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2017/02/16

野生オランウータンの思い出

日経ビジネスオンラインの記事、オランウータンと「少子化」と「孤独な子育て」 が興味深い。

 
オランウータン研究者の久世濃子さんを紹介しているのだが、ちょっと身につまされる。
 
彼女は、十数年もボルネオで野生のオランウータンを観察し続けている。その内容は興味深いが、それ以前にオランウータンを研究テーマに選んだこと自体がスゴイ。
 
なんたって、オランウータンは樹上生活をするから、観察が難しい。そこで自らジャングルの超巨木に登っているのである。
実は、彼女のツリークライミングを指導したのは私の知り合いである。彼が久世さんに雇われてボルネオに木登りに行った話を聞いたことがある。その際の動画も見せてもらったが、地上30メートルくらいまで登り、そこにあったオランウータンの寝床(木の枝葉でつくった巣のようなもの)に入ってふわふわ飛び跳ねる……という仰天の映像であった。
ちなみに彼は、学生時代に関西大学探検部のメンバーとともにマダガスカル島のジャングルの樹上を一カ月に渡って約1キロ移動した経験がある。そして卒業後も、木登りを職業にしてしまった……。
 
 
もともと類人猿の研究が始まったのは戦後である。それは動物学というより人類学的な面が強かった。まず手をつけられたのはチンパンジー、次にゴリラだった。(その後、ボノボ(ピグミーチンパンジー)が発見されて、もっとも人類に似た類人猿と言われるようになる。)
だがオランウータンは長く手をつけられなかった。それは、深いジャングルの樹上で生活するため観察が容易でなかったこともあるが、常に単独行動で社会生活を営まない特異な類人猿で人類と比較しづらいこともあっただろう。
 
 
 
野生オランウータンの研究に手をつけたのは、岡野恒也博士である。1960年代にボルネオ(独立間もないマレーシア連邦サバ州)を訪れ、野生のオランウータンの観察に挑戦した。
ちなみに専門は比較心理学。心理学の分野から学習能力を調べるために類人猿研究を始めたのである。最初は自宅で自分の子供とチンパンジーの子供を一緒に育てるという大変な実験を行い、次にオランウータンに眼を向けたのであった。
 
その際は、単に森の中でオランウータンを見つけた! というだけで論文になるというレベル。それほど謎の世界であり、論文は探検記でもあった。
 
その後岡野氏は静岡大学の教授となり、私は教授の影響を受けて「ボルネオでオランウータンを観察する」というのが、探検部のボルネオ遠征隊の目標とした。
 
……まあ、その点については、『森は怪しいワンダーランド』にも書いたし、今週末19日のトウキョウFM「いのちの森 でも話したから、放送されるかもしれない。
 
つまり、私も野生オランウータンの先駆的研究の列に並んでいるわけだ( ̄^ ̄)。ま、私の隊は、発見することさえおぼつかなかったのだけどね。。。(;´д`)。
でも、寝床はたくさん発見した。あそこに登って見たいと思ったものだ。それを何十年か後に彼女は実現したのだね。 
 
せっかくだから、当時の写真をば。
 
1 鳥の巣のようなものが、オランウータンの寝床。
 
2 ターザンごっこをするオランウータン。(調査地ではなく、保護区)
 
そして、今、オランウータンの出産と子育てが人間に似ている(食料が豊富で豊かなほど出産数は減る)ことを指摘している。人類学にも通じたわけだ。
 
私の森林に目覚める原点を思い出したのであった。

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