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2017/03/20

「林業で儲ける」2つの方向を考える

日経ビジネスオンラインに『「もうからない林業」でしたたかに稼ぐ人たちという記事が出た。

 
ここに登場するのは、岐阜県山県市の極東森林開発(中原丈夫社長)と、和歌山県田辺市にある山長商店(榎本崇秀社長)。なるほど、この人たちを選んだか、と思う。彼らは、なぜ林業で儲けられるのか。
 
極東森林開発の売り物は、注文から3日間の「短納期」と「ジャストインタイム」だ。さらに1本単位での注文も受ける「多品種・小ロット」の商品構成。
山長商店は、自社森林から製材、プレカットまで行い、住宅メーカーは1カ所ですべての木材が、最終製品として揃えられること。しかも「紀州材」ブランドの無垢材で1本ごとに伐採から加工履歴までトレーサビリティを付けている。(……以上、記事による。)
 
 
これはこれで(林業界では)すごいことなのだが、記事にはこんな言葉が登場する。
 
「林業家は自分たちのペースで樹木を切る。『そろそろあの斜面を切るか』という具合だ。そして切り出した丸太を市場に持ち込む。仮に『1カ月以内にこの太さのスギが100本、ヒノキが100本ほしい』などと要望があっても『まあ、切ってみないとなんともいえないけど、1カ月したら連絡するよ』という具合。そして実際には必要な丸太が揃っておらず『ある程度まとまるのはまた1カ月後だからそのころ来てくれ』という始末。これでは高く売れないのは当たり前だ」(中原社長)
 
ようするに、儲からないという林業家は、ビジネスの体を成していないから、と暗に臭わせている(笑)。
 
実は、ほかにも「儲けている林業家」は私も何人も知っている。相対取引で「市場の2割増価格で売っている」とか、造材が優秀でブランド的に市場価格より高くなる林業家のケースも聞いた。
さらに「山買いで儲けている」人の話もある。「うちの山は、全然金になる木がない」という山主から、安値で山を買い取るのだが、荒れたように見える山も、しっかり歩いて調べると、それなりによい木があるのだそうだ。元山主も知らなかった銘木を見つけたら、それを出して売るだけで元が取れる。残りを十把一絡げで売っても十分利益が出る……のだそうだ。
 
 
これらの例がやっているのは、マーケティングのマネジメントだ。マーケティング、つまり市場(顧客)が欲しがっているものを見つけ出して提供することである。これまで潜在的に国産材商品を欲しがっている客がいるのに、求められる形で供給しないから売れなかった。
 
マーケティングなんて、今やビジネス界では当たり前のようにいう言葉だが、それを林業界ではやっていなかったわけで、きっちりやれば儲かるわけだ。
 
ただ私は、林業界にはもう一つのブレイクが必要だと感じている。マーケティンクだけでは限界があるように思うのだ。なぜなら住宅着工件数が激減して、木材需要が縮む一方なのに、小さくなるパイの中で取り合うだけになるから。もともと生き残る業者は限られる。
 
では何が必要か。それを流行りの言葉で言えばイノベーションだろう。
 
マーケティングがすでにある(潜在的)需要を見つけ出して提供することなら、これまでになかった新たな需要をつくることがイノベーション。平たく言えば、新商品・新ビジネスを生み出すこと。
 
では、何が木材の新商品でありイノベーションになるか。木材(とくにスギやヒノキ)を使っていなかった分野への進出や、逆に商品になると思わなかった林産物を世に出すこと。
 
たとえば現在進められているCLTやバイオマス発電燃料は、一応イノベーションの部類だろうが、原木の価格が安くないと成立しないとか、安定供給不安という問題点を抱えている。もっと山側にプラスになる新商品はないか。
 
もちろん難しい。おいそれと見つかるはずがない。それでも私なりに考えたりする。
 
それをこのブログで垂れ流すつもりもない(~_~;)。だいたい誰にでもできるわけないだろう。それでもイノベーションを起こさないと先がないように思う。
 
 
 

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コメント

いつもいつも大変参考になります。ありがとうございます。
イノベーションとして、「旧商品」の復活というのも面白いのではないでしょうか。例えば今の時代に杉皮を大量に手に入れようとすれば大変ですよね。一部で需要はあると思うけど。

旧商品の復活がイノベーションに当たるかどうかはさておき、過去をひもとけば現在のビジネスチャンスはわりと見つかりますね。
むしろ廃れた商品を宣伝したり、流通を代行することがビジネスになるんじゃないかと思ったり。

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