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2016/10/30

「日曜美術館」の水口細工

NHK「日曜美術館」で、水口細工が取り上げられた。

もっとも、正倉院展に陳列されている「白葛箱」の謎の技法を説明する中、よく似た葛細工の復興という流れで、放映は1分くらいだけどね(^o^)。
 
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せっかくだから、水口細工復興研究会の作品をば。
 
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水口細工の材料や、そこから繊維を取り出す加工法は、幸いにして再発見できたのだが、次の課題は編み方なんだろう。テレビでも会長が「まだ幼稚園レベル」と謙遜していたが、基本的に研究会は何の報酬もなく取り組んでいるのだ。
 
ただ、編み方の勉強の過程で大きな味方となっているのが、田辺小竹さんだろう。父が高名な竹工芸家なのだが、それを継ぐとともに竹工芸を新たなアートとして作品づくりを行い、世界中で活躍している人である。
 
研究会の人々が彼を訪ねて編み方を教えてもらっているのに同行したのだが、私はそんなエライ先生に技を教わるのだから、相当の御礼を払わねばなるまい……と思っていた。が、聞いてみると「菓子折りだけなんです」(~_~;)。
 
それでも田辺小竹さんが教えてくれるには訳がある。田辺さんも葛細工に興味を持って調べた際に水口で再興に取り組んでいる研究会のことを知り、訪ねてきたことがあるそうだ。その際に、研究会側がそれまでにわかってきた素材や加工法について全部教えた。それを活かせたのか、田辺さんは2010年の伊勢神宮の式年遷宮の際に、葛細工の神宝を製作して納めたのである。
ある意味、そのお返しとして編み方を教えてくれるのだろう。そして、同じく編み細工工芸に取り組む同志として。
 
 
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再興・水口細工の技術がどんどん上がっていると褒めていた。私が横で聞いているだけでも、かなり具体的に(マニュアル化できないような)技法を惜しげもなく教えていた。水口細工を確実に甦らせることに大きな貢献をしただろう。
 
一方で、田辺さんのように技術をアートに昇華して才能を発揮すれば、廃れようとしている工芸を専業にしても生きていけるという見本にもなる。
 
 
ところで、番組では、ほかにもいろいろな素材を取り上げていたが、面白かったのは、「巻胎」である。
木材を薄い板……というよりテープに近い……にして、それを巻くことで造形する技だ。薄いから乾燥して歪むこともないという。こんな技が古代中国から伝わり、少なくても奈良時代には日本に根付いていたのか。そして今は消えてしまっていたのか。。。。
 
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しかし、この巻胎という技法、現在でも使えないか。木材を切ったり張り合わせたり、あるいはくり抜いた、編んだりするのではなく、板を巻き、そして漆で固めるというのは、いろいろなグッズに活かせるような気がする。
 
ほとんど消えかかった技術を現代風に活かすのも伝統工芸を守る一案だと思うのだが。
 
 
こんな番組をみていると、私も奈良国立美術館の正倉院展に行きたくなった。もっとも、この展覧会、ものすごい人でゆっくり見られないうえ、展示が酷すぎる。以前足を運んだときは,がっかりした。単に陳列しているだけ。
「日曜美術館」なみに、品々の背景を紹介してくれたら魅力たっぷりになるんだけどね。
 

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コメント

通りすがりながらほぼ毎日覗き見しております。

かつての飛騨高山に「千巻(せんまき)」という特産工芸品がありました。生家の近くに工場があり、トウヒの大径材が車から卸され木の香りが漂う風景でした。

「千巻」とはどんなものでしょう。チマキならわかりますが(~_~;)。
トウヒからつくるんですか?

ブログの記事をいつも楽しみにしております。

飛騨高山の「千巻」は少しネット検索したところでは今は生産されておらず、今はもう過去の作品が僅かに流通することがあるぐらい、というような記事が出てきました。

青森には「ブナコ」というものがあるそうです。
ちょっと私なにか思い違いをしているおそれもあるのですが、お話をうかがう限りではかなり似ている物のように思いました。
「ブナコ」の方は工場見学や製作体験を行っている製作工場もあるそうです。
ぐるたびにある製作体験記事がすごく楽しそうでした。

「ブナコ」を調べました。これは記事で紹介した「巻胎」と基本的に同じ技術ですね。漆の代わりに接着剤を使っているようです。
「千巻」も同じものだとすると、日本各地に「巻胎」技術は、形を変えつつも残っていたことになります。ただ、それも消えつつあるのでしょうが。

よいことを教えていただきありがとうございました。

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