無料ブログはココログ

本の紹介

« 丸太の洞窟 | トップページ | 虐待される植物~側溝編 »

2016/11/01

人工林の土壌は劣化する?しない?

昨日は、ハロウィンだった。おかげで電車の中でもコスプレした(主に)女子を見かけたのだが……。

 
実は、訪れた森林総研関西支所の公開講演会でもコスプレが見られた。
 
1 ヒノキ君とスギ君。
 
この講演会のテーマは、「森林の時間を科学する~森林の長期観測で得られた成果~」であり、水分と生長量、そして土壌の3つの発表があった。
上記のコスプレは、3つ目の「スギ林、ヒノキ林の土壌は20年でどう変わる?」という内容。コスプレした(させられた)のは名古屋大学の学生らしい。。。
 
結論だけを簡単に記せば、スギ林では肥沃化(カルシウムの蓄積)が進み、ヒノキ林ではたいして変化はない、ということだろうか。スギは自家肥料、つまり葉を落とすことで土壌の肥沃化を進めるのである。一方痩せ地化(酸性化・アルミニウムの蓄積)は、スギ林で進み、ヒノキ林はあんまり変化なし。
ただし、もともと痩せ地の場合は、反対の結果も出て……とまあ、細かなことは今後どこかに発表されるだろう。
 
 
私には、スギ林の場合、どんどん肥沃化するというのはちょっと驚いた。
 
実は、昔、某林業地で、人工林は土壌の栄養素を吸収して生長し、その物質の塊である原木を伐採で外部に持ち出してしまうから、どんどん痩せていくんじゃないか、再造林をしても育たなくなるのではないか……という意見を聞かされた。
 
その時は、吉野のように約500年間、繰り返し植林と伐採を行っても地味は衰えていないところがある、と反論した。
 
そして、この話を吉野の林業家にすると、簡単に言われた。
ああ、再造林すると生長は落ちるよ」。あらら(~_~;)。
でも、それでいいんや。生長速度が落ちて、ゆっくり育つと年輪が詰まる。その方がよい木になるし、高く売れる」。
 
さすが吉野林業! 恐れ入ったのだが、まだ吉野と名がつけば材価が高い時代だった……。
 
それに今思えば、戦前の吉野林業はスギとヒノキの混植が当たり前だったから、お互いの木の土壌への影響を上手く活かしていたのかもしれない。
 
大昔に読んだ「森林の生活~樹木と土壌の物質循環」(堤利夫著)でも、この当たりのことに触れて、結局「よくわかっていない」だった記憶がある(~_~;)。それから30年以上経って、結論に近づいたのかしら。
 
 
ところで草木によっては長年生えているうちに生長阻害物質(アレロパシー物質)を出して、ほかの植物を生えにくくする。クヌギやコナラなどにもあるし、北欧の森林では、それで野イチゴ・ベリー類が生えなくなった、という報告を読んだことがある。
だが、それを吹き飛ばすのが森林火災なんだそうである。熱でアレロパシー物質は分解され、また生成された木炭によって吸収される……。
 
やっぱりスギ林もヒノキ林も、皆伐した後は火入れするのがいいんじゃないか、地こしらえが楽だし焼畑にしたら作物を収穫できるし。。。。とスギとヒノキのコスプレを見つつ考えていたのであった。

« 丸太の洞窟 | トップページ | 虐待される植物~側溝編 »

林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

人工林に関しては、成長量はどのような施業が行われて来たか?という点が最も重要なポイントではないでしょうか?
皆伐後の土壌についてもその後をどのような森にしていくのか?で、焼くべきか表土の撹乱をするのかなど計画すべきと思います。

施業や将来の目標林形についての話も出ましたが……林業では施肥しないし、下刈り・間伐も回数は少なくて影響力はどれほどあるか。発表例は、成林した人工林の20年間で、樹木が土壌にどんな影響を与えるかを研究したものでした。

逆に言うと、スギやヒノキの土壌に対する性質を知った上で、施業や伐採後の森づくりを考えたらいいんじゃないですかね。

私は、単に森に火をつけたいだけでヾ(- -;)。

山火事の後に植林しても成長の良い気と悪い木に分かれるかと思います。悪くても最終的には変わらなくなる様に思えます。初期成長で渋いとイライラしますがね。

焼け跡によく育つ樹種は、ハギやカンバなどいくつかあるけどスギ・ヒノキはどうでしょうね。
ただ伐採跡地に火を入れるのは、昔はよくやっていたようです。残材を灰にすれば肥料になるし、有害な菌類を焼いて消毒する意味もあったとか。

昔やってた山焼きは山畑とか採草地にする為のものだと思いますよ。有機物だと分解に時間かかりますが焼くと無機化して即効性の肥料になりますからね。
そもそも昔は皆伐しても間伐しても余分なものは林地に残ってたので、そのうち肥料になってたんでしょうけど今の皆伐+全幹集材+残材はバイオマスだと林地に何も残らないので只でさえ薄い表土が更に薄く・・・。

毎年火入れする山はともかく、焼畑的な火入れは、結局作物が取れなくなって放置した後に森へと遷移します。そこに人が手をかけたのが焼畑起源の林業なわけで。
 
欧米だと全木集材が普通ですが、土壌の劣化はしているのかどうか。もう少し詳しい知見が欲しいですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36391/64431167

この記事へのトラックバック一覧です: 人工林の土壌は劣化する?しない?:

« 丸太の洞窟 | トップページ | 虐待される植物~側溝編 »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

森と林業と田舎