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森と林業の本

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2017/05/18

チェンソーの目立てをなくす

散髪に行った。

 
そこでヒゲソリもしてもらうわけだが、剃刀を当てながら店主と会話。
「この剃刀、新製品なんですよ。先日、業界の集まりで紹介があって購入したんです」
 
と言っても見えないが……どうやらT字状の安全剃刀的な形らしい。ただし家庭用と違って柄が短く手のひらにすっぽり包める。これまでのナイフ状のプロ用剃刀とは違うのだ。
 
「これ、刃の角度が特別なんです。非常に細かな角度の設定がしてあって、それだと皮膚の上を滑るような感覚で傷がつかない。そんな特許があるらしいんです」
その後も興味深い話が続く。一般に使う電気カミソリは、回して様々な角度から刃を入れるため実は皮膚を傷めやすいとか、勉強になる。
 
が、私が引っかかったのは、この手の新式剃刀は研がないという点だった。替え刃なのである。切れ味が落ちると交換する。
これまで理容師というのは、剃刀を研ぐ技術が非常に重要だった。毎日1時間かけて研いでいたそうだ。だが、T字剃刀は替え刃だから自分で研がない。
 
そういえば私が学生の時に引っ越し手伝いをして訪ねた理容師の家で、鉄板があった。これは砥石の面直しをするものだ、と教わった。
砥石も常に使っていると表面が凹んでくる。それでは上手く研げないから鉄板で砥石をこすって面を平面に仕立て直す。ところが砥石の表面の形状が変わると、また研ぎ方が変わるので剃刀は全部研ぎ直さなくてはならない……。
 
「今は、剃刀を研ぐのは流行らなくなったんです」
 
若い理容師は、もう研ぎの練習をしなくなったそうだ。全部替え刃で済ます。
ちなみにこの理容師は、昔の剃刀も新式も両方使う。だから研ぎを止めてしまったわけではないそうだが、年寄りの理容師の中には替え刃に抵抗があるらしい。
 
まあ、時代の流れといえば流れ。
それで思うのだが、チェンソーのソーも、そのうち目立てなんかせずに替え刃になるのではないかね?
 
私も、多少チェンソーを使うわけだが、目立てが下手で、毎回切れ味が違う。よく伐れるようになったかと思うと、目立てして前より伐れなくなっちまった……と唸るときもある。
もし、交換するだけで切れ味が甦るチェンソーがあれば……。
 
Dsc_0516_1
 
もちろん1枚ずつ付け替えるなんてできないだろうが、チェーンを丸ごと新品と交換するというのは経費の問題がある。紙製、プラスチック製のソーをつくれないか。使用可能時間は1時間ぐらい。
外したチェーンを機械にセットしてボタン一つ押すと瞬時に研ぎが終わる……なんてのはどうだ? いや、外さないでバーを目立て機械に突っ込むだけで目立てをしてくれる機械とか。あ、チェンソーの構造を根本的に変えて、使い捨てバー。
 
どんな方式が有り得るのか見当もつかないが、目立てのいらないチェンソーが登場したら大ヒットまちがいなし。林業機械のイノベーションにならないか。
使い捨てのコンタクトレンズとか衛生ゴム手袋とか、最近のウォシュレットトイレと同じになるかもしれない。
 
でも、年寄りとか職人肌の人は嫌がったりして(笑)。「自分で研がなきゃダメだ!」と言い出しそうだな。 

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

それならば、根本的にチェーンソーというものから脱却したほうがいいかもしれません。
例えば、、、超振動ブレードとか、レーザーカッターとか!(浪漫)

やっぱりライトセーバーですね!

OREGON パワーシャープ は如何ですか?

パワーシャープ、別の方から紹介されて動画も見ました。
面白い! こんな目立て道具があるんだ。刃に装着して回すだけ。これ、ほしいなあ。

連投になりますが御容赦ください。
現在は、どうかしれませんが、某地方の国有林の業務委託において、中国人労働者が大変使われており、入札で地元の森林組合等々が、その安い入札額にはじき出されたことがありました。
このころ、もっぱら地元関係者が言っていたのですが、中国人作業者は、目立てが出来ないので、刃が鈍ると、どんどん刃を付け替えてしまうとのことでした。
「人件費安ければ、ぽんぽん刃を替えちゃうのになぁ…」とのコメントもちらほらありましたっけ。

本当に人手が足りなかったら待遇をよくして参入を求めるべきなのに、コストを下げることしか考えないからなあ。。。
 
以前、世界中にチェンソーの目立てを教えに回った人の話を聞きましたが、そもそも海外では目立てをするもの、という意識がないそうです。そっちの方がコストを上げるように思うけど。
いよいよ安上がりで時間も取らない目立て器具が重要ですね。

表面処理したチェーンは存在しませんか?!ね。

二輪の世界での(かなり以前)実例ですが、オイル封入のドライブェーンを世界戦ライダーに供給したことがあります。その彼曰く、「耐久性は有るが重いので使い物にならなかった」と。

ネジやボルトを相手にする工具・ドライバーなど於いては、鍍金しかも『ハードメッキ物』があります。
鍍金が剥がれない優秀工具もあります。

チェーンソーの『チェーン改良』にも、課題と展望が有ると。

そもそも目立てしなくても切れ味が衰えないチェンソーができたら嬉しいですね(^o^)。

上記のオレゴン・パワーシャープは、バーやチェーンを専用のものに交換して行うみたいです。自動目立て用のチェーンなのかしらん。

目立てをしたら却って切れ味が悪くなった経験があります。そこで、試した事ですが、→
「ヤニ」を除去するスプレー式クリーナーを使ったところ、切れ味が戻った!!

血のりが付いた日本刀の手入れだって、いちいち『研磨』などしないようですし、
「目立て」が絶対では無いと、思ったりしてますが。

OREGON パワーシャープ めっちゃいいじゃないですか!
いい情報教えてくれてありがとうございます♪
ニシガキ工業の刃研ぎ名人使ってるんですけど、一度試しに買ってみようかな。
スチールでも対応できそうな感じですね。
三重の販売店2店舗しかないのに奈良にはいっぱいあってラッキー(笑)

刃物の切れ味には、悩んでいる人が多いようで……。私もその一人ですが。あの手この手を使い、また新商品に期待しましょう。
パワーシャープも実際に使ってみた感想を教えてください。
 
一方で、目立てを精神修養にしている人もいるみたいですから(~_~;)、自動対手動の対立も起きそうだな。。。

オレゴン パワーシャープのHPを見て、スチールMS361とMS362が対応機種になかったので販売店さんに聴いてみました。
私が使っているソーチェンのサイズ20インチ(50cm) 3/8ピッチ ゲージ1.6mm などのいわゆる特殊サイズのソーチェンには対応できないとのことです。
もう少し馬力の小さいチェーンソーでバーの長さのインチが短いものでしたら対応できるとのことで、吉野山で伐採されている方は25インチからもっと長いバーを使っているので、やはり手動で目立てされているんでしょうかね。

スチール、ハスクバーナともに16インチのソーチェンまでしかないみたいです。
40cmのバーやと末口30cmぐらいの吉野杉丸太ならともかく、末口30~50cmの松丸太を伐るのが大変なんで、うちやと使えやんですね。
吉野杉みたいに目を通すために末口と元口の太さの差が少ない木なら使い勝手いいんですけど、松は末口40cmで元口60㎝の木もあるんで、40cmバーやと伐るのに物凄く時間がかかってしまいます。
スチール、ハスクバーナの20インチ、25インチで対応お願いメールしときます。

連投すみません。

調べましたね。私も、ちょっと残念に感じたのはどんな機種にも使えるものではなかったこと。
これ、全機種対応にしたら、絶対に売れると思うけど。あと、値段がわからない。

目立ては自分でやりたいという人は、そのうち少数派になると睨んでいるんですけどね。

「チェンソーの目立てをなくす」ではなくチェンソー目立てを未熟練者でも 容易に新品刃の切れ味に目立て可能な 目立て器具を研究して約35年のキマルです。
平成20年に(チェンソー刃の目立て装置)として特許4093555号を取得 同年の国林災防の安全な林業機械器具開発事業で実用化 
国林災防が Kチェンソー社に取扱いをお願いするが首をたてにしないので、私がりんご栽培の傍らキマルとして個人販売中です。
キマル技研で検索
https://www.youtube.com/watch?
v=bnN26zAHeysを見てください。
利用者から、なぜこんな簡単な方法で理想的な目立て方法が今まで無かったか不思議である。
その答えは、使い込むと切れないチェンも新品刃の切れ味に容易に復元。 常に切れる刃の使用で
チェンソー本体のトラブルが極端に減少。
キマルは数万円。 もっと安価な目立て具を作ってのリクエストで作りましたのが
本年7月に特許6734255号を取得した5600円キマルバイスです。
キマル開発で気付いた目立て中に発生する「ビビリ振動」を除かないと良い目立ては不可能。
大日本山林会の「創意工夫」表彰行事でキマルバイスを奨励賞にして頂きました。
YouTubeキマル技研検索
https://www.youtube.com/watch?v=xwP4bNKTb0oで見てください。


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