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森と林業と田舎の本

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2017/03/15

一歩先を行く?農業政策

林業界を観察していると、激変する周辺環境とは別に、な~んにも変わらない日本の林業現場という印象がある。
 
林政も、民主党から自民党に変わって以降、目立った変更がない。単に旧に復しただけだ。が、変わらずに続けられるとは思えない。では、何がどう変わるのか……。
 
そんなときは農業事情を見ると、少しヒントになる気がする。農業の方が、ちょっとだけ、林業より先を行っているからかもしれない。やはり農業の方が産業規模が大きいし、人口も多い、林業よりは……。世間の関心も強いし、圧力団体もある。で、政府も林業よりは農業の方に注力する。
 
 
そんなつもりで農業ニュースに目を通すと、こんな動きがあった。
 
静岡県は、所有者が不明の耕作地の利用権を農地中間管理機構に設定する知事裁定を全国で初めて行なう、というのだ。
 
これ、前提を知らないと何のことかと思うのだが、実は2014年の改正農地法で、所有者不明の農地については、知事の裁定で利用権を農地中間管理機構移転させることができるようになっている。
この機構とは、通称・農地集積バンクというが、都道府県に各1つ設けられている。何をするかと思えば
①地域内の分散し錯綜した農地利用を整理し担い手ごとに集約化する必要がある場合や、 耕作放棄地等について、農地中間管理機構が借り受け
② 必要な場合には、基盤整備等の条件整備を行い、 担い手(法人経営・大規模家族経営・集落営農・企業)がまとまりのある形で農地を利用 できるよう配慮して、貸付け
③ 当該農地について農地としての管理
④ その業務の一部を市町村等に委託し、農地中間管理機構を中心とする関係者の総力で農地集積・耕作放棄地解消を推進 
 
簡単に言えば、公の信用で、所有権はさておき所有者が不明の農地を実質的に取り上げ、他者に貸し出すということだ。
上記の静岡県の例で言えば、東伊豆の889平方メートルが、所有者も相続人も死亡し、少なくても10年以上放棄されている。そこに適用するという。すでに近隣農家の借りたい希望が出ているから、比較的スムーズに進みそうだ。
 
 
この手法、そのうち林地にも応用されるのではないか。
たとえば所有者が不明、あるいは所有者の同意を得て山林を一括して利用権を取り上げ、集約化して経営を別の林家に任せる、ということは有り得るだろう。どうせなら集約化した林地の境界線の不明確な部分も一括裁定してほしいが……。
 
日本の森林を奪うのは、外資なんぞではなく、宙に浮いた所有権であることは、そろそろ政治家も官僚もわかってきたのではないか。
 
 
もう一つ。
政府は閣議で国家戦略特区法の改正案を決定した。その中を見ると、農業分野(ほか観光、サービス)で就労する外国人の在留要件を緩和する項目がある。今国会で成立するだろう。いよいよ外国人が日本で農業をやる時代が来るかもしれない。
 
当然、林業にも広がるかもしれない。外国の林業技術者を雇用する時代が……。

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コメント

なんだか、移民やむなしの方向に傾きそうです。あるいは無人化、自然消滅か。
だって学校が教えるのが朝鮮語ばかり、キムチやチョゴリばかりで、経済の教育なんて何も始まりません。
なりたいのはサッカー選手にゴルファーにアイドル、ネイリスト。
森なんて一時間も歩けません。
少数民族の保護区で細々と生きることになるかも。

農耕と狩猟という観点で『この件を眺めて』見ました。

作付け地で栽培する、という一方で、『森林(里山林や竹林を含む)に出かけて行って、収穫する』・・・収穫候補地は、「今は取り敢えず豊富に存在する」と見做すならば、
『規模・単位は小さいけれども関われる人数が沢山居る(NPOなどの活動団体を指します)所が取り掛かかる』この辺りを「掛け算の試算」で考えてみました。つまり、
●小単位の規模だが大勢人数の関わり人×(少量)収穫単価=成果・売り上げ・収益(という答えとなる)

関わり人が得られる成果・売上を、それなりに喜び、かつそれぞれの収入(資金)となり得るという、・・・斯様な考えもありうると思う次第です。

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