大阪は、2025年の万博誘致に燃えている(大阪の行政関係者だけ)。だが、今のところテーマさえも迷走していて、あんまりパッとしない。
ところで、戦前は内国勧業博覧会が開かれていた。さまざまな産業界が出展して、文字通り勧業と普及をめざす。現在のお祭騒ぎ一辺倒の博覧会と違って、明確に産業振興が目的だ。当時欧米で開かれていた万国博覧会に刺激を受けて始まったのである。
私は土倉庄三郎が出展したことから明治23年の
第3回内国博 (上野)について調べたことがあるが、明治36年の
第5回内国勧業博覧会も注目したい。こちらは大阪で開かれた。
その場所となったのが、現在の通天閣のある新世界だ。実は、この5回目を最後に内国博は終わってしまうのだが、規模は最大であった。
この5回目には、
林業館 が設けられた。これまで農業や園芸と一緒の展示館だったのが、ついに独立したのだ。しかも館外には
林業別館も設けられたという。
これが発展する形で、大正11年に上野公園で
平和記念東京博覧会 が開かれた。平和とは第1次世界大戦が終わったことを祝う意味もある。ここに林業館も設けられた。
出展数は全国から4866点にものぼった。ただ、内容は各地の林産物や製材標本、森林・林政調査、技術見本……などで面白みはなかったという。ただ狩猟関係の展示もあったらしい。
だが、一人気を吐いたのが、帝国森林会が出展した「ご神木」だった。
説明によると、高さ約8メートルのスギの大木(模造)に注連縄が張られ、表面には無数の千社札が貼られていたそうだ。直径は記されていないが、写真家らするとざっと2メートルはあった。そして枝が2本あった。
またご神木の頂部には、林業の格言を書いた巻物を手にした天狗がいた。この天狗、なんと電気仕掛けで手や頭を動いた。さらに、枝の部分には8羽のハトが留まっていた。
そして、その樹幹の内部には自動的に回転するガラス板に彩色された各種の林業写真があって、周囲の16か所の穴から覗くのだ。覗きカラクリである。
さらに博覧会内では、林業映画が上映されていた。
これは人気抜群だったようだ。不可思議で面白くて、最新林業事情の勉強にもなる。
今も全国に森林関係の展示館はたくさんあるが、あまり「見せる」要素は少ない。森林内の動植物を再現したジオラマだったり、映像だったり。真面目だが、それほと印象に残らないのではないか。
こんな洒落のめした展示を心がけてもらいたいものである。
さて大阪の万博構想はどうなるか。私は、どうせ落選すると思ってる(笑)。
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