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2016年12月

2016/12/29

神様と動物行動学と林政

今、神様の本を読んでいる。宗教書ではなくて、宗教解説書。

 
なかなか面白い。たとえばキリスト教の教義を成立させたのは使徒パウロであり、キリストの思想というよりパウロの宗教だとか、19世紀にプロテスタントの合理集義、啓蒙主義が広がる中で、神のいる場所は天上ではなく心の中だ、と規定されたとか。
神が心の中にいるとしたことで、ロマン主義が登場する。ロマン主義が、自然崇拝に踏み出していくのだよ。ロマン主義が現在の森林に対する人の価値観をつくったとも言えなくもない。意外と最近ということになるし、不変でもない。
 
 
一方で、宗教は動物行動学と相性がよいとも感じる。
 
宗教は、人の行動原理を突き詰めて説明しようとするのだが、それは人間の行動学と近くなる。しかし人間の行動原理は、動物として、生命体として規定されるから、動物行動学とも言える。その根本原理は「遺伝子のなすがまま」である。ドーキンスの利己的遺伝子論が述べるように、自らの増殖が至上課題であり、そのために遺伝子の乗り物である生命体の行動を操るからだ。
 
私、学生時代は森林生態学を志したとことあるごとに記してきたが、出発点は動物行動学だった。野生のオランウータンはどんな行動をしているか、知能はどの程度か、というところから入っているからね。サル学にもはまった。
 
 
すると動物行動学は、人間の心理と政治を読み解くことに応用できることに気づく。
 
実は、私自身は組織に属し組織行動が苦手な人種であり、結果的に個人で活動している。しかし、組織のマネジメント論に対する興味が強い。ドラッカーを始め、結構な量の組織経営論を読みふけった。組織経営は、畢竟、人間の心理学であり行動学であると思う。そして経営は、人間社会全体では政治に行き着く。私は、政治に興味があるのだ。
どこで活かすんだ、と我ながら疑問だが、きっとそのうち、私が会社の社長に就任する日、政治家になる日も来るだろう(笑)。
よりよき社会を作りたければすぐれた政治的マネジメントが必要だが、マネジメントには心理学、行動学、そして宗教というか思想的規範が求められるのではないか。
 
 
そんなことを考えながら、マネジメントを森林や林業の世界に当てはめると、現状は「わかっちゃいるけど、止まらない」状態なんだな、と感じる。
 
一例として、今や林業界は「主伐の時代」に入っているが、その理由は「伐期の平準化」だそうだ。戦後、大量に植林した人工林によって林齢が偏っているのを正すのだそう。これは「正す」のが目的だから、正したら止めるのが基本だろう。(そもそも、正さなくてはいけないのかどうかも怪しいが。)
 
主伐は、言い換えると皆伐なわけだが、適切な時期が来たら止められるか。
 
無理だろう。皆伐のための組織や技術、設備、それに意識が固まった時点で止められないのだ。止めたら、目先の仕事を失う人が多く出るから、遠い将来の手法は選べなくなる。目先の政治に終始するのだ。過去の事例、いや現在の数々の事例でも、それを示している。
 
伐りすぎて、伐れなくなるまで続く。伐れなくなるから放棄する。幸い、消費側からすると木材の代わりとなる素材はいくらでもあるから木が伐れなくなっても気にしない。……かくして林業は壊滅するわけである。
 
本当は、そこまで先を読んで行動するのが人間の政治であり、マネジメントなのだが。あとは、神に祈るしかない。
 
最後にドラッカーの言葉。
 
033
 
 
 
さて、今年はここで打ち止めにする。頭の中にはいろいろ湧き出て来るのだが、年末年始はあえて脳内に留めて醗酵・腐敗させてみよう。
 

2016/12/28

山岳科学の学位って……

来年4月より、山岳学位というのができるそうだ。

 
筑波大学・信州大学・静岡大学・山梨大学の4つの大学が連携して、山岳地域の環境問題を学び、山岳生態系の管理などを行う人材育成を目指して、新たな大学院(修士課程)をつくり、修了時には、「修士(山岳科学)」の学位を取得できるようにする。山岳科学の修士号は世界的にも珍しいだろう。(というか、ほかにあるのか?)
 
プログラムをスタートするに合わせて、筑波大に研究部門の「山岳科学センター」を来春発足させるとか。
 
山岳学位! なんとも不思議な、魅力的な学問分野だ。もっとも、昔から大学の山岳部(山学部)出身です、という輩はいたが。私も大学は探検部出身です、とのたまっていた。
 
どんな内容かと探ると、筑波大学に山岳学位プログラムのサイトがあった。
 
そこから引用させてもらうと、
 
2  1
 
ちょっと自然科学に偏った説明だが、農学分野、理学分野、工学分野を含み重なる部分をイメージしているようだ。
 
もっとも、農学分野というのは、ほぼ林学のことである。造林学、林産学とか林業経営学、山村社会学、森林保護学、森林風致学まで含めている。みんなカリキュラムにあったなあ。
 
で、理学分野とするのは、生態学地形学、地質学、気象学、水文学……。これ、私は林学で学んだけどなあ。
 
工学分野とは、河川工学、砂防工学、森林工学……これらのテキスト、いまだに我が書棚にあるよ。林学分野じゃないの?
 
 
というわけで、山岳科学と呼んでいるのは、昔の林学とあまり変わるように思えない。林学は、自然科学、社会科学、人文科学、すべてを包含しているからだ。ないのは文学だけだ、と言っていたものである。
もっとも、現在は林学そのものが崩壊して森林科学、生物生産学部などと名前を変えて、内容も以前ほど幅広くなくなったから、比べるべきではないかもしれないが。
いや、昔の林学が崩壊したのは、その幅広さゆえかもしれないのに、また幅広くして大丈夫か?
 
 
めざすのは、山岳域における自然変動・人間活動に伴う地圏・水圏、生態系、自然資源に関する課題の解決に貢献できる人材の育成……だそう。
肝心の就職先は、国家・地方公務員、国立研究開発法人/地方研究機関等の研究員、一般企業、組合等職員、NPO/ NGO……大雑把(笑)。実際のところ、公務員以外はオマケみたいなものだろうか。これも、かつての林学出身者の就職先と酷似。あ、私ははぐれていましたけどね。どれにも該当しない(笑)。
 
何を持って山岳学位という発想が生れたのか知りたいところだが、我が母校も参加しているのだから、一応期待しておこうかな。。。。
 

2016/12/27

Yahoo!ニュース「薪はやっぱり広葉樹?…」書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「薪はやっぱり広葉樹?それとも…… 」を執筆しました。

 
今年最後の裏事情になると思うが、これを書く前の日に本文でも紹介した北海道新聞の
という記事にコメントをつけている。
 
 
実は、このコメント、Yahoo!ニュースの編集部から依頼を受けたものだ。「こんな記事があるのだけど、専門的な解説をしてくれませんか」とあったのだ。この際にはオーサーコメント欄を使う。オーサーとは、Yahoo!ニュースの執筆者のこと。通常のコメント欄とは別に設けられているのである。
 
ほいほい、と私は安請け合いをして、書いた。ところがアップ場所を間違えて、一般のコメント欄に書き込んでしまった。
 
その指摘を受けて、焦りつつもコピーアンドペーストでオーサー欄にコメントを移したりとドタバタしたのが昨夜のことである。
 
 
みっともない(⌒~⌒ι)とほほ...。
 
 
その七転八倒、名誉挽回、失地回復、野放図逆キレ……ではないが、ええいと続編を、今度は自分の記事として書いたのが、今回の薪の話。
 
なんと、回りくどい足跡であることか……。
 
でも、薪に関しては、みんな一家言持つ人が多いようだ。それぞれイチオシの薪があり、薪の扱いや調達方法に思い入れがある。広葉樹がいいのか針葉樹がいいのか。ナラがよいのかスギだって楽しいのか、サクラの薪は匂いがタマランとか、ヒノキはやっぱり火の木だ、カラマツのヤニの焦げ方が好きとか。
 
それでいいんじゃないかなあ。それぞれの考え方と思いで薪を愛すれば。
 

2016/12/26

BS-TBS『日本遺産』に吉野林業

昨日の朝になるが、BS-TBSテレビの『日本遺産』という番組で、吉野林業が取り上げられていた。(先週は木曽林業だった)

 
日本遺産 』は文化庁が選定する歴史的ストーリーに絡めた文化財だが、それを紹介する番組だ。1回に2本、1本15分である。
 
さて、どんな風に紹介したか。まず吉野山の紅葉から樽丸、割箸、三宝といった木工品、それに木材市場などを紹介しながら、吉野川を遡って川上村に入る。
 
伐採風景や密植多間伐、筏流しなどかつての吉野林業を紹介。
 
3 村有林の「歴史の証人」
 
4 なんと、吉野林業全書。
 
6  
 
土倉庄三郎も紹介したではないか!
 
そして林業で栄えた証拠として、吉野の村々にある近代洋風建築物も紹介。
 
7_2
黒滝村の旧庁舎。ほかに上北山村の庁舎とか、村内を走る車の動画とか。
 
子細に見ると、時代を間違ったこともナレーションで言っているし、いくつかの事象を強引に関連づけた紹介もしているが、まあ、細かなことは気にしない(^o^)。
 
 
ちなみに、このところ奈良がよくテレビに登場する。ブラタモリの奈良編再放送とか、今晩も春日大社の黄金の太刀をやっていたしなあ。
 
また今朝のアサイチでは、黒滝村が出ていたのだよ。
 
2
 
山の祭りに出くわした! と長さ八幡神社の「恩供まき」神事を紹介していた。もっとも、トンデモハプニングになるのだが……(笑)。
 
 
 

2016/12/25

クリスマスイブは、眠り杉枕で

クリスマス・プレゼントは、クリスマクラ……クリス枕。

 
オヤジの駄洒落になってしまった。
いえ、本当に届いたのです。枕が。正確には「眠り杉枕」と言います。
 
製造元は、福島県いわき市の株式会社磐城高箸。そう、割箸メーカーである。
割箸の余った木っ端で枕をつくるという話は以前より聞いており、私も少しだけ意見を出していたが、ついに完成したのだ。
 
Dsc_0289
 
わりと大きい。また、比較的硬め。三つの山があり、それが頭にフィットする。
ただ、これだけだと、中に何が入っているのかわからない。
で、カバーを開けてみる。
 
Dsc_0290
 
ちゃんと間伐材マークと木づかいニッポンのマークが付いていた。
さらに中を覗く。
 
Dsc_0292  
 
おお、ようやく透けて見えたぞ、木片が。この薄い包み生地は、オガ粉を外に出さずに香り成分は放出する微細構造をしているそうだ。ここを開けたら、チップを直に見られる……というか出し入れできる。たまに天日干しするとよいそうだ。
 
 
実は、これまで私が使ってきた枕も、木質チップが入っているものだったが、それは丸ごと一つの袋に入っていたため、枕の形が自在に?変わる。ときに低くなりすぎるので、タオルを巻いていた。3つの袋に分けて入れると゛そうしたズレがなくてよい。
ちなみに、長年使っていると香りがしなくなったので、時折木曽ヒノキの精油を振っていた(~_~;)。ただ、それも尽きた。最近は百均ショップで見つけたユーカリオイルを振ったりしている。なんの匂いだかわからん状態だ。
 
 
眠り杉枕は、当然スギの香りがする。ヒノキほど強くないし、やはり密閉状態だから匂いはほのかだが、頭を置いているとふんわり香りに包まれるようだ。
 
 
ちょっと驚いたのは、使われている磐城杉の分析。
磐城杉というブランドは、実は木材業界にはない。その意味で建材としては弱いのだが、意外な効能が発見されている。
 
「他の国産杉と比べて伸縮性があり、さらに中身がスポンジのようにスカスカ」
「十分に乾燥しているため吸水性にも富んでいます」
 
これ、スギ材の建材にするには、不人気な要因だろう。スカスカと言われては……。伸縮性があるというのも、すぐ凹むことになる。
が、それを枕にすると最適素材となるわけだ。
 
つまり特徴を弱みとせず、強みとする商品開発というわけである。
 
詳しくは、眠りスギ枕サイトへ。クラウドファンディングもやっているのである。
 
 
私の正直な感想としては、中のスギチップが見えないのは残念。と言っても透明にするわけにも行かないだろうが、販売のときは中にこれが入っています、というスギチップの見本を添えてみてはどうだろうか。
上記の磐城杉の特徴もちゃんと記して。
 
それと、枕の寸法はちと大きすぎる気がした。好みもあるだろうが、この大きさだと、頭の一部しか乗せられないから、一人では余る。もしかしてダブルベッド用?(~_~;)。一回り小さなサイズも出せないだろうか。高さの調節はできるようである。
 
旅行の際に持参して(車を使う旅だろうなあ)、各地の名所で枕敷いて寝る、「旅する枕」安眠シリーズなんか誰かやってくれないかなあ。
 
なお、今回はこんなおまけも付いていた。
 
_20161223_210209
 
熊本復興も始めたんだね。
 

2016/12/24

大和名所図会の吉野林業

ふらりと入ったブックオフで、掘り出し物の本を見つけた。

 
奈良名所むかし案内」(著・本渡章 創元社)である。サブに「絵とき「大和名所図会」とあるように、江戸時代に発行された「大和名所図会」を解題した本である。
 
奈良は、江戸時代初期から観光地だった。そこでいろいろな観光ガイドブックが発行されている。そのトリというか決定版として1791年に登場したのが、「大和名所図会」なのである。
 
この本は、多くのイラストと多数の詩歌や古典を引用しつつ大和(奈良)の名所を紹介しているもので、現地取材もして描かれたものだから、図柄もかなり正確と見てよいだろう。 
 
それを今風に解説している本なのだが、改めて読むと味深い点が多々ある。生駒山周辺も登場する。
 
が、より面白いのは、この中には吉野林業も紹介されていることである。吉野のサクラだけでなく、筏流しの様子なども描かれているのだ。林業も観光対象であったか。
 
絵が大きすぎるので、一部を切り取るが、
 
2
 
場所は、吉野川の中流域、現在の五條市近隣(その部分は音無川と呼んだようだ)だが、下っていく筏を眺める風景を描いている。これで、当時の筏の構造もだいたい読み取れる。何本の丸太をどのように結んだかということもわかる。丸太は中径木で、あまり大径木は使わなかったようである。
 
3
 
筏の上に、樽丸のような木片の束が積まれている。当時、この筏を上に乗せる貨物が利益を上げたそうだが、それを伝える貴重な文献だ。五條には代官所があり、そこで検査を受けて口金(税金)も取られるのだが、筏上のものは無税だとこともあるようだ。
 
さらに、こんな街の風景も。
 
Photo
 
これ、頭に帽子のようなものを敷いた上に丸太を乗せて運んでいるのだが、いずれも女性である。かなりの怪力だ(笑)。
おそらく、材を加工場に運んでいるのだろう。吉野の下流(下市等)は職人の街だから、筏で流されてきた木材の一部は、ここで買い取られて職人が碗や杓子、経木、曲げ物などに加工する。その途上の風景ではないか。そんな運搬は女性の仕事だったことが読み取れる。
 
ちなみに明治の吉野林業全書では、運搬に関わる人はほぼ全員が男として描かれていることを考えると、いつから変化したのか面白い。
 
残念ながら伐採などの山地の様子は、さすがに観光客の立ち入るところではなかったのだろう、登場しない。それでも過去の林業を推測する一助になるだろう。
 
歴史大河ドラマに伐採シーンが登場する時は、注目して見てね(⌒ー⌒)。

2016/12/23

取材に悩むこと

先日、東京からフリーライターが私の取材に来た。土倉庄三郎についての記事を執筆することになったのだそうだ。

 
土倉翁を紹介してくれるのは嬉しいことなのだが、彼も明治から大正~昭和初期の某人物を追いかけて出版予定があるという。その参考資料に拙著『森と近代日本を動かした男』が入っているらしい。
となると、単に同業者というだけでなく親近感がわいて、話はどんどん脱線していく。
 
その人物を追いかけて内モンゴルまで出かけたというし、背景の明治社会についても意見交換して盛り上がる。そのほかの仕事のことでもお互いいろいろ内輪話をする。結構、やばい話も聞いた。彼は、わりと有名人のゴーストもやっていたそうだ……(~_~;)。
 
そんなわけで意気投合し、彼は奈良に泊まるというのでその晩一緒に飲みに出かけたのである(^o^)。
 
いやあ、結構飲みましたね。居酒屋からバーまで行って、ジンのウンチク垂れて(私が)。ああ、ウンチクオヤジになってしまった。
 
 
ただ話題の中心となるのは、やはり仕事、つまり執筆のことなのだ。なかでも取材である。何が大変って、取材先のOKを取り付けることに苦労することもさることながら……もっとも悩み深きは取材経費の調達である。
 
今、出版界はどんどん経費削減に動いている。企画を出してOKが出たら経費もらって取材して記事を書いて原稿料もらって、出版して印税もらう……というサイクルがなかなか働かなくなっている。書いたら掲載するよ、出版するよ……という状態だ。しかしこれが厳しい。
 
ここで一応説明しておくと、自分のテーマを持っているライターは、とにかく書きたいという気持ちが強い。その際に求めるのは、何より取材経費なのである。思い存分取材したい。ネタを集めたい。ところが取材すればするほど身銭を切ることになると、どんどん気分がしぼんでいく。思い残すことなく取材ができない。よほど金に不自由しない身分で執筆活動が余技である場合でないと、満足するまで取材をしまくることはできない。
 
ここでは原稿料と取材経費は別物だ。
原稿料は高いことにこしたことはないが、純然たる報酬である。ところが取材経費は実費だ。もし原稿料が経費込みとなると、ちょっと意味合いが変わってくる。取材の手を抜いた方が手取りが増えることになるからだ。それが取材の心理的ブレーキになる。5か所取材して書きたいところを3か所にして、いや2か所でいいや……という気分にもなる。(電話取材だけ、いや資料起こしで取材せずに書くライターもいる。)
 
 
ま、私なんかも、足を運ぶよりは経費のかかりにくい文献渉猟の比重が増えてきたけどね。それはテーマにも寄る。『森と日本人の1500年』は歴史的な要素が強いから、否応なしに文献に頼るが、『樹木葬という選択』はとにかく現場を訪ねることに意味があり、全国を自腹で飛び回った。
 
ちなみに彼はなかなか凄腕で、上手く出版社から取材経費を引っ張りだしているようだ。
 
それでも、愚痴は出る。でも、何が書きたいか。(取材対象の)どこが魅力か。いかに肉薄するか。失敗談あり成功の喜びあり。そして、どうやったらこの世界を生き残れるか。話しているとわくわくするのである。
 
考えてみれば、私の身近に同業者は少なく、とくにフリーでルポルタージュを手がけるライターにほとんど出会わない。貴重な出会いになったのである。
 
 
というわけで、痛飲しました。この飲み代の経費は、彼が編集部から出させるというので、私も心置きなく飲めたのでした(笑)。
 

2016/12/22

AIの方が林業に向いている?

先日、大学の同窓生(というと、語弊がある。私は留年したので卒業年次が違った)が大阪に仕事で来たので会って飲んだ。

 
彼は、学生当時ワンダーフォーゲル部の主将で、現在は田舎の高校で国語の教師をしている。以前はしょっちゅう大阪に出てきて一緒に飲んでいたが、今回は久しぶりだ。
 
飲んでいるうちに、彼がセミナーでAI、つまり人工知能の研究に触れたことを語った。そして、「教師という職業は、そのうち人工知能に取って代わられる」というのである。
 
えっ? と私は驚いた。さまざまな仕事が機械によって取って代わられる時代だが、人間にとって最後の拠り所?はクリエイティブ、つまり創作的な仕事と、対人間相手の仕事ではないか。とくに子供を相手とする教師は、最後まで生身の人間が担当するんじゃないの?
 
しかし、彼はいうのである。教える技術は、テクニックの蓄積が進めば機械の方が上手く教えられる。情操教育だって、テクニックで補える……。
 
私は反論した。私自身は科学技術を信奉しているが、同時に人工知能の限界というか、現時点での脳科学の研究レベルからすると、まだまだ、数百年から1000年くらいかけないと人間そっくりの知能はつくれないと思っているからだ。一つの謎を解けば10の新しい謎が生れる世界である。
加えて知識を教えるだけの役割ならともかく、情操となると対生徒の心を読んで的確な反応を行わねばならない。それも表情や言葉の抑揚、しぐさまで含まれる。そんな機械が、そう簡単につくれるとは思えない。いや、そもそも相手(生徒)が、この教師は機械なのだ、ロボットなのだと思えば、どんな適切なアドバイスもしらけるのではないか。。。
 
何より情操を重んじる国語教師が、AIに負けると自嘲的になられたら困る。
 
 
まあ、その時はそれで終わった話題だが、考えてみたら人間の教師だって完全に生徒を導けるわけではないし、むしろでき損ない教師が多いといわれる時代(~_~;)。平均点を争ったら機械に負けるときが意外と早く来るかもね、と思い返した。
 
 
そこから連想したのだが、生徒という人間=生物を相手にするのが難しいのは、あまりに複雑で個体差も自然環境条件の微細な影響があって予測不可能な面があるからだ。それは人間だけではなく、動物や植物全般に言えることかもしれない。
 
アメリカのメディアラボでは、農業のデジタル化を研究しているそうだ。多数のセンサーによって作物と環境の反応を記録して、素人でも完璧な農業をできる世界をつくろうという試みらしい。勘に頼る農業が限界に来ているという認識だ。
それは閉鎖空間の植物工場なら、ある程度は効果があるかもしれない。しかし露地栽培ではどうだろうか。
 
ならば林業はどうだろうか。農業以上に条件は多様だ。しかも地形や地質、草木、菌類まで含めた生態系、気象環境……自然そのものとも言える森林が相手だ。そこに完全無人の林業機械は登場できるだろうか。
 
しかし、よくよく考えると、伐採対象の樹木の形状や枝葉の状態から重心を判断するのは精密なセンサーで樹木を計測することで可能であり、それは人間の見た目より確実だろう。
さらに伐採業だけでなく、どの木をどのように伐って運び出すのが、もっとも低コストで一番高く売れるか判断できる。1本ずつ木質や長さなど特徴を計測して市場動向も瞬時に計算して需要を判断することも可能になる。もっとも有利な出荷先も決められる。森林生態への負荷を可能な限り減らす方法も選べる。面倒だ、と嫌がることもない。事故も減るだろうし、疲労から誤った判断を下すこともない。
 
……なんだか、今の人間の林業の方が機械的に作業しているような気がしてきた。現在の林業現場は、作業員に判断させることなく、一律の伐採(列状間伐が最たるものだ)を行ったり、需要を考えないで大量に出荷して、材価を下げてしまっている。
人間の方が、全然きめ細かな作業をできていないのだ。それこそが林業不振の理由の一つでもある。
 
機械の方が人間的?になる進歩というのも有り得る……そう気がつくと情けない気持ちになった。
 
しかし、意外とAIに任せた方がよい仕事分野は多いのかもしれない。私自身は政治こそAIに任せた方が、イデオロギーや好き嫌いの入らない政策判断ができて今よりマシじゃないかと思っているのだが。。。

2016/12/21

「逃げ恥」の“搾取”

TBS系のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は昨日が最終回だった。

 
これ、ラブコメディという分類なのだろうが、私はどちらかというとラブ・マネジメントとして見ても面白かったように思う。だいたい二人の会話は、まるでロジカル・シンキング。夫婦は雇用-従業員関係で成り立つのか、共同経営者か、なんて議論しているのだもの。ちょっと理系ぽい。
 
ま、ドラマは面白くみたらよい。
 
その中で私のもっともお気に入りのセリフは「やりがいの搾取」「好きの搾取」だ。
仕事として面白いから無料か低賃金で働いてくれ、好き同士で結婚したのだから家事はボランティアでしてくれ……という意味だ。
主人公森山みくりに、こんなセリフがあった。  「人の善意につけこんで労働力をタダで得ようとする。これは搾取です」
 
実は、私も「これって……」と憤懣やる方ないケースに遭遇した。
 
話は2年前、いや正確には2年8カ月前に遡る。
 
某出版社から原稿の依頼が来た。ある業界の事典的な本づくりの一部を執筆してほしいというものだ。編集を統括している某大学の教授が、私を指名したのだという。執筆陣も、私以外はほぼ研究者ではなかったか。
 
もちろん了承しましたよ。もともとその分野は、本を執筆している。ただ依頼があった時点でも随分年月が経つので、改めて情報を集めて分析しなくてはならない。呻吟しつつ、何日間もかけて書き上げた。送ったのは数カ月後である。なんだか、語句の統一表とか、契約書と説明書の量が多かった記憶がある。
 
その時は幾度か編集部とやり取りしたが、そのまま音沙汰がなくなった。その年末、どうなっているのか問い合わせた。
 
すると、ほかの執筆陣が遅れている……(私が原稿を納めた期日がデッドラインではなかったのか?)ので、ということだった。支払いは印税なので出版されないともらえないという。
 
さて、それから1年。まったく音沙汰がないので、私も堪忍袋が切れて、出版の有無に関係なく支払うよう督促した。
 
その時の返事は、いまだに執筆が遅れている……というものだ。ただ私が強硬なので、概算して先払いします、と返信してきた。
 
私が執筆した分量の全体の割合と、だいたいの定価・発行部数から計算すると……4000円(ここから源泉徴収などの税金を引くから受け取るのは3000円あまり。)
 
計算の仕方がおかしいのではないか、一桁間違っているのではないかと、私は疑ったほどだ。これが2年半待って受け取る対価なのか……。取材や資料収集のコストとか、執筆に要した時間を勘案したら、ほとんど対価はなしに等しい。
 
これって、何の搾取なの?やりがいの搾取? 好き……ではないな(;´д`)。権威ある「事典」の一角に執筆できたらハクがつくでしょ!的な搾取?
 
給与もらって研究して、余技で執筆している連中と同列に扱われたらタマラン。  
依頼を受けたときに、受け取れる印税の概算を聞いておかなかった私がバカだったのか。本当に私に依頼したかったら、あらかじめ支払える金額を示して了解を得るべきではないのか。
 
引き受けるにしても、調べ直さず記憶だけで書けばよかった。あるいは昔の原稿を再利用するという手もあったな。
 
ともあれ、もう忘れたいので了承したよ。損金扱いしておこう。でも、ある意味、逃げる。恥ずかしいが、交渉に無駄な労力を使いたくない。この経験は、今後役に立つだろうか。ともあれ搾取された恨みは根深く残るのだよ。
 

2016/12/20

Yahoo!ニュース「大木の尊厳死を考える」書いた裏事情

Yahoo!ニュースに『大木の「尊厳死」を考える 』を書きました。

 
これ、最初はブログネタだったのだけど、「尊厳死」という言葉が浮かんだので、「あ、Yahoo!にしよう」と方向転換(^o^)。逆に、Yahoo!ネタになるかな、と思っていた「樹根の世界」をブログに持ってきたという。。。
 
本当は、大木を目にして神聖なる気分に浸ろう……と思っていたのに、実際に訪れると可哀相な気分になってしまった。それがきっかけと言えばきっかけだなあ。
もちろん、少子高齢化の問題も人間界と一緒だということを意識したが……。 
 
能勢町の人には嫌われるかもしれない。しかし「人はなぜ大木を伐るのか」を書いたばかりで、タイムリーと言えばタイムリーだった。
 
 
なお今回気をつけたのは、タイトルを短くすること。長いタイトルにすると、Yahoo!では2行になってしまう。1行で納めた方がキレイと思ったのだ。
 

2016/12/19

樹根の世界

NHK大河ドラマ「真田丸」、終わってしまいましたね……。

 
ドラマは終わったが、大阪の街では本物の真田丸の調査が行われていることを知っているだろうか。実は、大坂城の出丸だった真田丸は、正確な場所や形状などまだわからないことだらけ。ドラマ「真田丸」の影響か、この1年随分積極的に調査されてきたのである。
 
そこで使われるのが地中レーダー。
 
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さて前降りはこれぐらいで、地中レーダー。これを使うと、地面の下の樹木の根の在り処や形状なども読み取れるそうだ。そんな研究の「樹木の根を掘らずに視る」公開講演会が先日神戸で開かれた。
 
講演を聞いたところ、地中レーダーによる樹木根探査は、まだ道半ばであると感じたが、樹木の根に眼を向けると、面白い世界が広がっていることは非常に感じ取れた。
 
4  Photo
 
まず、当たり前のこととして、樹木の根の深さはどれくらいか。
実は大半が1メートル程度で、深くても3メートルまでのようである。なぜなら土壌がそれくらいの厚みしかないからだ。
ところが樹木の高さは、高木なら10メートルは普通で、30メートル以上の例も少なくない。言い換えると、地表高く伸びている樹木も、根は地面のすぐ下に広がっているわけだ。
 
よくスギは浅根性だからよく倒れるとか、広葉樹は深根性が多くて風害に遇いにくいとかいう人がいるが、どうも怪しい。そもそもスギはわりと真下に根を伸ばす。まあ植林する際に切ってしまうケースもあるが。
いずれにしろ、樹木全体からすると根の深みはいずれの樹種でもたいしたことなくて、倒れる可能性は根の深さではなくて、広がりに左右されるのではないか。いかに広く根を伸ばしているか。これが鍵だ。(深い根があれば、それなりに有利だろうが……。)
 
となると、隣の木との距離が重要となる。間伐していない林の場合、密生状態だから根の広がりは小さくなる、だから倒れやすい……。
もっとも一本の木ではそうでも、密生しているわけだから森林全体としては根が密に広がっていることになり、土壌安定効果が高まると見ることもできる。
 
 
それに根が特異的に無機成分を集積することも知られている。ある種の植物は亜鉛やカドミウムなど金属を選択して集めるというし、樹が土壌のph値を変えるとも聞いた。植物が能動的に土壌の性質に関与しているわけだ。
 
 
人が意識する樹木は、地表、とくに人の目の高さの幹と枝だろう。ちょっと上を向いても樹冠が目に入るのは高さ3メートルくらいまでがほとんどではないか。しかし、植物的に大切なのは、そんな目の高さの部分よりも繁殖部分であり、物質交換をしている部位ではないか。
 
近年は光合成をして、花を咲かせて実が成る樹冠の研究が盛んだったが、次は樹根かな。根は水や養分を吸い上げるだけでなく、さまざまな物質の排出もする。菌根菌との共生や寄生など地中生態系もあれば、腐食することで炭素の蓄積にも関わるわけだし。
 
3_4  地表に広がる根と
 
1_3  地中でも広がれない根。

2016/12/18

なぜ人は大木を伐るのか

昨日、奈良で「ナラ枯れと里山林のダイナミズム」というシンポジウムが開かれた。

 
奈良枯れ、じゃなくナラ枯れに関する、森林史や生態学から樹木生理学、病理学、リモートセンシング、そして二酸化炭素排出に至る広範囲の分野から捉えた深い内容であった。
 
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非常に勉強になったのだが、シンポジウムで出された意見を一言でまとめると「ナラの大木は、みんな伐れ」だろうか。……こんなまとめ方をすると、きっと関係者は怒り心頭かもしれない(⌒ー⌒)。 
会場には、とまどう声も出ていたが、私自身は非常に我が意を得たり、である。
 
ただ私は、ナラ枯れを特段取り上げてそれを防ぐために、と考えているわけではない。実は、このところ私が沈思黙考・千思万考しているのは、「人は、大木を見ると伐りたくなるのではないか」という仮説である。(全然沈思していない。)
このように言えば、また反発が出るかもしれない。「大木ほど神々しく守りたくなる」と。
 
それもまた真なり、である。が、一方で伐りたくなる心理や理由も登場するのではないか、ということを感じているのだ。もっと言えば、木を見て、神聖な気持ちになるのと、禍々しく感じるその境界線について考えている。
 
 
実は、日本に限っても、大木を伐採する逸話はいつの時代にも登場する。
古くは古事記や日本書紀、そして風土記にも高さが1000メートルにもなり、直径が100メートルを越える巨樹があって、朝夕の木陰は隣の国まで届く話が登場するが、みんな伐採されてしまう。
 
巨樹は聖なるもののシンボルであるとともに、不都合で禍々しいものの象徴なのだ。同時に、伐採して得られる利得についても人々は考えを巡らせるのだろう。得られるのは木材であり、日照であり、破壊欲かもしれない。
 
そして、今も大木は狙われる。いろいろ理由をつけて伐られている。
 
 
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こちらは、大阪府能勢にある「野間の大ケヤキ」と呼ばれる大木。
 
これ、天然記念物にもなって、保護されている。正直、弱りかけているのだが、必死に活かそうとしているのである。
 
 
なぜ、守らなくてはいけないのか。ここでは枯れない(伐らない)ことが、利得につながるからだろうか。観光名所、地域の誇り、緑の癒し……。
 
しかし、遅かれ早かれ寿命は来るのだ。木を伐る論理を鍛えておいてもよいかもしれない。とくに林業関係者は。
 
私も、タナカ山林のナラ枯れ木を伐る論理と利得について練っておくよ。。。
 
 

2016/12/17

山岳ブームの“遺跡”

生駒山山上付近で見かけた“遺物”。

 
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登山コースのところどころに、セメント製のベンチ・イスとともに、「スイガラ入れ」があるのである。登山の最中に、ここで一服してください、ということなのだろう。
 
しかし、これ、今ならアウトでしょ。山火事の元であるとともに、喫煙推進になってしまう。当然、吸殻というゴミを、山に残すことにある。これを設置した当時は、行政が吸殻掃除をしていたのだろうか。
 
まあ、ベンチの方も、これでいいのかわからないが……。
 
現在、ここで喫煙する人がどの程度いるのかわからない(少なくても、写真の吸殻入れには、落葉しか入っていなかった)。しかし、マズくないか。
 
まあ、簡単に撤去できないから今も残っているのだろうが、一時代の遺物というか時代を現す廃墟や廃物、もう少し経てば山岳ブーム遺跡になるかもしれない。

2016/12/16

プーチン・カレンダー

ロシアのプーチン大統領が来日記念第二弾。

 
実は、来日直前に娘が露払い……と書くと誤解を招く、ロシアを払うのではなくてロシアと友好を深めるために、ロシアを訪れていた。ええ、本当ですとも。。。。。日露友好、大事です、はい(笑)。
 
 
で、お土産が何がいい?と聞かれたので、来年のプーチン・カレンダーを要求した。人気だと聞いたから。
今や、ロシアではプーチン大統領の支持率が8割を越し、アイドル&カリスマなのである。
 
 
そして受け取ったカレンダー。
 
1  これが表紙。写真は9月版でもある。
 
12枚のプーチンの雄姿(^o^)が描かれている。チョイ悪オヤジ風から、ホッケーに興じたり犬と戯れたり、柔道姿に、アウトドア風景も、空軍パイロット姿も。
 
2  こんなのも(@_@)。
 
3  一覧。
 
いやはや、これがロシアで売れているのだ。そして来年1年間、我が家の壁にも飾られることになる……。
 
ちなみに娘によると、そんなにプーチン人気が高いように見えなかったそうである。ある種、トランプ次期アメリカ大統領と同じく、エスタブリュッシュメントからは独裁的で好かれないのかもしれないが、庶民の人気は高いのだろう。
 
 
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せっかくだから、ロシア(サンクトペテルブルク)の森の写真も……。と言っても、これは大学構内だそう。広い!
 
気温はすでにマイナスだったそうだが、ロシアでは序の口なのである。。。
 
 

2016/12/15

北方領土の知られざる探検家

ロシアのプーチン大統領が来日した。なんのかんのと言われても、注目されるテーマは北方領土問題だろう。

 
来日記念として、ちょっと北方領土に関したウンチク。
 
 
北方領土(歯舞、色丹、国後、択捉の4島)の領有権が問題になっているわけだが、その根拠としているのは、「歴史的に日本の領土だった経緯」。それはなぜだろう。
 
もちろん、これらの島々に最初に住んでいたのはアイヌ人、そのほかのオホーツク系民族であることは間違いないし、縄文遺跡も発見されているのだが、その点は脇に置くとして、最初に日本人(和人)が訪れたのはいつか。それが早いのか。。。
 
まず日本人より先に国後島を訪れたのが、オランダ人であることは、意外と知られていない。千島列島を探検して(東インド会社として)領有宣言をしている。またロシア人も頻繁に訪れて、住み着いていた時期もある。つまり、この点で日本が先有を主張するのは無理がある。
 
結局、日本が「ここはうちのモンだ」と主張するのは、1798年に幕府派遣の探検隊が、択捉島の南端の丘に「大日本恵登呂府」の標柱を立てたことにある。
 
この際の責任者は、近藤重蔵と最上徳内。どちらも有名な蝦夷地探検家だ。ただ、この標柱の文字を書いて建立したのは、木村謙次だ。この人物、ほとんど無名の探検家なので、ちょっとだけ紹介したい。
 
 
木村謙次は、水戸藩(1752年生まれ)の農家?出身のよう。少なくても武士ではなかった。ただし裕福だったようで、学問が好きで儒学や医学を京都まで行って学んでいる。その後、農村救済を訴えたり、植林して木材や木炭の生産を奨励したり……と産業振興を取り組んだ。
 
ところが40歳になって、突如ロシアの南進に気づき、蝦夷地探検に目覚めるのだ。
 
そしてラスクマン事件があったことから、水戸藩から蝦夷地探偵を命じられる。探検ではなく探偵であることがミソだ。ロシアの情勢を探るのが目的で、松前藩で多くの人から聞き込みをして実情をうかがったのである。地理的探検をしたわけではない。
 
その報告書が優れていたのだろう、1798年に幕府が蝦夷に探検隊を派遣する際に、水戸藩
推薦で木村も参加することになった。(なぜか、名前を下野源助に変えている。)
この隊には、近藤重蔵、最上徳内らそうそうたるメンバーが参加していて、木村もそれに列したことになる。
 
そして3隻の小舟を漕いで、択捉島まで渡るのだが……無茶ですな(~_~;)。あの海域、潮流が速くて荒れるので有名。それでも、なんとか成功したのだからスゴイ。
 
おかげで先の標柱を立てられたわけだ。それなのに、近藤、最上と比して、名前が現在に知られていないのは残念である。
 
ちなみに水戸藩は、蝦夷・樺太・千島など北方にかなり関心が強い。なんたって水戸光圀が蝦夷探検隊を送り込んでいるほどだ。
 
 
ま、探検家ジャーナリスト(謎)としては、北方領土問題に注目が集まる今、ちょっと彼のことを紹介したくなったわけである。
 
 
ところで拙HPには、「知られざる探検家列伝 」があり、ここにロシアや蝦夷・千島絡みの探検家を幾人か紹介している。
これ、10年以上前につくったまま放置しているので、そろそろ復活させないといけないなあ。今回の木村も登場させていないし。 このブログを転載するか(~_~;)。
 

2016/12/14

南極の日に南極娘を紹介

12月14日は、赤穂浪士の討ち入りだけでなく、南極の日なんだそうである。

 
1911年の今日、ノルウェーの探検家アムンセンと4人の隊員が、人類史上初めて、南極点に到達した日だからだそうで。
 
寒いところは苦手で、極地や雪山にはとんと興味のない私だが、南極と聞くと、やはり心にざわつくものがある。そこで特別企画、「南極娘を紹介!」(笑)。
 
 
実は、奈良県に南極越冬隊に2回も参加した女性がいるのだ。彼女と昨年出会って、ホレてしまった(^o^)。そんで、無理やり記事にしてしまった。
 
取材からほぼ1年経つので、その記事を再録。南極から震災、そして農業へと目覚める過程が面白い。
 
京大で物理学を専攻したものの、途中で落伍したのだが、スキー部で活躍した経験から南極へ。その研究で博士号まで取ったが、その後一般企業に就職……のはずが、まさかの二度目の南極。そして震災では毎週宮城に通い続け……と劇的な歩みがある。
 
なかでも、お米があっても、電気炊飯器が使えないと、ご飯を炊けずに食べられない人の話は考えさせられる。「生きるための力が弱い人が増えている」のだ。
 
そういや、彼女の講演会を開く企画があったのに、未だ実現していない。また訪ねてみようかな。
 
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2016/12/13

廃道を行く……

このところ運動不足。しかも、今書きかけた原稿で悩んでいる。

 
こんなときは、野外書斎に出るに限る。
 
というわけで、久しぶりに森歩きに家を出た。しかし、近在の山では面白くない。ちょっと知りすぎた。そこで尾根を越えた大阪側、くさか園地(大阪府立公園)に出かけた。ここは道が整備されているから歩きやすい。
 
もっとも、この園地も道が縦横に走っている。どれを選ぶか……結局選んだのが生駒山縦走路。ここなら少し山道で森の中ぽい。平日だから人気がないだろう。でも縦走路はしっかりしているから迷うこともなく歩きやすく、考え事してても問題ない。静かに歩きつつ自然とふれあい、思索にふけるにもってこいではないか?
 
3 こんな具合。
 
 
ところが……意外やハイカーが多いのである。次々とすれちがう。みんな強固な山姿。キッチリとアウトドア用ジャケットにザック、登山靴。杖まで持っている。私のように手ぶらで通常のスラックスに革靴……なんて人はいないのである。
 
あげくに、道を聞かれた。「生駒駅に出るにはこちらでいいですか?」
「え、反対方向ですが……ここからならああ行って、こうしたら、バスもあるし、街に降りられるから……」って案内してしまう(- -;)。
 
そしてプロミナーなどの超望遠レンズをつけたカメラを構えた人の集団にも出会う。なんか鳥類撮影会をしているのだろうか。
 
 
う~ん、思索にふけられない……。
 
というわけで、横道に逸れました(^o^)。
 
一応、道。でも、あんまり人が通っていないような道。落葉がうずたかく積り、歩いた気配がない。でも、急。落葉で滑る。
途中、なんか廃墟のような建造物もいくつかある。石積みがあったり、セメントのベンチがあったり、なんか遊戯設備ぽいのもある。かつてレジー的?につくられた設備なんだろうが、老朽化して、しかも人が訪れることも滅多になくなると、放置もしくは撤去後に残ったものなのだろう。
 
その後、また幹道にもどったり、また別の脇道に逸れたりを繰り返す。
 
 
より人気のないところを選んで行くうちに、方向がヤバくなってきた。このまま進むと大阪側に降りてしまう。それは困る。生駒市側にもどらねば。尾根近くの公園の駐車場に車を置いているし。
 
そこで、強引に方向を転換した。
 
廃道に入ったのである。私の行きたい方向に伸びている、かろうじて道の気配のあるところに分け入った。ここをまっすぐ進めば、きっと元の公園内幹道にもどれるはずだ。
しかし、草ぼうぼうのブッシュ。それでも、過去は道だった痕跡を読み取って進むのだ。
 
Photo  こんな道。まだ痕跡がある方かな。
 
神経が張りつめてピリピリした。同じ生駒山でも、奈良側と違って大阪側はそんなに地形に精通していない。方向的には間違っていないつもりだが、間に何があるか……。どんな谷やら尾根があるか。池や湿地があるか。遭難なんぞはしてはイカン。
のんびり思索するどころか、自らの感覚を総動員して、地形と脳内地図を重ね合わせ、廃道ルートを間違わないように進む。
 
 
かなり進んだ。傾斜は緩やかになってきた。歩いた距離からすると、もうそろそろ幹道に合流しなければいけないのだが……。間違っていたらもどるにはタイムリミットだぞ。
 
左手は急傾斜になっている。右手に人工林が現れた。昔は棚田だったかのような地形で、水がわいて湿地にスギが生えた状態。逸れずに進むしかあるまい。
 
ふと、左手のブッシュの奥に切株が見えた。切株があるということは、そこに人が入ったわけだが……なぜその木を伐ったのか。太さからするとコナラの大径木。ナラ枯れか?
ナラ枯れした木を伐るということは、道沿いではないのか?
 
ここまで想像して気づいた。よ~く左の奥を覗き見る。
 
……そこに幹道があった。
 
なんのことはない、私の進む廃道は、幹道と10メートル程度の間隔をあけて平行して伸びていたのだ。つまり、私は幹道と合流しようと幹道に平行して何十メートル?100メートルぐらいを藪漕ぎをしながら進んでいたのか。。。
 
やがて、ちゃんと幹道に出た。そこには、超望遠レンズを森に向けて並んでいる集団がいた。
ガサガサと森から私が出て行くと、冷たい視線を感じた。。。
 
いやあ、生駒山って、奥が深いですね!(~_~;)。
 

2016/12/12

ナラ枯れ木の撤去要請

生駒市から、次のような文書が届いた。

 
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ようは、タナカ山林のナラ枯れした木を撤去しろ、ということだ。
 
そんなことは私がもっともわかっているのだが、私の力で切れる木はもう伐ってしまっていて、残っているのは大木であることと、道沿いで電線・電話線に絡んでいて手を出せないものであることだ。直径30センチ超級のコナラやアベマキだからね。
 
補助金もある、と記されている。
 
そこで市に電話してみた。たしかに申請して認められたら、そこそこの金額は出るようだ。ただし、条件が厳しい。それは、伐った後に一週間の燻蒸をしなくてはならんことだ。これは手間だし、専門業者がいる。
 
まあ、カシノナガキクイムシが入っているのなら必要であることはわかるのだが、今問題になっているのは、枯れたのが2年から3年前。おそらくカシナガはもう抜けているのだろう。
 
そんなの燻蒸したって無駄じゃねえの? と思うが、それを役所に言っても通じんわな。
 
 
補助金使わず、道沿いの枯れ木を道とは反対側に倒れるように伐るのがもっとも無難だと思う。それを玉伐りしておくと、みんな薪ストーブユーザーがもらいに来るので、燃やしてくれたからカシナガも全滅でもってこいと思うのだが。。。
それも私の能力では難しい。方向制御なんてまったく自信がない。下手に倒して電線を切ったら賠償請求が来るよ(>_<)。
 
結局、放置して自然倒木に任せた方が、無難ということになる。まあ、道側に倒れてきたら危険だし、電線を切っても困るのだが……。
 
 
せめてチルホールを持っている人が助けてくれたらありがたいのだが……。誰か、奇特な人、いない? スリランカカレー、おごるよ(^o^)。
 
 
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これは今年の夏に撮影したものだが、真ん中のナラ枯れしたコナラに蔓植物が巻きついている。

2016/12/11

ジビエ商品の表示も大切だが…。

農林水産省が、ジビエの商品表示方法を検討しているそうだ。2017年度以降に運用するために整備をするという。
 
野生動物の肉であるジビエ。獣害対策のため駆除した獲物を商品化することで、捕獲を促進するとともに地域おこしにもつなげる……と、ジビエ普及を切り札として扱おうという魂胆だ。しかし、その前に食品として認めてもらわねばならない。それには、商品情報を開示することが重要だと考えているわけだ。
 
詳細な商品表紙がないと、卸売業者らが安心して肉を仕入れてくれないからである。
 
なぜならジビエは、個体や捕獲後の処理により肉質や味の差が大きく出る。家畜(家禽)の食肉よりも詳細な情報を示さないと料理人向きに扱いづらい。消費する人に向けても、「得たいのしれない肉」ではないことを知らしめないと、需要は延びないだろう。
 
 
現在、家畜用の食肉表示は、原産地や種類・部位名、重量や賞味期限などが記載されるようにしているはずだ。
ジビエでは、それに加えて
 
①獣種
②捕獲日時
③市町村名までを含む捕獲地域
④銃やくくりわななど捕獲方法
⑤性別
⑥推定年齢
⑦体重(処理施設に持ち込まれた時の重量)
⑧金属探知機検査の有無
 
……などを商品ラベルに印字することを考えているらしい。直接書き込むのではなく、QRコードに盛り込むことも検討するそうだ。
 
さらに解体処理する際の統一ルールも必要だろう。
 
 
しかし。。。。私は疑問を持っている。本当にジビエは獣害駆除の切り札になるのか、という根本的な問題もあるのだが、何より野生肉の安定供給が可能だろうか、という点だ。
今は、ある意味捕獲しやすいかもしれない。シカやイノシシは生息数が爆発的に増えていることに間違いないし、人里に堂々と出没するわけだから。狩猟や罠にかけやすい。
 
しかし、そのうち人間を警戒して罠にかからなくなる固体も出てくるだろう。ハンターもその度に戦術を変えなくてはならないが、どの程度対応できるか。
 
そもそもハンターの数が足りない。近年は若者が参入する例も増えているが、本格的にジビエの量を確保しようと思ったら、専業で取り組む人も必要となるだろう。しかし、日本の山は人家が入り組んでいるから、どこでも発砲できるわけではないし、罠も仕掛けるには十分に告知などが必要で、そのうえ見回りなどの手間がかかる。
 
 
どんどん捕獲が面倒になっていくと、そのうちジビエも養殖した方が楽じゃねえ? と気づく人が出るような気がする(笑)。
 
これまでもイノシシ牧場はあったし、シカ牧場さえつくった人がいる。そこではニホンジカは飼うノウハウが十分にないうえ、肉の量が少ないからヨーロッパからアカシカを導入した(こちらはデカい)。
挙げ句の果てに牧場から逃げ出すイノシシやアカシカが出た。さらに経営失敗から山に放す輩も出て……。それでは外来種が繁殖したり、在来シカと交配して遺伝子汚染を引き起こす、と騒がれもした。
 
 
そうはならないようにルールを厳しく……あ、厳しくしたら余計にジビエは安定供給できずに普及も難しくなるなあ。。。

2016/12/10

Yahoo!ニュース「東京オリンピックが熱帯林を…」書いた裏側

Yahoo!ニュースに「東京オリンピックが熱帯林を破壊する! 」 を執筆しました。

 
この情報がもたらされたのは、6日金曜日の夜。
 
さて、どうするかと考えた。Yahoo!ニュースには、すでに新国立競技場を始めとしたオリンピック施設の問題を幾度か書いているし、雑誌にも記したところがある。
 
そこで、某サイト関係者に打診してみた。
 
が、なんと担当者は先週で異動していた。後任に引き継いだというが、全然レスポンスがない。
 
内容的には速報性が求められる。IOC副会長に書簡を手渡し(それが6日だ)してコメントも取れているのだから、やはりすぐに載せないとニュースバリューが落ちてしまう……。それに、ほかのマスコミ媒体が先に扱ったら悔しいし。。。(多分、国際NGOの行動については、大手マスコミにだって持ち込まれているだろうが、その意味を理解している記者がいるのかどうかが問題だ。)
 
 
ならばと、自分の責任で対応できるYahoo!ニュースにしたわけだ。ブログでもよかったのだが、広く一般人に読まれてほしいから。
 
内容は、前回と重ならないように木材調達の抜け道と熱帯雨林問題に絞った。サラワクは私にとっても縁の深い土地であり、熱帯木材とコンクリートパネル(型枠)は昔懐かしいテーマであった。
 
本当は、国内林業や木材産業に関することだって触れたかったが、またの機会にしよう。
 
 
 

2016/12/09

2017年は持続的観光ジャーナリスト!

土壌ジャーナリストを名乗ったのは、2015年。この年は、国連の国際土壌年だったからだが、気がついたら2年経っていた。 2010年は生物多様性年、2011年は森林年……となかなか本ブログに適した国際年が続いたので、その流れである。

 
ちなみに今年2016年は、国際豆年。さすがに豆ジャーナリストは名乗らなかった(笑)。 そんな今年も、ついに師走入りである。
 
さて2017年は、何の国際年か知っているだろうか。
 
そこで、2017年は……。調べてみると  
 
開発のための持続可能な観光の国際年、であった。
 
「開発のための持続可能な」とは持って回った言い方だが、目的は3つだそうだ。
貧困の根絶、環境の保護、女性と若者の生活の質の改善および経済的エンパワーメントに向けた実用的な手段としての持続可能な観光の重要な役割、そして特に開発途上国における持続可能な開発
を掲げている。
 
よくわからないが(^^;)、経済と環境、そして生活の質の3つの分野で持続可能を謳っている、と私は理解した。あえて「開発のため」と付けるところに無理を感じるのだが。
 
 
世の中、自然保護と観光利用は紙一重……というか、紙の裏表である。もともと景観保全からスタートしたはずの国立公園の設定が、気がついたら観光客誘致になってしまったし、今では世界遺産も二の舞。遺産にするほど残したいものなのに、観光客が増えることを願って遺産指定に血道をあげる。
 
その点からすると、近年の日本の観光政策はまったく外している。持続的どころか、不安定な「爆買い」に期待したり、観光客を増やすために保護策を緩和する話だって出ている。
生活の質を上げるどころか、薄っぺらい表層の日本文化の売り物……。
 
 
せっかくだから、来年は持続的観光ジャーナリストになります( ̄^ ̄)。
 
ま、何をやるのかさっぱりわからんが。。。。

2016/12/08

樹木が土壌を変える

樹木が土壌を変える
京都府立植物園にて。

写真の林床に注目して欲しい。
左手のモミの木の下はほとんど草が生えていない。右手のタイワンスギの下は結構生えている。

私はモミにはアレロパシー(阻害作用)があるのかと思ったが、同行した植物学者は違うという。
モミには土壌を強酸性にする力があるというのだ。樹幹流、つまり雨が葉から幹を伝わる過程で、水を酸性にするのだ。それが土壌成分をも変えて、微生物組成さえも自らの都合に合うものに変える。いわば人が腸内細菌の環境を作り上げるように。

そして驚くのは、樹木は樹皮を通して、水やミネラル成分を直接取り入れてでいるという。根から水やミネラルを吸い上げるだけでない、外循環機能があるというのだ。

植物学のパラダイムをひっくり返しかねない主張である。が、彼の10年以上の研究成果なのだ。


さて、それが正しいのか、近く発表される論文と、それに対する反応を待とう。
しかし、植物を受動的な存在とせず、環境に能動的な役割を果たしてきたとする発想は、近年の欧米の生態学の主張に近いと感じる。

もしかして、大変な現場に立ち会ったのかもしれないという、静かな興奮。


2016年、土壌ジャーナリストとして、最後のスクープである。

2016/12/07

熟成木材って何?

JVCケンウッドが、独自のウッドコーンを搭載したスピーカーシステム2機種を発表した……というニュースに接した。
 
 
正直、音楽にも、オーディオ機器にも縁がないというか、知識も興味もないのだが、ちょっと引っかかった言葉がある。「熟成処理」である。
 
新たに盛り込まれたのは、木材を人工的に熟成処理するというもの。
「長年愛用された楽器や使い込まれた木製スピーカーが音質的に優れた特性を持つことは広く知られている。これは時間とともに木の構成成分が部分的に変質し、異方性が高まることに起因していると考えられている」
 
そこで、人工熟成処理」を施した。というのだ。すると経年木材に近い音場空間の拡大や解像度の向上、低音の重厚さの改善、臨場感の向上といった効果が期待できる、らしい。
「数種類ある響棒の中で前方に広い音楽空間を再現するのに一番効果の高いウーファーユニット下のチェリー響棒に処理を施した」 ともある。
 
音響関係の言葉はさっぱりわからん(^^;)が、ちょっと興味を持った。牛肉でも熟成肉というのが人気を呼んでいるし……。
 
 
木材は単に生か、乾燥させるか、だけではないようだ。経過変化という別の変化があるのだ。
そして人工的に経年変化を引き起こすことが可能という点に。単にエイジング処理、つまり見た目を古くするのではなく、木材の質そのものを変えるらしい。
 
調べてみると、どうやらヤマハが開発した「A.R.E.」(Acoustic Resonance Enhancementの略)という技術らしい。短期間で木材を熟成させ、長年使い込まれた楽器のような鳴りを生み出す木材改質技術なのだそうだ。
 
言われてみればバイオリンなどは、製造後200年、300年を経たものが名器と称されるが、なぜ古いバイオリンの木材はいい音が出るのか。
 
木材は古くなると、セルロースが結晶化して木目の方向に硬くなっていく。ヘミセルロースは減少し、木の厚みの方向にずれ易くなる。つまり木目方向に硬く、厚み方向に柔らかくなるという変化がある。
 
これが弾いた瞬間のレスポンスが良く、低域が伸び、高域が速く減衰するという。
ちなみに感覚的な“いい音”とは、バイオリン奏者によると「落ち着いた」「音が太い」「熟成された」「暖かい」「粒立ちが良い」といったもの。ますますわからん……(涙)。
 
 
結果的に、若い木材を金属製圧力容器の中で温度や湿度を管理しつつ圧力を段階的に変化させると、古い木材と同じ状態になったそうである。とくに薬品を使うようなことはしない。
 
今では、この処理を施した木をバイオリンをはじめ、アコースティックギター、エレクトリックベースなどの木製楽器、またステージの床材にも採用されているそうだ。
 
 
しかし、気づいたのだ。音のよい木材という方向性に。
 
これまで木材に薬品を注入して不燃化させたり耐朽性をつけたり、圧縮して強度を増したり……といろいろな機能化木材が登場しているが、それは木材の特徴を消して木でなくなるようにした加工だ。
それではなく、木材の特徴を活かした方向性を考えてみないか。
 
柔らかくて曲げやすい木材とか、触感の素晴らしい木材とか、調湿性の高い木材とか。木の香りを高める、断熱性能を高める……いっそ、すぐに腐ってなくなる木材、瞬時に燃えてしまう木材なんてのも。
木材の欠点を押さえつけて消すのではなく、長所をもっと強調するような改質木材を考えるのだ。  
 
単に燃えない木材をつくったら、「だったら鉄骨かコンクリートにしたらいい」となるが、木材ならではの特徴をより強調すれば、より木材ファンが増えるかもしれない。
 

2016/12/06

Yahoo!ニュース「環境問題は行列への割り込み」を書いた裏側

Yahoo!ニュースに「環境問題は“行列への割り込み”と一緒」を執筆しました。

 
ここに、嘘を書いたことを告白しますm(_ _)m。。。
 
小池百合子都知事が「満員電車ゼロ」を公約にしたことが話題になっている。たしかに電車に乗り込むための行列は今も絶えることがない。
そんな話から連想したのが、次の命題。
 
 
嘘をつきました。この記事の内容は、小池都知事の発言から連想したのではありません。
 
最初は「列車に乗り込む列への割り込み」は、誰に損害を与えるか、という命題について考えていたのです。
そして書き記したものの、アップする前にYahoo!ニュースならちょっと時事的な要素も必要かな、行列に割り込みで最近話題になったこと……行列と言えば満員電車、満員電車といえば小池氏の公約。おお、これなら時事的だ! そう連想して最後に書き加えたのでした。
おかげで今風の記事になったではないか。
 
 
Yahoo!ニュースの記事を読んで、このブログに飛んでくる人がどれほどいるかわからないけど、ごめんなさい(⌒ー⌒)。笑うな。。。
 
 
ま、これは環境倫理を考える際の例題である。私の執筆に倫理観はないのか、とか突っ込まないでください。

2016/12/05

草原は森に還るか

我が家の近くにある溜池の堤斜面。

 
これは2年前に撮影。
 
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定期的に斜面の草木を全部刈り取る。堤を守るためだろう。
 
先日そこを訪れた。
 
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ううう。何も見えない。分厚くササと灌木が繁っている。背の高いものは3メートルを超えるか。つまり2年間の遷移の結果だ。
 
やはり伐採した後にも切株や根が残されているので、萌芽更新しやすい。埋土種子もあるだろうし、周辺の雑木林(落葉樹やスギなど主体)から種子も飛んでくるだろう。
 
場所的には、水分もあるし、日当たりもよくなった。つまり植物の生長にとっては好条件だ。
 
 
この調子だと、早く森に移行するように思えるのだが……。
しかし、そんなに甘くないだろう。そもそもササが繁った時点で、ほかの植物はあまり生えにくくなる。パイオニア植物は生えたが、それは長生きせずに枯れるように思う。その後の移行が難しいのではないか。
もちろん徐々に高木が増えて行くと思うが、その前にまた刈り取られるだろうし。
 
 
 
話は変わるが、近頃私の考えているのは、「日本の森づくりは、植林(苗木の植え付け)と禁伐のどちらで行われてきたのか。そしてどちらが効果的なのか」という点。
当然、植林と思いがちだが、それは林業で一斉林づくりといを目標があるからで、多様性のある森づくりの場合、どちらが向いているのか、よく分からない。
 
もちろん一斉林でも、間伐を続けることで林間に雑木を生やし、やがて混交林にすることは可能だろう。禁伐といいつつ、先に生える種の選択をして森づくりのスピードアップをすることも可能だろう。
 
 
ともあれ、これからも観察し続けよう。

2016/12/04

全国地紅茶サミットで飲み比べ

奈良で第15回全国地紅茶サミットが開かれている。

 
今日と明日の2日間で飲み比べやらシンポジウムやらと盛り沢山なのだが……私も、行かねばなりませぬ(笑)。
 
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だって、こんな記事書いたから。
 
 
 
39もの産地生産者が出展しているのだから、私も片端から飲み比べ。まず1500円払ってカップとお菓子をもらい、各ブースを訪ねて注いでもらう。
 
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それぞれの味を飲み比べするわけだ。
 
これが思っていたより大変。だって、小さなカップとはいえ、次々に飲んでいたら結構な量になる。それだけならまだしも、それなりに紅茶には渋みがあるから、だんだん舌がしびれてきたのだ。これでは味を十分に利ききれない。
 
 
……それでも印象としては、国産紅茶のレベルは随分上がったように思う。今まで縁に触れて各地の地紅茶を手に入れたら飲んでいたか、正直、あんまり感心する味はしなかった(これって紅茶? ハープティ?)のだが、今回は好みはあれど、あ、紅茶だ、と思わせるものが多い。
 
なかには釜入り技法でほうじ茶みたいなのから、木湯檜や屋久杉による焙煎をかけた紅茶まであった。それはそれで面白い。(紅茶というより香茶として飲む。)
 
 
同じ産地からの参加でも、生産者によってガラリと味が違っていたりもする。これが、課題というか、日本の地紅茶の特徴なのだろう。
 
でも……飲みすぎたよ。。。
 
さて、シンポジウムも興味深かった。一言で言えば、皆さん、熱い(笑)。
 
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日本の紅茶は、生産者によって見事に多様である。これを、群雄割拠と捉えるか、試行錯誤と観るか。
 
 
おかげでいろいろ考えたが、それはまた別の機会に。

2016/12/03

『森怪』の在庫事情

Amazonの『森は怪しいワンダーランド』の在庫が、また切れた!

 
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このところ振幅が激しいのだけど、今度は「一時的に」とあるから期待しましょう(^^;)。ちなみに首都圏の書店では売り切れだったので客注かけました、という報告も届いている。売り切れるほどよく売れている、と解釈するとして……。
 
実は昨日は久しぶりに大阪の街に出たのだが、そこで寄ったのが茶屋町のMARUZEN&ジュンク堂書店。関西一の規模を誇る巨大書店だが、そこでチェックすると。
 
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おお。在庫はたっぷりです(^o^)。平積みで8冊くらいあるかしら。刊行直後ならともかく、これだけの冊数を揃えているのはありがたい(売れていない、とは言わないよ)。さすが巨大書店!  しかも上の段にも拙著が1冊ありました。ご確認ください。『樹木葬という選択』は、別の棚に2冊残っていました。
ぜひ、Amazonで買えなかった人は、ジュンク堂書店へ。
 
 
この手の書店に行くと、相当珍しい本もある。絶版になった本の流通在庫だろうか。そんな本を見つけ出すのは嬉しい。
また中小書店では扱っていない雑誌『農業と経済』12月号も見つけた。ここでは「農業は林業に何を学ぶか」というトンデモな特集記事がある(笑)。
ちなみに、この雑誌、私は幾度か寄稿しているのだけど、テーマは田舎における起業だったり地域づくり・農業系の話題で、林業系のテーマで依頼が来たことがない。
 
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こちらは紀伊国屋書店。在庫は3冊くらいたった。回りに並んでいる本で、どんな分類されているか考えてしまう……。 
 
 
そんな書店を回って外に出ると、もう薄暗くなっていた。 
 
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クリスマスツリーも点灯して、師走ムードが広がっている。私も忘年会へ。
 
そして深夜帰る前に寄ったバーは、団体客による喧騒に包まれていて20分で逃げ出したのであった。
 

2016/12/02

バイオマス発電の買取区分が変更

FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の調達価格等算定委員会で、中小水力とバイオマス発電では、区分を新たにつくることになったようだ。
 
ここではバイオマス発電に絞って内容を確認してみた。
 
現行のバイオマス発電は、燃料の種類によって5つの区分がある。
バイオマス発電の5区分のうち3種類が木質(あと2つはバイオガスなど)。林地に残された未利用材、製材端材・農業残渣などの一般木質そして建築廃材などリサイクル木材だ。また未利用木材に対しては、出力2000キロワット未満と以上で買取価格を分けている。
 
これまで多かったのは、未利用材を使った発電だ。その場合、規模では5700キロワット辺りが損益分岐点のようだ。(そこで2000キロワット以下の区分をつくって買取価格を高くしたわけだが。)
ところが認定・導入量を見ると、一般木質の認定量が圧倒的に多くなってきた。認定量で比べると、未利用材は44万キロワットなのに対して、一般木質は322万キロワットにもなる。約8倍だ。ちなみに建築廃材は38万キロワット。
 
とくに目立つのは、一般木質で出力が2万キロワット以上の大規模発電設備の認定量が急速に増えていることだ。おそらく輸入バイオマス(PKS:ヤシ殻等)を当てにした計画だろう。
 
実は出力の規模によって発電効率は、大きく違ってくるのだ。
現在の買取価格は出力5700キロワットの設備を基準に、発電効率を26%と想定していた。しかし調査によると、大規模なバイオマス発電設備では出力が1万kW以上の発電効率が30%を超え、2万キロワット以上では32%に達していた。
 
2万キロワット以上の発電所が32%で発電できると、26%で計算した場合と比べて、年間で2割以上発電量が増える計算だ。一方、買取価格は26%で計算している。当然収益も大きく上がる。儲かるから建設ラッシュなわけなんだろう。 
 
そこで2017年度から、一般木質燃料による発電に対して出力2万キロワット未満と以上で買取価格を分けようという方針が持ち上がったのだ。現在の買取価格は24円(税抜き)だが、20円前後まで引き下げるという。
 
事業者は、びっくりというかタマランだろうなあ(笑)。さすがに赤字になるほどの引き下げではないだろうが、儲けが減ると読めば、計画から撤退する事業者も出るに違いない。
政府にとっては、それが狙いかもしれない。あまりに多すぎる計画(一般木質による発電所は現在121件認定、稼働は26件)だから、減った方がよいと思う。
 
 
ちなみに未利用材による発電所も現在78件認定で、稼働しているのは38件。これも多すぎる。これ以上新規につくっても燃料調達の面から行き詰まるだろう。未利用材というのは、簡単に集められないのだ。
 
また毎年度ごとに決定していた買取価格を、発電事業者が収益性を判断しやすくするため、2017年度から複数年先の買取価格を決める方針とか。これも計画抑制につながるだろうか。
 
 
ヘドロから湧くメタンガスみたいなバイオマス発電計画が、これで少しは目覚めて減ることを期待している。
 
 

2016/12/01

森は壜の中にかぎる

このところ、足を傷めたり天候不順が続いたりで、あまり森に行っていない。服装とか道具とか準備が結構めんどくさくもある。

 
もっと手軽に森を! というわけで、こんな壜の中の森をつくってみた。
 
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ちゃんとクマもいるし(^^;)。
 
 
ちなみに以前も、壜の中に森をつくろうとしたが、自然に任せて植生を遷移させようとしたら、最初に植え付けた苔は姿を消し、草ぼうぼうになったりして、あきらめた。イチから出直しである。
今回は、最初から人工的にきわめてツクリモノぽく仕立てることにした。土壌も人工(ハイドロボール)なら、石は小笠原諸島で採取したメノウ石。植えたのはミニチュアヤシとベンケイソウ(カネノナルキ)、ついでにカトリソウ。どちらかというと南洋風か。今後はサボテンなんぞも植え付けてやろうかと思う。
壜の中は温室みたいなものだから、冬も越しやすいだろう。
 
 
こうした箱庭とかジオラマをつくるのは、一種の心理療法にもなるらしい。うつうつとストレス抱えた悩める諸君も試してみたまえ( ̄^ ̄)。
 
 
これをつくってから、本物の森を見に行くことにした。
 
タナカ山林は、今問題を抱えている。その件については、改めて触れることもあるだろうが、今日はとりあえず巡察。
 
いきなり見つけた。
 
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これはクマの糞……じゃなくて、イノシシの糞だろうなあ。
 
やっぱり、森は壜の中にかぎる?

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森と林業と田舎