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2016/11/25

生駒の七森信仰

奈良県王寺町の谷林業の持ち山で開かれている「チャイムの鳴る森」。

 
このイベントの仕掛け人は、この森(陽楽の森)の近くでカフェ&写真館「ナナツモリ」を開く田村夫妻である。
 
先日、田村の奥さんとお会いした際に「ナナツモリ」という店名の由来を聞いた。私は、ナナツモリとは生駒の七森信仰、モリさん信仰に引っ掛けたのかな、と思って聞いてみた。
 
全然違った(;´д`)。
 
 
でも、生駒にある七つ森の伝説と信仰は、なかなか興味深いのだ。
 
まず、生駒市の広がる生駒谷は、17の集落(村)、郷があった。そして、この17の集落のいずれにも固有の7つのモリさんがあったのである。言い換えると、現・生駒市に119のモリが存在するということだ。(ただし、現在はいくつか消滅して7つ揃わないところもある。もはや消えたところの方が多いかもしれない。)
 
問題は、このモリさんだ。これは何か?
 
 
 
……わからない。
 
ただ集落の中に、7つのモリさんの場所があるのだ。一つ一つはそんなに広くない。神社とかお寺のような宗教施設とは少し違う。ただ十分な伝承がない。文献にもほとんど登場しない。確認できるかぎり、少なくても200年くらい前からあるらしいが。
 
まあ、イメージとしては、なんか木が生えている。それが全部大木だというわけでない。もちろん大木古木もある。1本だけの場合も数本ある場合も。枯れてしまってブッシュになってしまったところもあるらしい。
 
そこに祠を設けて、何か祀ることは多い。地蔵なのか金比羅なのかわからんが。むしろ、後付けで何かを祀ることにしたようだ。
生駒山は、掘ったら石仏や梵字が出土したり、森の中に謎の工作物が見つかることもあるから、そうしたものの変形かもしれない。では、ここに何か由来があるのか。先祖を祀るとか、事件があったとか?
 
……ないらしい。
 
もっと感覚的に、何か怖いところ、精霊といるところ、なんだろう。今風に言えば、怪しい(黒い)パワースポット。
 
しかし、全集落で7つにこだわってつくっているのは、人工的な臭いもする。そこを祀る理由があるというより、7つ設立するために選んだのではないか。。。
 
どうやら爽やかなイメージのカフェ・ナナツモリとは似ても似つかぬ世界だ(⌒ー⌒)。
 
 
3
 
祠の中を覗くと、金比羅神だというが、とくに仏の顔をしているように見えず、単なる石に赤まいかけをしただけに見える。
 
1
 
完全なブッシュの中で発見した祠。(どうやって入ったんだ、と聞かないでください。)
 
 
土着信仰とはそうしたものなのだろう。明確な教義のある宗教の施設ではなく、自らの住む土地の中の異界みたいな感覚でモリさんを指定したのではないか。。。
 
 
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地中から掘り出された地蔵? 道路工事で見つかって、改めて祀ってある。
 
 
 
この七森、モリさんについて研究をしている郷土史家に話を聞いてみたい気もする。森を信仰と結びつけ、恐れと敬いの原初形態、人々と森の関わりの深層部分にふれられるかもしれない。
 

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