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森と林業の本

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2016/12/08

樹木が土壌を変える

樹木が土壌を変える
京都府立植物園にて。

写真の林床に注目して欲しい。
左手のモミの木の下はほとんど草が生えていない。右手のタイワンスギの下は結構生えている。

私はモミにはアレロパシー(阻害作用)があるのかと思ったが、同行した植物学者は違うという。
モミには土壌を強酸性にする力があるというのだ。樹幹流、つまり雨が葉から幹を伝わる過程で、水を酸性にするのだ。それが土壌成分をも変えて、微生物組成さえも自らの都合に合うものに変える。いわば人が腸内細菌の環境を作り上げるように。

そして驚くのは、樹木は樹皮を通して、水やミネラル成分を直接取り入れてでいるという。根から水やミネラルを吸い上げるだけでない、外循環機能があるというのだ。

植物学のパラダイムをひっくり返しかねない主張である。が、彼の10年以上の研究成果なのだ。

さて、それが正しいのか、近く発表される論文と、それに対する反応を待とう。
しかし、植物を受動的な存在とせず、環境に能動的な役割を果たしてきたとする発想は、近年の欧米の生態学の主張に近いと感じる。

もしかして、大変な現場に立ち会ったのかもしれないという、静かな興奮。

2016年、土壌ジャーナリストとして、最後のスクープである。

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論文が出たら教えてくださいねー

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