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森と林業の本

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2016/10/27

竹に葦、建材は無限だ!

滋賀で訪ねたのは、CLTと甲賀杣だけではない。

 
実は、傑作な建築物を見学してきた。
 
まずは湖南市のバンブーハウス。住宅地の合間に残された放置竹林に、忽然と登場した竹の建築物群があるのだ。
 
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まずは竹の小屋。建てて3年経つというので少々こわごわであったが、そんなに傷んでいない。これ、釘を一本も使わずロープで結んでいる。
 
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これはテラス。
 
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なんか、わくわくしないか。ゲゲゲの鬼太郎ハウスみたいだ(笑)。冒険心をくすぐるし、こんな竹林で夕涼みかキャンプしたくなる。……実際は夏だと蚊が多すぎて、じっとしていられないそうだが。
 
 
だが、これだけではない。足を近江八幡市に延ばすと、今度は葦のドームがあった。
 
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琵琶湖岸に繁茂する葦(ヨシ、もしくはアシ)。葦自体は長さ3~4メートルくらいに生長するが、短い棒にして、それを結んでいくことで、こんなドームに仕立てたのだ。現在は、洋菓子屋たねやのラ・コリーナ近江八幡に置かれている。
 
 
実は、どちらも滋賀県立大学建築デザイン学科の永井拓生助教と、学生さんたちが作ったもの。永井さんは建築家なのだが、タケやヨシの建築を専門としている(笑)。それは冗談だが、素材としてこれまで見捨てられていたものに眼を向けたのだ。
 
思えばタケも本来はタケノコや竹材として使われてきたし、葦もよしずなどになる。しかし最近は、持て余し気味。
どちらも、荒れた竹林の整備や、水を浄化する葦原を刈り取った時に出たものをいかに利用するか、という発想から、それらを素材とした建築に取り組んだのだという。
 
 
 
近頃は、プロダクトアウトはダメでマーケットインで商品づくり……とよく言われる。木材が余っているから使え、ではなくて、市場で求められているものをつくれ、という意味だ。
まあ、ビジネスとしては正論なのだが、自然を相手にした場合、単なるマーケットインでは環境問題を引き起こしだちである。市場が求めているものに際限なく応えていると、往々にして資源の偏った浪費になりがちだから。
かといって、余っているものを無理やり押しつけたり、税金(補助金)で消費させようとするのも愚の骨頂。
 
余っている資源を、いかにマーケットが求めるものに仕立てるかが重要となる。そこには相応のアイデアが必要だ。
 
もし国産材が余っているのなら、国産木材をマーケットの求める品にしないと。単に木製品に仕立てても売れないか、売れても外材に取られてしまいがち。もちろん、それは国産木材だけでなく、竹でも葦でも、多くの素材に起こることだ。
 
それらを利用する新しいプロダクトアウトが求められている。
 
 
しかし、全国の竹林にこんな冒険コースを作ったり、葦をアートの素材として利用したら需要も増えるし楽しくはないか?

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コメント

竹の節を抜き、開いて板代わりに住宅に使っていたのは、そんなに古い話ではなく、小田原にある二宮金次郎の家の外壁はそうした
作りです。(内壁は土壁で外が竹板)
茅葺屋根を持ち出すまでもなく、割った竹を雨樋代わりにしたのも、網代の塀や竹の垣根など建築資材として多く使われていました。
竹を専門に扱う竹屋が昭和40年ごろまで存在しました。

竹材はなかなか風情が合ってよいのですが、今は輸入物に圧されていますね。竹のフローリングは売れていると聞いたのだけど、材料は輸入竹だったり。。。

流通に乗せるのは難しいのであれば、その場で竹の建築やってしまうというのも手かなあ、と。全国の荒れた竹林に冒険広場をつくれないか。

写真のような建物には住みたくないですね
さすが、デザインを優先して使い勝手の悪い校舎を建てた滋賀県立大学

見れば住むための建物でないのは一目瞭然でしょ。下らない悪口は垂れ流さないでください。

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