今日は、コンサートに行ってきた。
と言っても、奈良県立ジュニアオーケストラの定期演奏会に付属した? スギバイオリン完成披露演奏会なのだが。
ジュニアオーケストラは、幼稚園児から小学生、中学生、高校生まで(一部大学生)で結成されたオーケストラということで、これはこれで珍しくて面白げなのだが、やはり気になるのはスギバイオリンである。
これは、吉野杉によってつくられたバイオリンのことだ。
知事の肝入りで製作されたというのだが……。内幕を探ってみると、
知事「奈良の木を売るのに建材ばかりではなく、何か別の木工品の可能性はないのか。たとえば楽器とか……」
「わかりました。バイオリンを作りましょう!」
ということになったらしい。なぜなら知事はバイオリン弾きだから\(^o^)/。
しかし、バイオリンとはもっとも難しい楽器と言われるのに……いまだにその音色がどのように発せられるのか科学的には謎だという。
だから、いざ製作しようとなると大変。そもそもスギでバイオリンをつくってくれる職人がいない。みんな「つくってヘンな音しか出なかったり、何年か後に壊れたら、製作者が笑い物になる」と嫌がったから。また実際に「絶対、スギではまともな音は出ない!」と言われたそう。 それでもイタリアのバイオリン製作学校の学位を持つ鈴木郁子氏が引き受けてくれた。
結局、一般にはスプルース材を使う表の響板やバスパー、魂柱(それがどこを指すかは略。私もよう知らんし)に使うことになったそう。
材料は、30年前に伐られた270年生の吉野杉が使われた。一般にスギ材は音の伝わり方が遅くて音響部品には向いていないが、吉野杉の密な年輪なら可能ではないか、というわけだ。
かくして完成したら、意外や、よい音が出たのである。私は素人だが、それでも伸びやかで柔らかい音色に聞こえた。
完成披露には知事も出席。

対談相手はコンマスの梅沢和人氏。
会場(奈良県文化会館)では、オケのコンサートとは思えない展示が(笑)。
ただ、私が注目したのは、会場の壁。
よく見てほしい。壁板は、全部吉野杉だよ。おそらくツキ板を張ったのだろうが、膨大な面積だ。その反響がよいのかどうか私には判断できないが、私はその木目に目を奪われたのである(笑)。
壁板はともかく、バイオリンをつくって吉野杉の需要が伸びるものではないだろうが、究極の木工品である楽器に使える素材だと示すのは、やはり価値があるかも。
ちなみにバイオリンの裏板や側板、ネック、指板などはメープルや黒檀といった広葉樹材を使う。そこにはケボニー化させたスギ材を使って完全なスギバイオリンを生み出すのも夢じゃないかもね。
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