この4月から林業学校が3校増え、全国19校になる。兵庫県の森林大学校、岩手県の林業アカデミー、和歌山県の農林大学校に新設される林業経営コース……。
今後も計画・構想は目白押し。また短期の林業研修コースを設けている自治体もある。
ま、こんなに増設・拡大することの善し悪しはともかく、一方で専門職業大学を設立する動きがある。
専門職業大学は農業や観光、ITといった分野で経営者層を育てることが目的とかで、4年生大学や短大と同じ学校教育法に位置付ける。つまり卒業すると、大学と同じ「学士」が得られるわけだ。(今国会で同法を改正予定)
だから専門職業大学は4年制か2~3年制にする。ほかにも条件としては、専任教員の4割以上を実務経験者にすること、企業内実習を2年間で300時間、4年間で600時間以上……などがあるそうだ。とにかく経営者として必要な実践的な内容を学べることが目標だ。
その一番手として考えられているのが、農業大学校の改組。今のところ静岡県の農業大学校が手を挙げているそうだが、さて全国に広がるだろうか。
と聞けば、その流れは林業学校にも来るのかと考えてしまう。静岡の場合は農林大学校だから、林業コースはどうなるのだろうか。
ワーカー(作業従事者)ではなく、経営者を育成しようという考え方は賛成だが、学校教育法に馴染むかどうか、と考えると疑問もある。
そもそも、現在の通称「林業大学校」の中で、学校教育法に沿って「専修学校」扱いで設立されたところは少ないはずだ。農業大学校の場合の法的根拠は、農業改良助長法だ。
林業大学校も自治体の林業関連部署直属だったり、社団法人や森林組合の塾的扱いのところもある。
なぜなら、その方が自由度が高いからだ。学校教育法に沿うと、一般教養や体育なども含めないといけなくなるとか、上記のような授業時間に枠がはめられる。それでは、新しい実習や講座が開けなくなりかねない。
林業理論も、あまりにバラエティがありすぎて、定番を教えることが難しそう。
さらに言えば、林業で専門職業大学を作っても、専業林家なんてほとんどいない(食えない)わけであり、新規就農者が農地を得ること以上に自分の土地(林地)を確保するのが難しい。だいたい経営を考えるなら、100年単位だ。
ああ、成長分野の経営者を育てる、という専門職業大学の趣旨から林業は外れているわ。。。むしろ既存の林業経営者を学び直させる必要があるわけか。
そのように考えると、日本の林業って、つくづく「学校」が似合わないなあ(⌒~⌒ι)。
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