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2017/05/31

コジイの板根

生駒山系の一角のお寺の境内に、見事な照葉樹林が残っているところがある。

主にコジイ(ツブラジイ)林なのだが、周りがゴルフ場や農地になった今、かなり古い植生を今に伝えていると思われる。
 
そんな参道を歩くのも、なかなか風情のあるもの……というか、私的には森林療法のような癒しなのだが……。
 
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ふと、目についたのは、コジイ(だと思う)の大木の根元である。
 
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これ……バットレス、つまり板根になってるんじゃないの?
板根とは、薄い板のようになった地上に露出した根のこと……細胞的には根ではなく、幹の一部が変形したのかもしれない……だが、よく熱帯雨林で見かける。幹の太いの数倍の広さに板根を放射状に伸ばすことで、巨木が倒れにくくなっている、と説明される。
 
が、温帯の木ではあまりみた記憶がない。
 
それが、この境内のコジイでは、どれもが板根を持っているではないか。
 
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今頃気がついたの、と言われたらそれまでだが、これまで多少の根の張りがあっても、板根という言葉が浮かばなかったのに、ここでは根が十分に薄く、しかも地上部に張りが大きいのだ。
 
熱帯の場合、土壌は薄くて栄養分の蓄積も少ないから板根になりやすい、と聞いたことがあるが、ならばこの境内も土壌が痩せているのだろうか。。。。そうは見えないのだが。
 
それともコジイという樹種の特性か? ほかの樹木では、板根らしきものは発達していなかった。
 
 
森の中では樹冠を見上げることが多いのだが、少しは根回りにも眼を向けようかね。
 
 
参考までにボルネオの熱帯雨林の板根の発達した木。
 
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コメント

連休中、友人と筑波山の東にある宝篋山に行ってきました。
好奇心旺盛な高齢者ふたり、国土地理院記載の山道と1000年前に建立された噂の残る平坦な尾根筋を探索しました。
そこには、板根を持つスダジイ?が何本かありました。こんなところにと友人は写真に収めていました。筑波山系は深成岩からなる岩山のためでしょうか。植物の北限、南限と標高によっていろいろな植生がみられます。

板根のできる理由は、樹種もあれば土質もあるようです。熱帯のフタバガキ科の樹木(板根がよくできる)を別のところに植えたら板根がなかったという例もあるそうなので。

なにはともあれ、こんな観察をしながら森を歩くのも悪くないですね。

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