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森と林業の本

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2017/01/13

「美しい自然」にも認知の差?

昨年、子供の環境教育の指導者養成を取材に行って、そのまま私も参加して受講してしまったのだが、その際に知り合った女性は、大学で保育学を教える教員だった。

 
大学で教えているのに、改めて受講?と驚いたが、テーマが全然違うのだという。彼女の取り組んでているのはジャン・ジャック・ルソーとか。
 
いよいよ?? となった。ルソーと言えば18世紀の哲学者。と言っても、私も「社会契約説」ぐらいしか知らないが。
 
するとルソーは「子供を発見」した最初の人物だという。
子供の発見……これまた難解な言い回しだが、ようするに西欧では、それまで「子供とは未熟な大人」という認識だったらしい。だから鍛えて完全な大人にするという発想につながるのだが、ルソーは「子供は、大人とは違う感性や認知の仕方を備えている」別の人格であり、大人と見る世界が違っているのだと“発見”したらしい。(こんな理解でいいのかな?)
ようするに、子供と大人が同じものを見ても、まったく違った反応をするのは片方が未熟なのではなく、認知の差なのかもしれない。
 
 
ちょうど今読んでいる本が認知科学の本で、西欧人と東アジア人(中国、韓国、日本)の認知がまったく違うことを解き明かしている。考え方は、西欧人が「まっすぐ」で個別の論理を追いかけるのに対して、中国人は「円を描き」関係性を重んじて全体を見る……のだそうだ。まだ読み終えていないが面白い。 
 
認知の仕方が違うと、同じものを見ても、まったく違う世界が見える。人はそれぞれ感じ方が違う。そう思うと、世の中に納得するものが多い。
 
同じ景色を見ても、まったく別の感想を持つこともある。林床にまったく草の生えていない杉林を見て、「美しい」と言った人がいた。私とは正反対の感想だった。知識不足というのとは違う、「美しい」と感じる認知の差だろうか。
 
奈良県が奈良公園に接した土地にホテルを建てる計画を発表したら、さっそく反対運動が起きている。その土地は、以前は官舎や別荘が建っていたところなのだが、長く放置されて森になっているのだ。
だから「自然を破壊するな」と言うのだが、テレビに映し出された敷地には雑木の中に竹(多分、モウソウチク)が入り込んでグチャグチャになっていた。石垣の間から草木がぼうぼうと生えて、私には「豊かな自然」どころか「荒れた廃墟」に見えた。これが豊かな自然なら、日本中に荒れた森など存在しないことになりそうだ。(もっとも反対派は、自然をつぶさに観察したわけではないらしい。)
 
 
もしかして、トランプ(次期)大統領のように、自らが気に食わないものは全部「そんなものはない」「陰謀だ」「嘘だ」と言い切ってしまうのも、ごまかしではなく本気なのかもしれない。彼の認知している世界では、自分に都合の悪いものは存在しないのか。。日本人でも、ネトウヨなんぞはそんな感じだけど。
 
 
私も、異論は聞き流し、ファジーなままにしているが……ああ、これって典型的東アジア人?
 

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