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森と林業の本

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2016/11/16

「槍の柄」はどこにある

NHK大河ドラマ『真田丸』もいよいよ佳境。今年の大坂の陣は、豊臣方が勝つ、とネットでは評判だが(~_~;)オイオイ、 真田幸村の戦う姿と言えば、十文字槍が欠かせない。

戦国時代の合戦の主要武器は、刀ではなく槍なのである。。。。

 
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ところで槍術と言えば、もっとも知られているのが宝蔵院槍術だろう。
 
宝蔵院流は、奈良の興福寺の僧兵・胤栄が始めたと伝わる武術であるが、特徴は十文字槍(鎌槍)と3メートルを越える長さの素槍だ。
 
この槍が危機にあるという。柄の材料が手に入りにくくなってきたからだ。
槍の柄はたいてい木製だが、素材として使われるのはカシ、クリ、クルミ、ブナ……など。サクラ材もある。とくに宝蔵院流の槍ではカシを使う。
 
しかし、まっすぐなカシの幹が長さ4メートルはないと槍の柄にはならない。節があってもいけない。そんな木が手に入らなくなったという。カシの柄でないとしなり方が違うので、伝承してきた型が正確でなくなるらしい。
 
かつては、農家が防風林としてカシを自宅などの周辺に植えて、それを育てて商品化するというサイクルもあったが、今や植えなくなった。そのため困っている。
 
そこで奈良県の宝蔵院流槍術保存会と森林技術センターとともに植樹を始めることになったそう。
 
柄にする木は細いが、堅くて長く育てるには30年以上かかるというから結構大変だ。しかし、商品としての需要はあるわけだ。こんなニッチの需要を探って生産する林業も必要ではないか……。産業としての林業ではなく、林家の生き残り経営方法としてではあるが。
 
 
よくよく考えれば、工芸作物は意外とバラエティがあって、しかも替えが効かない故に堅い需要が見込める。多様な商品を持つという点からも可能性はあるはずだ。用材のように50年60年かかるほどではない点もよい。
 
たとえばアブラギリ。アブラを取るためかつては盛んに栽培されたのだが、同時にこの木で焼いた木炭は、研ぎ炭として最高級なのだ。しかし、アブラ需要がなくなったために、アブラギリ栽培がされなくなった。すると木炭の原木も足りなくなってきて途絶えようとしている。
 
Photo  アブラギリ
 
漆も、文化財修復用に国産漆が今後大量に必要になるのは確実なのに、肝心のウルシノキがほとんど栽培されていない。漆かき職人も必要だが、植えて10年くらいしてから樹液を取るので今から用意しておかないと間に合わない。
 
1 ウルシノキ
 
アオダモは、バットの素材だ。プロ野球は木製バットしか使わないが、よいアオダモが少なくて輸入品に頼りがちだ。
 
ほかにも和紙原料のコウゾやミツマタとか、漢方薬・生薬に欠かせないキハダやオウバクなど、その原料でなくてはつくれない品は少なくない。そのいくつかは林床や、森の一部を割くだけで栽培地は確保できる。そんなニッチ狙いも意義ある林業になるのではないか。

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