樹木が土壌を変える
写真の林床に注目して欲しい。
左手のモミの木の下はほとんど草が生えていない。右手のタイワンスギの下は結構生えている。
私はモミにはアレロパシー(阻害作用)があるのかと思ったが、同行した植物学者は違うという。
モミには土壌を強酸性にする力があるというのだ。樹幹流、つまり雨が葉から幹を伝わる過程で、水を酸性にするのだ。それが土壌成分をも変えて、微生物組成さえも自らの都合に合うものに変える。いわば人が腸内細菌の環境を作り上げるように。
そして驚くのは、樹木は樹皮を通して、水やミネラル成分を直接取り入れてでいるという。根から水やミネラルを吸い上げるだけでない、外循環機能があるというのだ。
植物学のパラダイムをひっくり返しかねない主張である。が、彼の10年以上の研究成果なのだ。
さて、それが正しいのか、近く発表される論文と、それに対する反応を待とう。
しかし、植物を受動的な存在とせず、環境に能動的な役割を果たしてきたとする発想は、近年の欧米の生態学の主張に近いと感じる。
もしかして、大変な現場に立ち会ったのかもしれないという、静かな興奮。
2016年、土壌ジャーナリストとして、最後のスクープである。
« 熟成木材って何? | トップページ | 2017年は持続的観光ジャーナリスト! »
「森林学・モノローグ」カテゴリの記事
- 阪神大震災、改めて思い出す(2025.01.17)
- 雪化粧。そして、うぴ子(2025.01.12)
- ジビエ嫌いのジビエ・ビジネス(2025.01.11)
- 森の奥で根っこを張る(2025.01.05)
- 不入の森、不入の神社、最凶スポット(2024.12.25)
論文が出たら教えてくださいねー
投稿: か | 2016/12/09 03:06