもう一つ。
これも先に紹介したリリース用チラシだったが、誤字が見つかった。
 
こちらが正しい。どこに誤字があるのか探してみるのも一興かと(笑)。
 
Photo_4
 
 
 

2016/09/06

新刊!『森は怪しいワンダーランド』

気がついたらAmazonにアップされていた。

 
来週、新刊を出版します。9月17日に書店に並ぶ予定。
 
森は怪しいワンダーランド 』  ⇒サイドバーにも載せました。現在、予約期間中です。
 
Photo
 
 
これまでとかなり違ったテイストの本となった。
 
この本の中身を紹介するのは難しい……まずリリースは、こんな感じ。
 
Photo_2
 
 
簡単に言えば、本ブログの中の遭難ネタ? を集めたような……ヘンな本ですな(^o^)。
登場するのは、ボルネオやソロモン諸島などのジャングルに加えて、国内も少なくないが、とくに生駒山は相当回数になる。遭難ネタがお好きな方は、きっと大満足していただけるはず。
 
でも、それだけじゃない。テーマは、やっぱり森の似非科学、かな。
 
ともあれ、今後少しずつ紹介していくのでよろしく。
 
 
 

2016/09/05

朝日新聞「GLOBE」の森林記事に思う

朝日新聞に月に一度の日曜日「GLOBE」というタブロイド版の別刷がある。新聞内月刊誌(紙)という位置づけ?で、全20ページの、全体として硬派な記事を載せている。

新聞本紙と抱き合わせないと、硬派雑誌は売れないからなあ……という雑感はともかく、9月4日の特集は「森の活かし方」だ。
 
Glove_1
 
表紙込みで6ページを割いていて、海外の話題も豊富。アメリカ、韓国、スペイン、ドイツ、コスタリカ、、そして日本と登場する。
実はこの特集に、私は企画段階から絡んでいて、日本の状況に関してはコメントを寄せている。
 
Glove_3
 
私の紹介が「『森林異変』などの著書がある……」と古い本になっているのは、単に字数の問題(笑)。『樹木葬という選択』は林業から少し離れるし、『森と日本人の1500年』では長すぎて納まらないというわけ。
 
林野庁のコメントは相変わらず「日本の森は宝の山」路線。それを活かすためには木を安く出すこと、だから道づくりと機械化で……とある。
 
道づくりや機械化(1台数千万円以上)には莫大なコストがかかるが、それをカバーする労働生産性って何よ、と思う。補助金で賄うのが前提ならば、産業としては●×○△■だわなあ(自粛)。それに燃料代やメンテ費用は、さすがに林業家負担だろうが、それと材価と突き合わせて、ちゃんとペイしている? 植林からのトータルで林業経営は成り立っている? これでも宝なの? ……なんて次々と浮かぶ。
とりあえず生産性より利益率、利潤総額で計算してくれ。林業はビジネスなのだから、重要なのは金だろ、金。
 
 
とまあ、毒づくのも飽きたので、別の思いを。
 
 
この「GLOBE」の企画・取材の進め方を見て、うらやましく思ったのだ。何がって、潤沢な取材費が。企画段階で全国を飛び歩き(生駒まで来たよ)、さらに世界各国を取材に回れる。期間も約2カ月かけている。
フリーの私には望むべくもない条件だ。
 
Glove_2_2  
 
たとえば上記の記事は韓国の森林政策を紹介しているが、これ、私が取材に行きたかったネタだよ。
韓国の山林庁は、胎教から森のようちえん、森林療法、そして樹木葬までを「山林福祉」と名付けて、森林と国民の関わり方のグランドデザインを作っている。木材生産を重視していない点はどうかと思うが、少なくてもめざすべき方向性は読み取れる。
個別のネタは日本やドイツの事例を参考にしているのだが、「森の活かし方」全体像としては日本より進んでいるのではないか……そう感じて以前から関心があったのだ。 
 
残念ながら私を取り巻く状況は、海外取材に行けないどころではない。最近は取材経費を出さない原稿依頼が増えているし、さらに原稿料自体の値下げが続く。以前の半分だったりする。マジに取材すれば、経費が原稿料を上回る状況が起きているのだ。
 
かといって、どこぞをヨイショして仕事を増やそうとも思わないし。。。。
 
頼みの綱の本も売れない時代。(出版界全体が売上を毎年5%ずつ落としている)
これで、どうやって食っているのか自分でも疑問だ(~_~;)。林野庁の主張を真似て「低コスト施業」にするか。。。(それって、取材の質を落とすということ?)
 
 
このままでは日本の森どころか、自分の老後のグランドデザインも見えない。やっぱり、金だ、金。
 
 
以上、愚痴はやっぱりお金にまつわるのでした。
 
 
 
追記・「GLOBE」の記事 は、ネットで一部読めます。映像つき。
 

2016/09/04

TV『日本のチカラ』に「希望のかけ箸」

朝早く(午前5時50分!)からの番組(TV朝日系)、『日本のチカラ』で、福島の磐城高箸が紹介されていた。(さすがに見たのは、録画だけど。)

 
1
 
あらためて頑張っているなあ……と。私が訪れたとき(震災直後)より工場も広くなっている気がした(^o^)。
 
2
 
覆面していないし……(⌒ー⌒)。
 
4  5_2
 
台湾でも販売しているし。
 
 
番組を見ていて、考えたことを。
 
まず国産でやっていくには高級割箸路線しかないかもしれない……が、高い割箸(1膳50円ほど)をいかに売るか。
 
高級飲食店ならコストに吸収することが可能なはずだが、客にいかに伝えるか。
いっそ、「使い捨て」という割箸の特徴を捨てるべきかもしれない。「持ち帰り箸」として飲食店で客に出し、食べたお店の土産物として持ち帰るための箸袋を用意するのはどうか。何か記念日の食事会、デートなどだったら、日付入りにすることも面白くないか。
箸袋もオシャレにして、そこに割箸に対する思いを書き込むことも可能かもしれない。箸をぬぐうペーパーも必要か……。
 
そこまでしたら、割箸分が高くなった食事代金も許されるかもしれない。
……が、それは店の領分なので、割箸メーカーは提案する止まりである。
 
 
ところで、品質にこだわることで歩留りが20%というから、規格外品をどうするか。
そのまま安売りする手もあるが、それではブランドを傷つけてしまいかねない。そこで磐城高箸のように規格外割箸を刻んで枕の詰め物にして新たな商品にする展開も必要になってくる。枕以外の使い道も増やしていけるか。あまり商品数が増えると、生産管理が大変か。営業も別業界になってしまう。燃料ペレットのような品では価格が安くなるから、あまりメリットはない。高付加価値の商品はないか。。。
 
 
そんなことが頭の中を交錯した。……ともあれ、国産割箸業界は厳しい。
 
 
ちなみに割箸サミット(国産割箸メーカーが大集合!)計画もある。国産割箸の存在を世間に知らしめると同時に、割箸の価値を再認識してもらうきっかけづくりがテーマだろう。
 
折しも9月12日から16日まで、霞が関の農林水産省「消費者の部屋」で、割箸の特別展示が行われるそう。
場所が場所だから見るのは、農水省への訪問者と内部の人が大半だろうが、ぜひ、この機会に現在国内でつくられている割箸がどれだけあるか、どんな箸をつくっているか……を再認識していただきたい。
 
 

2016/09/03

『樹木葬という選択』書評・ソナエ

ふらりと入った書店。

 
そこで書棚を眺めていると、「終活読本ソナエ」があった。その名のとおり、終活……葬儀、お墓に関する専門誌である。
 
Photo 2016年春号
 
もう夏号が出ていると思うのでバックナンバーなんだろうが、季刊誌だからかまわないのだろうか。
 
で、パラパラとめくって書評欄らしきものを発見。見ると、拙著『樹木葬という選択』があるではないか!
 
 
思わず撮影してしまったv(^0^)。
 
002
 
いやあ、買わなくてはいけないと思いつつ……今回は許してくれ。次は買うから。できれば樹木葬特集組んでほしい。。。。
 
ところで、この号は3月発売のようだが、拙著の発売は2月である。つまり、すぐに載ったことになる。それなのに気づかなかったとは。チェック漏れであった。
 
ともあれ、感謝。
 

2016/09/02

Yahoo!ニュース「オオカミと犬に違いはあるのか?」書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「オオカミとイヌに違いはあるのか? 」を執筆しました。

 
これ、最初はブログに書くつもりだった。というか、ブログに書いていた。
 
が、ちょっと調べすぎて、こんなに調べたのにブログじゃもったいない(~_~;)と、Yahoo!ニュースに移しかえたのでした(⌒ー⌒)。
 
もともとは、オオカミを日本の原野に再導入しろ、という意見がうるさくネット上を飛び交っていたので、その反論を考えたのだが、その前にノイヌが増えているよな、私も樹海の中でノイヌに囲まれたことあったよな……と思い出しているうちに、ノイヌとオオカミはどこが違うの? という疑問になったわけだ。
 
で、調べたらオオカミとイヌって、ほとんど同種! という事実にぶつかって驚愕したのでした(笑)。
 
ま、その根拠がウィキペディアではまずいんで、いろいろ科学系のサイトも調べたが、わかりやすく説明していたのはウィキだったんで、引用もウィキを使うことにした。ただ、ミトコンドリアの遺伝子を調べた結果は、どこも同じである。
 
 
今後は、調べた労力も考えて、Yahoo!ニュースに投降する記事をもっと増やそう。

2016/09/01

予算請求に外国人誘致?

昨日に続いて林野庁の話題をもう一本。
 
林野庁が、来年度(平成29年度)予算概算要求を財務省に提出した。要求総額は3436億3800万円で、対前年度比17,2%の増。
 
ま、これは要求であって、どれだけ通るのか知らないが……なかに面白い項目がある。
 
国有林を活用した外国人客の誘致に乗り出すというのだ。地域活性化のための観光資源として森林に、外国人客の受け入れ態勢の整備を進める関連事業費を盛り込んでいる。
 
自然環境に関心がある客は富裕層が多いとされているから、金が落ちると見込んでいるんだな。
 
具体的には、森林浴などに適した「レクリエーションの森」(全国に1075カ所)からモデル地区を選ぶ。そして、自治体が外国人客向けの森林浴や野外スポーツを楽しめるよう、多言語のホームページやパンフレットなどを作ったり、ガイドを伴ったハイキングやスキーツアーなどを催すことを、支援する……。長期滞在を視野に入れたプログラムの立案もするらしい。
この中に森林セラピー基地なんかも入ってくるんだろうな。
 
 
ちなみに昨年の訪日客数は1974万人(暫定値)で、2020年に4000万人とする目標を掲げている。これに乗らない手はない!……ようするに、インバウンド目当てなんだが、林野庁がやることか(笑)。
 
これって便乗だろうなあ。世間で持て囃されている外国人誘致にいっちょかみするか、という、予算獲得の技だろうか。
でも、あくまで国が出すのは宣伝費や立案に「支援」だけ。施設の整備等は自治体にさせるわけだ。 
 
 
しかし、森林散策に外国人が来ても、お金を落とさせるにはさまざまな仕掛けが必要だ。
もともと森歩きは安上がりな観光なのである。自然環境に関心のある客が、豪華なリゾートに泊まりたがるかどうかも疑問だし、物欲が弱くてお土産もあんまり買ってくれないかもしれない(笑)。ガイドだって、養成にコストがかかるだけかもしれない。
 
「自然環境に関心がある」というのは、実は意識が高いことであり、金払いがよいことではない。むしろ質素なんじゃないだろうか。
 
以前奈良のゲストハウスに泊まっていた父娘のフランス人に会ったことがある。父の職業は金融関係で金はありそうだった。しかし、二段ベッドのゲストハウス。ただし長期滞在で古都を堪能しようという旅立った。まだ幼い娘同伴というのがそそる。
意識高い系の外国人は、無駄にお金を使わないのだ。
 
 
いっそ、「森林の空気」代、「森林の水」代を取るか。。。いっそ原野商法のように、外国人に水源林を売り飛ばした方が金になると思うよ。
 
 

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