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森と林業の本

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2016/12/28

山岳科学の学位って……

来年4月より、山岳学位というのができるそうだ。

 
筑波大学・信州大学・静岡大学・山梨大学の4つの大学が連携して、山岳地域の環境問題を学び、山岳生態系の管理などを行う人材育成を目指して、新たな大学院(修士課程)をつくり、修了時には、「修士(山岳科学)」の学位を取得できるようにする。山岳科学の修士号は世界的にも珍しいだろう。(というか、ほかにあるのか?)
 
プログラムをスタートするに合わせて、筑波大に研究部門の「山岳科学センター」を来春発足させるとか。
 
山岳学位! なんとも不思議な、魅力的な学問分野だ。もっとも、昔から大学の山岳部(山学部)出身です、という輩はいたが。私も大学は探検部出身です、とのたまっていた。
 
どんな内容かと探ると、筑波大学に山岳学位プログラムのサイトがあった。
 
そこから引用させてもらうと、
 
2  1
 
ちょっと自然科学に偏った説明だが、農学分野、理学分野、工学分野を含み重なる部分をイメージしているようだ。
 
もっとも、農学分野というのは、ほぼ林学のことである。造林学、林産学とか林業経営学、山村社会学、森林保護学、森林風致学まで含めている。みんなカリキュラムにあったなあ。
 
で、理学分野とするのは、生態学地形学、地質学、気象学、水文学……。これ、私は林学で学んだけどなあ。
 
工学分野とは、河川工学、砂防工学、森林工学……これらのテキスト、いまだに我が書棚にあるよ。林学分野じゃないの?
 
 
というわけで、山岳科学と呼んでいるのは、昔の林学とあまり変わるように思えない。林学は、自然科学、社会科学、人文科学、すべてを包含しているからだ。ないのは文学だけだ、と言っていたものである。
もっとも、現在は林学そのものが崩壊して森林科学、生物生産学部などと名前を変えて、内容も以前ほど幅広くなくなったから、比べるべきではないかもしれないが。
いや、昔の林学が崩壊したのは、その幅広さゆえかもしれないのに、また幅広くして大丈夫か?
 
 
めざすのは、山岳域における自然変動・人間活動に伴う地圏・水圏、生態系、自然資源に関する課題の解決に貢献できる人材の育成……だそう。
肝心の就職先は、国家・地方公務員、国立研究開発法人/地方研究機関等の研究員、一般企業、組合等職員、NPO/ NGO……大雑把(笑)。実際のところ、公務員以外はオマケみたいなものだろうか。これも、かつての林学出身者の就職先と酷似。あ、私ははぐれていましたけどね。どれにも該当しない(笑)。
 
何を持って山岳学位という発想が生れたのか知りたいところだが、我が母校も参加しているのだから、一応期待しておこうかな。。。。
 

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コメント

疑問はごもっともです。

何かと新しい学部や専攻ができるのは、国立大の場合、新領域設置でがんばってますアピールで交付金の増額が目的。とても志が低いです。

特に国立大は独法化してからは、現在の林業と同じように、補助金漬けで自ら考える能力を失っています。

あらら(~_~;)。新しい学問領域を創造しようというよりは交付金ですか。。。。農学部と理学部生物学科をくっつけて生物生産科学なんとかにしたのと同じ発想でしょうか。
 
人文・社会と自然科学の融合という切り口は、私のような広く浅く隙間的学問の好きな人間にとっては魅力的なんですけどね。、教える方もつけ刃だし、就職口がはっきりしないと学生は敬遠するし……。
学ぶ楽しさに特化した学部なんてのは夢のまた夢でしょうか。

何年も前からJALPS?とか名付けてたやつですね。
当初は、深海(駿河湾)から高山(富士山、日本アルプス)まで、標高差8000mをカバーとかうたってました
筑波大が入っているのがミソで、当初は下田臨海も入って山と海の実習とかもしてましたが、マッチしなかったのでしょうか
深海まで入れば、日本では他にどこも真似できなかったんですけどね

深海まで入ったら「山岳学位」ではなくなりますが、それはそれで面白かったでしょうね。

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