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2016/12/24

大和名所図会の吉野林業

ふらりと入ったブックオフで、掘り出し物の本を見つけた。

 
奈良名所むかし案内」(著・本渡章 創元社)である。サブに「絵とき「大和名所図会」とあるように、江戸時代に発行された「大和名所図会」を解題した本である。
 
奈良は、江戸時代初期から観光地だった。そこでいろいろな観光ガイドブックが発行されている。そのトリというか決定版として1791年に登場したのが、「大和名所図会」なのである。
 
この本は、多くのイラストと多数の詩歌や古典を引用しつつ大和(奈良)の名所を紹介しているもので、現地取材もして描かれたものだから、図柄もかなり正確と見てよいだろう。 
 
それを今風に解説している本なのだが、改めて読むと味深い点が多々ある。生駒山周辺も登場する。
 
が、より面白いのは、この中には吉野林業も紹介されていることである。吉野のサクラだけでなく、筏流しの様子なども描かれているのだ。林業も観光対象であったか。
 
絵が大きすぎるので、一部を切り取るが、
 
2
 
場所は、吉野川の中流域、現在の五條市近隣(その部分は音無川と呼んだようだ)だが、下っていく筏を眺める風景を描いている。これで、当時の筏の構造もだいたい読み取れる。何本の丸太をどのように結んだかということもわかる。丸太は中径木で、あまり大径木は使わなかったようである。
 
3
 
筏の上に、樽丸のような木片の束が積まれている。当時、この筏を上に乗せる貨物が利益を上げたそうだが、それを伝える貴重な文献だ。五條には代官所があり、そこで検査を受けて口金(税金)も取られるのだが、筏上のものは無税だとこともあるようだ。
 
さらに、こんな街の風景も。
 
Photo
 
これ、頭に帽子のようなものを敷いた上に丸太を乗せて運んでいるのだが、いずれも女性である。かなりの怪力だ(笑)。
おそらく、材を加工場に運んでいるのだろう。吉野の下流(下市等)は職人の街だから、筏で流されてきた木材の一部は、ここで買い取られて職人が碗や杓子、経木、曲げ物などに加工する。その途上の風景ではないか。そんな運搬は女性の仕事だったことが読み取れる。
 
ちなみに明治の吉野林業全書では、運搬に関わる人はほぼ全員が男として描かれていることを考えると、いつから変化したのか面白い。
 
残念ながら伐採などの山地の様子は、さすがに観光客の立ち入るところではなかったのだろう、登場しない。それでも過去の林業を推測する一助になるだろう。
 
歴史大河ドラマに伐採シーンが登場する時は、注目して見てね(⌒ー⌒)。

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